二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 387章 要求 ( No.501 )
日時: 2011/12/14 23:57
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「ゲーチス様……何故、ここに?」
「何故、とな。理由は単純明快ですよ。貴方達を回収しに来たまでです」
ゲーチスは落ち着いた口調で、そう答える。
しかしリオやキリハ、ミキからすればゲーチスは最大の仇敵だ。皆、鋭い眼差しで睨み付けている。
それを察してか、ゲーチスは
「……さらに補足しておくと、ワタクシもそろそろ盤の上に登場するべきだと思いましてね。それに、これだけの戦力を相手取るには、7Pの一人や二人では足りないでしょう」
初期ではかなりの難敵だった7Pも、今では強敵程度にまで落ち込んでいた。
「では、エレクトロ、フォレス。貴方達はここを出なさい。外でガイアとドランが待っています」
「……御意」
「了解しましたよ」
エレクトロとフォレスはそれぞれそう返答する。エレクトロはポケモンを戻し、フォレスと共に洞窟の出口へと駆け出すが
「逃がさないよ。シャンデラ、シャドーボム!」
「リオさんに同意です。フィニクス、ハリケーン!」
シャンデラの影の爆弾と、フィニクスの猛烈な大嵐が、逃走する二人の背に向かう——

「ネメア、鉄壁です」

——が、その間に割って入った一つの存在により、それらの攻撃は阻まれてしまった。
「っ!?」
「嘘だろ……」
「え……?」
そえは、獅子のようなポケモンだった。紫色の、邪悪な体毛。血のように赤い一本角を生やした、深淵のポケモン。
獅子ポケモン、ネメア。
とある地方では、深淵を見せる伝説のポケモンとして、崇められている。
それを知る三人は、その事実に驚き、驚愕のあまり呆けている。
「まあ、無理もありませんか。ワタクシも無駄な準備を進めていたわけではありませんよ。一年ほどかけ、とある地方からこのポケモンを捕獲して参りました。その経緯は、割愛させて頂きますがな」
どのような経緯かなんて、どうでもよかった。
問題なのは、相手方に伝説のポケモンが存在していることだ。
こちらにも救世主と呼ばれるポケモンはいるが、このネメアは、迫力からして違う。気を抜けば、あっと言う間に飲まれてしまいそうなオーラを感じる。
「ワタクシからの要求はただ一つ。ここから、ワタクシ達が基地に帰るまで、ワタクシ達に干渉しない、ということです。無論、その要求を受け入れるか突っぱねるかは貴方達次第ですが、後者を選択した場合、それなりの対応をさせて頂きますよ」
ネメアは邪悪そうな瞳でこちらを見据える。ただそれだけで、萎縮してしまいそうだ。
ゲーチスの要求を端的に説明すると、こうなる。
今回プラズマ団は、作戦も失敗したことだから撤退する。それを邪魔するな。邪魔した場合は始末する。そんな、単純な要求だ。
「……分かった。受けよう」
「っ! キリハ——」
リオが前に踏み出すのを、キリハは片手で制する。
この状況は、結構まずい。
ゲーチスは、はっきり言って強い。それに伝説のポケモンが加われば、リオやミキでも、そう簡単に勝てる相手ではなくなるだろう。それに、リオもキリハもミキも、ポケモンが何体か負傷している。
さらに言えば、ゲーチスがどこまで手の内を隠しているかも分からない。まだ強力なポケモンを隠している可能性もある。
だったら今は、素直に退かせるのが吉だ。
「利口な団員がいて助かりますな。では、ワタクシ達は、これにて」
ゲーチスはその返答に満足すると、特に何を言うでもなく、去っていった。

これでケルディオを巡る、英雄達とプラズマ団との戦いは、ひとまず終わった。結果的には英雄達の勝利だが、いまいち釈然としない、結末だった。



「なるほど。結果的に、救世主達全員は、僕らに協力してくれるというわけか」
「はい。結果的には、ですけど」
戦いの後、ミキはイリスに、ソウリュウシティのポケモンセンターで結果報告をしていた。
ちなみにイリスはずっとドランと戦っていたわけだが、結局ドラドーンは倒せなかった。最後の一体になっても粘り続けていたら、エレクトロやフォレス、ガイア。そして最後にはゲーチスが現れ、ドランも一緒になって逃げ去って行ったらしい。
「まあ、なにはともあれ、僕らの勝利か。懸念事があるといえば」
「相手方に伝説のポケモンがいることですね。感覚的なことですけど、あのネメアってポケモン、相当です。強いとか、そんな言葉じゃ推し量れない力を持っています」
「それはほとんどの伝説や幻のポケモンに該当すると思うけど……うーん、問題は山積みか」
しばし考え込むイリスだが、突然パッと頭を上げた。
「どうしました?」
「いや、やっぱり、ごちゃごちゃ考えても仕方ないな、って」
次にイリスは、スクッと立ち上がる。旅行用のリュックを背負い、今から出発するかのような態勢だ。
「ど、どこに行くんですか?」
「ポケモンリーグ」
端的に、イリスは答えた。
「相手が強いなら、それを打破する方法は簡単だよ。こっちも強くなればいい。それにはまず、僕からすれば父さんを超えなくちゃ。だからその前のステップとして、ポケモンリーグを、一人で制覇する」
以前はイリス、ミキに幼馴染の二人の計四人でリーグを制覇したものだが(その時は状況が特殊だった)、今度は一人だ。
ミキはイリスのその背中を見て、目を瞑る。
「……いってらっしゃい」
「行ってきます」
そしてイリスは、最後の関門へと、向かうのだった。



なんか今回、無駄に感動的な終わり方してません?おかしいな、久々に更新したからなのか、上手くかけなくなってしまったような気がしないようなするような……まあ、どうでもいいですか。さて今回は、見ての通り前回に引き続いてゲーチス登場。まさかのネメアも登場。プラズマ団撤退です。最後にはイリスがポケモンリーグに向かいますが、その前に何かイベントがあるやもしれません。では次回もお楽しみに。