二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 391章 筋書き ( No.514 )
日時: 2012/06/15 00:41
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: QpE/G9Cv)

「ゴルーグ、アームハンマー!」
 ゴルーグは拳を固め、飛行の勢いもつけてリーテイルに殴り掛かる。
「リーテイル、かわしてリーフブレード!」
 だがリーテイルも早々やられたりはしない。ゴルーグの拳を流れるような動きでかわし、そのまま尻尾の葉っぱでゴルーグの巨躯を切り裂いた。
「やりますね。ゴルーグ、シャドーパンチで反撃です!」
 ゴルーグは体を反転させ、リーテイルの方を向き、影の拳を飛ばす。両手から放ったので、その数は二発。
 しかし、二発程度の飛び攻撃なら、リーテイルの敵ではない。
「リーテイル、リーフストームでまとめて吹き飛ばせ!」
 リーテイルは背中の葉っぱを激しく羽ばたかせ、無数の葉っぱと怒涛の嵐を放つ。
 その嵐はシャドーパンチを軽く呑み込み、消滅させる。さらに、イリスの言った『まとめて』とはゴルーグもまとめてという意味だったようで、ゴルーグも吹っ飛びこそしなかったが、リーフストームの攻撃を受けた。
「くぅ、まだですよ! ゴルーグ、ジャイロボール!」
 ゴルーグは両手を水平に突出し、そのまま高速回転。リーテイルへと突っ込んでいくが、
「効きませんよ。リーテイル、とどめのリーフストーム!」
 リーテイルは再度葉っぱを含む大嵐を放ち、回転しながら突っ込んでくるゴルーグの動きを止める。だが嵐は動きを止めるだけにとどまらず、その巨体を少しずつ押していき、最後には塔の壁まで吹き飛ばした。
 地面に落下したゴルーグを見ると、目を回している。明らかに戦闘不能だ。
「やられてしまいましたか……とりあえず、戻ってください、ゴルーグ」
 シキミはゴルーグをボールに戻す。これで彼女のポケモンは残り一体。そして、イリスはその一体が分かる。というより、知っている。
「では、行きますよ。アタシのエースにして、四天王戦という名の物語のキーパーソン。『かの燈火は命を糧にその焔を燃やし続け、迷いし者を永遠の無へと帰す』……シャンデラ!」
 シキミの最後のポケモンは、シャンデリアのような姿をしたポケモン、シャンデラ。PDOのリオも使っているポケモンだ。
「来たか、シャンデラ……!」
 過去にイリスは、このシャンデラと戦ったことがある。このシャンデラは、掛け値なしに強い。相性で劣り、リーフストームを二発撃って疲弊しているリーテイルが勝てる相手ではないだろう。
「でも、それは想定済み。そのための切り札だって残してますよ。リーテイル、エアスラッシュ!」
 リーテイルは背中の葉っぱを羽ばたかせ、無数の空気の刃を飛ばす。
「シャンデラ、熱風で薙ぎ払ってください!」
 シャンデラは超高熱の風を広範囲に放ち、風をも切り裂くはずのエアスラッシュをすべて撃ち落としてしまった。
「熱風か……前よりも強いな。だったらリーテイル、ドラゴンビート!」
 今度は見えない攻撃に切り替える。リーテイルは龍の鼓動のような咆哮を上げ、シャンデラを攻撃する。
「その程度では、シャンデラは倒せませんよ。ソウルブレイクです!」
 シャンデラは体から白濁色の光の球体を出し、リーテイルへと放つ。
「あれは……リーテイル、かわせ!」
 リーテイルは葉っぱを羽ばたかせて飛翔する。意外と速いスピードで追ってくる光球から逃げようと、全速力で飛ばしている。
 しかし、

「シャンデラ、スタープリズムです!」

 突如、虚空より無数のガラス玉が降り注いだ。ガラス玉はリーテイルや地面に当たるとすぐに砕け、中の冷気を放出する。
 リーテイルはその冷気に一瞬だけ動きを止めてしまい、その隙に光球がリーテイルに追いついた。
「しまった……リーテイル!」
 リーテイルは光球による攻撃を受けると、地に伏してもがき苦しむ。そこまで大きなダメージではないはずなのに、かなり苦しそうだ。
 ソウルブレイクは、いつか戦ったレイカのフローリアが使っていた技。あの技は、魂に直接攻撃するため、威力の割に痛みが激しく、また混乱の追加効果まである。
 そして運の悪いことに、リーテイルは混乱してしまった。
「リーテイル、しっかりするんだ! エアスラッシュ!」
 イリスは懸命に指示を出すが、リーテイルは明後日の方向に刃を飛ばす。無論、シャンデラには掠りもしない。
「これでリーテイルとの戦いという章も幕を下ろします。シャンデラ、スタープリズム!」
 シャンデラは虚空より大量のガラス玉を降り注ぎ、割れたガラス玉から放出される冷気でリーテイルを攻撃。タイプ上、氷技であるスタープリズムはリーテイルには威力が四倍。流石のリーテイルにもこれには耐え切れず、戦闘不能となってしまう。
「よくやった、リーテイル。しばらく休んでいてくれ」
 リーテイルをボールに戻すイリス。しかし、ここまでは概ね予想通り。元より、リーテイルでシャンデラを倒せるとは思っていない。
 だから、シャンデラを倒すポケモンは、ちゃんと残している。
「さあ行くぞ! 一年前のお前の力、ここでもう一度見せてみろ! 出て来い、ダイケンキ!」
 イリスの最後のポケモンは、イリスの初代エース、ダイケンキ。一年前は、シキミのシャンデラと奮戦し、見事勝利を飾ったポケモンでもある。
「やはりダイケンキで来ましたね。筋書き通りの展開です」
「あの時は日本晴れで水技を封じられ、ソーラービームでやられかけましたが、今回は違います。むしろ、前よりも厳しい戦いになるかもしれませんよ?」
「どうでしょうかね。アタシだって、水タイプへの対策を怠ったわけではありませんよ。その証拠を見せてあげます……シャンデラ、エナジーボール!」
 シャンデラは自然エネルギーを凝縮した球体を作り出し、それをダイケンキへと発射する。まっすぐ飛ぶその球体は、かなりのスピードだ。
「ダイケンキ、切り裂け! シェルブレード!」
 だが、イリスの初代エースであるダイケンキは、その程度の攻撃に動じたりはしない。すぐさま前足の鎧から仕込み刀『アシガタナ』を抜き、エナジーボールを切り裂く。
 見ていればかなり高度な一合だが、この程度、二人にとってはほんのウォーミングアップに過ぎない。本番は、これからだ。そして、
「……さて、これで、アタシ達の戦いの最終章が始まりますね」
 そう、シキミは小さく呟いた。



さて久更新、白黒です。今回は前回に引き続きシキミ戦で、エースシャンデラの登場です。話は変わりますが、もうすぐBWの2が発売ですね。もう待ち切れなくて、毎日が辛いです。僕は前作ではツタージャを選んだのですが、今回は何にするか悩んでおります。見た目ならツタージャが一番なんですが、技がね……。それはさておき、次回はシキミ戦決着です。そして、うまく行けば次なる四天王戦へも行けるでしょう。では、次回もお楽しみに。