二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 392章 燈火 ( No.517 )
- 日時: 2012/06/19 21:44
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: QpE/G9Cv)
「行くぞダイケンキ、吹雪だ!」
「迎え撃ちますよシャンデラ、熱風!」
ダイケンキは上空のシャンデラに対して猛烈な吹雪を放つが、シャンデラの超高温の熱風により全て溶かされ、相殺されてしまう。
「エナジーボールです!」
さらにシャンデラは自然エネルギーを凝縮した球体を撃ち出し、ダイケンキを攻撃。効果は抜群で、結構なダメージだ。
「くぅ、まだだ! ダイケンキ、シェルブレード!」
どんな距離でも戦えるのがダイケンキの強みだが、しかし遠距離戦ではどうしても特攻の高いシャンデラに分がある。なので、ここは接近戦で戦った方が優位にバトルを進められるとイリスは判断した。
ダイケンキは両前足でそれぞれアシガタナを抜き、後足だけの瞬発力で一気にシャンデラの元へと急接近する。
「! シャンデラ、引きはがしてください! 熱風です!」
「遅いですよ。ダイケンキ、切り裂け!」
シャンデラが熱風を放つよりも早く、ダイケンキの剣はシャンデラを切り裂く。こちらも効果抜群で、大ダメージだ。
「追撃だ。メガホーン!」
さらにダイケンキの大きな角が、シャンデラの体を一突きし、吹っ飛ばす。シャンデラは壁に激突し、さらなる傷を負う。
「流石、やりますね。シャンデラ、ソウルブレイクです!」
シャンデラは体から白い煙のようなものを放つ。そしてそれは、意外と速い速度でダイケンキへと向かっていく。
「あれを喰らうとまずいな。ダイケンキ、シェルブレードだ!」
ダイケンキは再度アシガタナを構え、襲い来るソウルブレイクへと一閃する。
イリスはソウルブレイクの威力を知っているし、その避けにくさも身に染みている。シャンデラの妨害があったとはいえ、あのリーテイルすら避けきれなかった技を、ダイケンキがかわせるはずがない。
しかしだからといってむざむざ喰らう気も毛頭ない。つまり、こちらから攻撃をぶつけ相殺しようというのだ。
しかしすると、またここで問題が発生する。ソウルブレイクは相当なスピードで追ってくるので、ダイケンキの大技ではどうしたって間に合わない。しかし、シェルブレードなら、向かってくるタイミングさえ合わせれば、そのまま切り裂くことが可能。イリスはそう考えた。
そしてその通り、白い煙は真っ二つに断たれ、ダイケンキの真横を通過——
——せず、二分割された状態でダイケンキに襲いかかった。
「なっ……! ダイケンキ!」
ダイケンキはあまりの苦痛にその場にしゃがみ込んでしまう。
幸い混乱状態にはなっていないようだが、それでも相当な痛みが全身を駆け抜けているだろう。
「さて、今がチャンスです。スタープリズム!」
虚空より無数のガラス玉が降り注ぎ、内部の冷気を放出してダイケンキを攻撃する。この技は氷タイプなのでダイケンキには効果いまひとつだが、ソウルブレイクを受けて悶えている今なら追撃としては十分すぎる。
「さらに熱風!」
シャンデラは熱風を放って、ダイケンキに休む隙を与えない。
「エナジーボール!」
最後は草タイプ技であるエナジーボール。ダイケンキは効果抜群のその技を喰らい、その場に倒れこんでしまう。
「ダイケンキ!」
さしものダイケンキも、シャンデラのこの連続攻撃はキツかったようだ。そもそもシャンデラは特攻が高いので、たいていのポケモンならこれだけで戦闘不能に追い込める。それをダイケンキは、最後に効果抜群のエナジーボールを喰らったのだ。立ち上がるのは難しいだろう。
だがそれでも、イリスはめげない。
「立てダイケンキ! このくらいでやられているようじゃ、プラズマ団を倒すなんて夢のまた夢だ! 僕らは、こんなとこで負けてはいられないんだ!」
イリスの真摯な言葉に打たれたのか、ダイケンキはよろよろと力なく体を起こそうとするが、如何せんかなりの痛手を負っているので、途中で膝を折ってしまう。が、それでも必死で体を支えている。
「ふふ、もうそのダイケンキも限界ですよ。これで、この戦いの最終章は幕を閉じます。シャンデラの勝利によって。シャンデラ、ソウルブレイク!」
シャンデラは体内から放出される白い煙を、ダイケンキに向かって放つ。これを喰らえば、今度こそダイケンキはやられてしまうだろう。
——だが、イリスはこの時、既に勝利を確信していた。自分のエースは、ピンチの時にこそ、その力が最大限に発揮されることを、知っているから。
「ダイケンキ、ハイドロカノン!」
ダイケンキは自身の正面に、巨大な水の砲弾を生成する。その大きさは、ダイケンキの全長よりも遥かに大きい。
そう、度重なるダメージにより、ダイケンキには特性、激流が発動しているのだ。この状態の時、ダイケンキの水技の威力は一気に跳ね上がる。
シャンデラの放ったソウルブレイクは、もう目の前まで接近しているが、ダイケンキの攻撃準備も、もう完了している。あとは、撃つだけだ。
「ハイドロカノン、発射!」
大量の水が爆ぜる音という不思議な空気の響きを耳に感じながら、イリスは水の弾丸の行く末を見据える。
ハイドロカノンはソウルブレイクをなんなく打ち破り、霧散させる。斬っただけでは意味がなかったが、完全に消滅させれば、流石にもう攻撃できはしないだろう。
そして弾丸はそのまま、まっすぐにシャンデラへと向かっていき——その燈火を、消し去った。
「……まさかの逆転劇ですね。以前よりも強くなっているどころの話じゃありません。以前とは別人に見えるほど、強くなっていますね」
シキミはシャンデラをボールに戻し、手元のメモ帳に何か書き込みながらそんなことを言う。メモ帳は多分、今のバトルをネタにするために、忘れないうちに書いているのだろう。
「言いたいことはたくさんあるんですけど、どの感情をなんて言ったらいいのか分からなくて。多分、どんな言葉も今の感情に飲み込まれちゃうからだと思うんですけど——」
とそこでシキミは言葉を区切り、頭を上げてイリスの方へと向く。その顔は、満面の笑顔だった。
「あなた、さらにグレートです!」
さて、ついに四天王シキミ戦が終わりました。意外と長かったですね。残念ながら、次の四天王戦は次の回ということで。さて話は変わりますが、BW2の発売が、どんどん近づいてきましたね。あと四日ですよ、四日。しかも今度は別地方のポケモンも登場しますし。僕は最初のポケモンはツタージャにしようと思っているんですけど、二番目辺りのジムに毒タイプ使いのホミカがいますから、どうしようか悩んでいます。それではあとがきもこの辺で、次回は四天王戦パート2です。誰になるのかは次回のお楽しみに。