二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 384章 不死鳥 ( No.498 )
- 日時: 2011/12/04 23:52
- 名前: 白黒 ◆KI8qrx8iDI (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
ミキは胸中に疑問を抱きながらも、シルドールをボールに戻す。すると今まで押し黙っていたゴルドーが、けたたましい鳴き声と共に前へと進み出て、ケルディオと相対する。
「えっ? ゴルドー、まさか次は、君がやるの?」
まさかとは思ったが、ゴルドーは首肯した。相性で不利なのはゴルドーにも分かっているのだろうが、同じ主の仲間がやられ、黙っていられなかったのだろう。
「……分かった。任せたよ、ゴルドー」
ケルディオの水技は、ハイドロポンプとアクアジェット。アクアジェットは威力が低いので数発は喰らっても大丈夫だろうから、ハイドロポンプを警戒する。
「ゴルドー、フレアバースト!」
ゴルドーは銃弾のような炎を連続で放つ。銃弾なのは形状だけでなく、速度もだった。
”押し流せ、加圧の水流!”
しかしその銃弾はケルディオには届かない。ケルディオは大量の高圧水流を横薙ぎに発射して、炎の銃弾を全て撃ち落した。
”流れ込め、清水の清流!”
「エナジーボール!」
ケルディオが水を纏って突進し、ゴルドーはそれを緑の球体をぶつけて撃ち落す。
「エアスラッシュ!」
さらに空気の刃も飛ばし、ケルディオを切り裂く。効果抜群だが、ケルディオの闘志はまだ燃え尽きていない。
”……切り離せ、神秘の刃!”
ケルディオは神秘的に白く発光する角を一振りし、白刃の刃を飛ばす。
(これは、シルドールを倒した技だ……!)
ミキはこの不可解な技に疑問を抱くも、飛んでくれば迎え撃たないわけにもいかず、ゴルドーに指示を出す。
「ゴルドー、龍の息吹!」
ゴルドーは口から、龍の如く神秘的で壮大で猛々しい息吹を放った。
息吹と刃は多少競り合ったが、やはり刃の方に分があるらしく、白刃の刃はそのまま息吹を切り裂き、最後にはゴルドーを切り裂いた。
だがその一撃。その一撃だけで、ミキは全て見切った。
「……その技、放つ時は特殊技だけど、切り裂く時は物理技に切り替わるんだね。確かに似たような技で、サイコショックっていうのがあったかな」
”ご名答、よく分かったね。僕はこの技を神秘の剣と呼んでいるんだけど……まあ分かった所で、どうにもならないかな!”
ケルディオは水流を身に纏い、超高速でゴルドーに突撃。あまりの速度にゴルドーは回避できず、直撃を喰らった。しかしまだ戦闘不能ではない。
「ゴルドー、フレアバースト!」
”押し流せ、加圧の水流!”
ゴルドーは無数に炎の銃弾を撃ち出すが、それら全てがケルディオの放つ水流に飲まれ、消沈していく。そして
”切り裂け、正義の刃!”
水流が収まった瞬間、ケルディオが宙返りしながらゴルドーに急接近した。ありえないほど速い切り替えしだと思ったら、どうやら水流の逆噴射で一気に接近したらしい。
ケルディオは聖なる光に包まれた一角を、剣のように振るってゴルドーの体を切り裂いた。
「ゴルドー!」
急所を切り裂かれたのか、効果いまひとつだがゴルドーは苦しそうに呻き、地面に落ちる。まだ辛うじて戦闘不能にはなっていないが、もう限界だろう。
”さて、そのポケモンももう終わりだね。何体来ようと構わないけど、そろそろ諦めたらどうかな!”
ケルディオは白く発光する角を振り、白刃の刃をゴルドーへと飛ばす。
間違いない、断言できる。あの攻撃を喰らえば、ゴルドーはやられる。
ミキがそれを理解した瞬間に、それは起こった——
「っ! な、なに……!?」
”これは……!”
ゴルドーが、眩い光に包まれたのだ。
ゴルドーは光の中でその姿を変える。体は大型化し、龍のように巨大になる。しかしそれでいて、その紫色の体は鳥のように流麗だ。炎の翼は轟々と勇ましく燃え盛っており、その雄々しい姿は龍にも鳥にも見える。
だがどちらかと言えば鳥より、それも炎の鳥。不死鳥、と言うべきか。
「ゴルドーが、進化した……」
ゴルドーの進化系。不死鳥ポケモン、フィニクス。
「フィニクス……」
フィニクスは炎の翼を羽ばたかせ、首肯。ケルディオへと目線を移し、見据える。
”進化しても、大差ないよ。むしろ僕の刃が通りやすくなった。君は鳥じゃない、龍に近い体を持つ。だったら、格闘の力を持つ僕の刃の威力を軽減できない”
その通りだ。ゴルドーは飛行タイプを併せ持っていたから格闘技を軽減できたものの、今はそうはいかない。進化して飛行タイプがドラゴンタイプになったことにより、救世主の聖なる剣、ケルディオの神秘の剣。この二つの剣が脅威となった。
しかしそれでも、フィニクスが負けるとは、ミキには到底思えなかった。
「ドラゴンタイプが追加されたなら、水技が軽減できて、大ダメージには至らないよ。フィニクス、エナジーボール!」
フィニクスは緑色の球体を三発ほど放つ。どれもゴルドーの時より大きく、また弾速も速い。
”くっ、押し流せ、加圧の水流!”
ケルディオはそれらの球体を、大量の水を噴射する事で相殺したが
「ハリケーン!」
すぐさま放たれた突風——いや、大嵐に即応できず、あえなく吹っ飛ばされた。
”こんな、ところで……!”
ケルディオは嵐に吹かれながらも闘志を燃やし続け、戦い続ける。
”流れ込め、清水の清流!”
ケルディオは水流をその身に纏い、超高速でフィニクスに突撃する。
いや、それだけではなかった。
”切り裂け、正義の刃!”
ケルディオはその角を聖なる輝きに包ませ、フィニクスに斬撃を叩きつける。
アクアジェットと聖なる剣の合わせ技。水流でスピードに乗り、その勢いと合わせて聖なる剣を振るう。力任せだが、テクニックも有する技だ。ケルディオはこれを、岩窟と草原の師匠から教わった。
しかし、それでは足りない。足りないのだ。
「フィニクス、ドラゴンビート!」
ケルディオは驚きのあまり、顔を上げる。目の前には不死鳥の顔。フィニクスは零距離から龍の鼓動のような音波を放ち、ケルディオを地面へと叩き落す。
”く、あぁ……”
仰向けになって倒れたケルディオだが、まだ闘志は尽きていない。ケルディオは最後の力を振り絞り、刃を放つ。
”切り離せ、神秘の刃!”
「フレアバースト!」
ケルディオの全力の技に、フィニクスも全力で持って迎え撃つ。
隙間無く発射された炎の銃弾と、神秘的に輝く白刃の刃が拮抗する。二つの攻撃はしばし競り合ったが、やがて刃が綻び始め、最後には、砕け散った。
”な……そんな……!?”
それを見たケルディオは驚愕に顔が歪み、そこに数多の火炎銃弾が降り注いだ。
今回はケルディオ戦、決着でした。何か早いです。ミキは遂にゴルドーをフィニクスに進化させ、ケルディオを倒しました。次回は和解の説得、それから師匠達を助けに行くかもです。いや、久々の更新で、上手く書けていない気がしますが、まあ大丈夫でしょう。というわけで、次回予告も済ませましたし、次回もお楽しみに。