二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 395章 柔道 ( No.524 )
日時: 2012/07/06 23:59
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: QpE/G9Cv)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「戻れ、ズルズキン」
 戦闘不能となったズルズキンをボールに戻すイリスは、リングに直立するキノガッサを見据える。
 レンブのキノガッサは光合成で体力を回復しているため、まだ余裕のある表情だ。今のイリスの手持ちのポケモンでは、決定打を与えられるポケモンは少ない。一応、ダイケンキやディザソルがいるが、相性が悪いため、一度でもミスを犯せばやられてしまうだろう。
「だったら、少し早いけどお前の出番だな。頼んだぞ、リーテイル!」
 イリスの三番手はリーテイル。残る手持ちの中で、最もキノガッサに有効なポケモンだ。
「また光合成で回復されると厄介だ。速攻で決めるよ。エアスラッシュ!」
 リーテイルは背中の葉っぱを羽ばたかせ、無数の空気の刃を飛ばす。
「キノガッサ、種爆弾!」
 対するキノガッサは種子の爆弾を多数放ち、炸裂させて刃を相殺していく。
「ドラゴンビート!」
 一旦エアスラッシュを止め、リーテイルは龍の鼓動の如き咆哮を放つ。咆哮は種爆弾などものともせず、キノガッサに直撃する。
「そこだ、エアスラッシュ!」
 ドラゴンビートを受けたことにより怯んだキノガッサに、再度空気の刃を飛ばして追撃。威力が四倍に膨れ上がっているその攻撃をキノガッサは耐え切れず、戦闘不能となった。
「戻れキノガッサ」
 キノガッサをボールに戻すと、レンブは迷いなく次のボールを手に取った。
「草・飛行タイプのポケモン、リーテイルならば、次はこのポケモンが相手をしよう。ナゲキ、押して参る!」
 レンブが繰り出した三体目のポケモンは、柔道ポケモンのナゲキ。赤い体の人型のポケモンで、道着を纏っている。
「ナゲキか。初めて戦うポケモンだけど、相手が格闘タイプなら、ここはセオリー通りに攻めるよ。リーテイル、エアスラッシュ!」
 リーテイルは背中の葉っぱを羽ばたかせ、空気の刃を無数に放つ。
 格闘タイプのポケモンは、ほとんどが攻撃力が高い。遠くから攻める特殊攻撃よりも、接近して攻める物理攻撃を得意とするポケモンが多いのだ。
 そしてそのせいかなんなのか、格闘タイプのポケモンは物理攻撃と物理防御、この二つの能力値が高い個体が多い。
 だがそれは、裏を返せば特殊攻撃には弱いという事。イリスはタイプ相性だけでなく、それを知って技を選択したのだ。
 だが、その程度のことは熟知しているのが、四天王である。
「ナゲキ、岩石封じ!」
 ナゲキは地面に拳を叩き付け、どこから出て来たのか、岩石を隆起させる。
 隆起した岩はナゲキの全面を完全に覆い、空気の刃を弾く。
「! そんな防ぎ方が……!」
「行くぞナゲキ! ビルドアップ!」
 イリスが驚嘆している間に、ナゲキは帯を強く締め、筋肉を増強させる。
「くっ、能力を上げられると厄介なことになる。リーテイル、接近だ! リーフブレード!」
 格闘タイプに接近戦は分が悪いが、岩石封じがあるのでは四の五の言っていられない。
 リーテイルは尻尾の鋭い葉っぱを構え、ナゲキに向かって突っ込む。
「ナゲキ、山嵐!」
 リーテイルの尻尾がナゲキを切り裂く直前、ナゲキはリーテイルの尻尾を白刃取りのようにつかむと、強かに地面に叩き付けた。
「リーテイル!」
 効果はいまひとつのはずだが、リーテイルは苦しそうに呻いている。かなり効いたようだ。
「山嵐はナゲキの専用技。そしてこの攻撃は、相手のポケモンの急所を確実に突く技だ。相性の一つくらいなら、容易に引っくり返せるぞ。ナゲキ、冷凍パンチ!」
 山嵐の後もナゲキの攻撃は続き、凍てつく拳がリーテイルに襲い掛かる。
「かわせリーテイル!」
 リーテイルはリングの上を転がり、辛うじてその拳を回避する。
「柔道なのにパンチとか、どうなってるんだよ」
「なに、柔道にも当て身くらいは存在するさ。ナゲキ、もう一度冷凍パンチ!」
「リーテイル、かわしてリーフブレード!」
 ナゲキは再度凍てつく拳を繰り出すが、今度は余裕をもってその一撃を回避し、リーテイルの一閃がナゲキを切り裂く。
 しかしナゲキはビルドアップで能力を上げているので、決定打にはならない。
「リーテイル、一旦離れて! ドラゴンビートだ!」
 つかみかかろうとするナゲキから距離を取り、リーテイルは荒ぶる龍の鼓動を咆哮として撃ち出す。
「無駄だ。岩石封じ!」
 地面を隆起させ、岩石の壁で咆哮を防ぐナゲキ。
「冷凍パンチ!」
 そして拳に冷気を纏わせ、リーテイルへと殴りかかる。
「かわしてエアスラッシュ!」
 リーテイルは冷凍パンチを飛んでかわし、数多の空気の刃を飛ばすが、
「岩石封じ!」
 岩石の壁により、阻まれてしまう。
 離れて攻撃すれば岩石封じが攻撃をシャットアウトし、近づいたら山嵐や冷凍パンチが飛ぶ。隙をついて攻撃しても、ビルドアップがあるので決定打にはならない。
 なかなかの強敵だ、このナゲキ。
「攻めてこないのなら、迎撃の準備をさせてもらうぞ。ビルドアップ!」
 再度帯を締め、ナゲキは筋肉を増強させる。それにより、物理攻撃力と防御力が上昇する。
「くっそ、やるしかないか。リーテイル、エアスラッシュ!」
 リーテイルは今までよりも大きく羽ばたき、多量の空気の刃を放つ。
「岩石封じ!」
 だがその刃も、岩石封じの前には無力化されてしまう。岩石でこちらの攻撃までもが封じられてしまう。
(どうすればいい。こっちの攻撃はことごとく防がれるし、下手に近づけば迎撃される。正攻法じゃ勝てないにしても、裏技だって通用しないようなポケモンだ。何かないのか、あのナゲキでも対応できないような動きをするポケモンは——)
 と、そこでイリスは思い至った。強敵ナゲキを打倒しうる可能性のあるポケモンの存在に。
「そうだ、あいつだ。あいつなら、もしかしたら……戻れ、リーテイル」
 思いに至るや否や、イリスはリーテイルをボールに戻す。そして、次なるボールを手に取った。
「む、ポケモンを入れ替えるか。何か策でもあるのか?」
「まあ、そんなところです。見ててください。僕のこのポケモンで、そのナゲキを倒してみせます!」
 握りしめたボールを突き出し、イリスはそう豪語した。



BW2の発売がテスト一週間前ということで、誘惑に負けてテストの結果がやばいことになりそうな白黒です。今回はレンブ戦その三ですが、ナゲキが強いです。遠距離攻撃は岩石封じで防ぎ、近距離攻撃は迎撃します。ビルドアップで防御も高いので、決定打に乏しいです。ですが、そこをかいくぐってイリスの次なるポケモンが、ナゲキを倒してくれるはず。では、次回もお楽しみに。