二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 397章 筋肉 ( No.526 )
日時: 2012/07/10 21:15
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: QpE/G9Cv)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「ダイケンキ、メガホーンだ!」
 ダイケンキはダゲキの手刀を無理矢理押し切ると、法螺貝のような長大な角でダゲキを突き上げた。
「ぬぅ。ダゲキ、ストーンエッジ!」
 だがダゲキもただではやられない。空中に浮いた状態で周囲に尖った岩を浮かべ、それらを一斉にダイケンキへと射出する。
「吹雪だ!」
 ダイケンキも負けじと猛烈な吹雪を放つが、それが少しだけ遅かった。まだ勢いのつかない吹雪を、ストーンエッジは楽々と突き抜けてダイケンキの体に突き刺さる。
「攻めるぞダゲ。ダブルチョップ!」
 着地したダゲキは、手刀を構えてダイケンキに接近し、鋭い一撃を二度、叩き込む。
「くぅ、ダイケンキ、シェルブレードで引き剥がせ!」
 ダイケンキは前足の鎧から素早くアシガタナを抜き、一閃する。しかしダゲキは飛び上がってその攻撃を回避し、そのまま後ろに下がってしまった。
「ちょこまかとすばしっこいな……ダイケンキ、吹雪!」
「ダゲキ、かわして炎のパンチ!」
 ダイケンキは吹き荒ぶ猛烈な吹雪を放つが、ダゲキは跳躍して回避し、ダイケンキの額に炎の拳を叩き込む。しかもダイケンキがカウンターで突き出したアシガタナも軽くかわし、また後ろに下がる。
「ヒット&アウェイってやつか。まさか、ここまで厄介なものとは」
「当然だ。ダゲキが身に付けた筋肉は攻撃のためだけにあらず。時には敵の攻撃を防ぎ、時には敵の攻撃をかわすためにある。ダゲキ、ストーンエッジ!」
 ダゲキは鋭く尖った岩を無数に射出し、ダイケンキに突き立てる。
「くっそ、こうなったら一気に斬り込んでみるか。ダイケンキ、シェルブレードで突っ込め!」
 ダイケンキは気勢を発すると、両前足から仕込み刀、アシガタナを抜刀する。そして両手にそれらを携え、ダゲキに向かって突貫する。
「無駄だ。ダゲキ、ダブルチョップ!」
 ダイケンキの刀に対し、ダゲキも両手の手刀を構え、鍔迫り合いのように受け止める。
「ダイケンキ、そのまま押し切れ!」
「無駄だと言っただろう。ストーンエッジ!」
 ダイケンキが刀に力を込める最中、ダゲキはリングより鋭い岩を上に向かって射出する。なれば必然的に、その岩はダイケンキの腹に深く突き刺さる結果となる。
「そこだ、炎のパンチ!」
 ダイケンキが怯んだ隙に、ダゲキは拳に炎を灯してその顔面を思い切り殴り飛ばす。
 吹っ飛ぶ、とまではいかなくとも、ダゲキほどの攻撃力を持つポケモンの拳がクリーンヒットしたダイケンキは、大きく後ずさった。
「さあ、そろそろ決めるぞ」
 レンブはそう言い、ダゲキへと指示を出す。

「ダゲキ、インファイト!」

 刹那、ダゲキはダイケンキの正面まで接近し、激しい打撃を嵐の如く繰り出す。
 突き、蹴り、手刀、頭突き、貫手、掌底、膝蹴り、足払い、踵落とし……絶え間なくダゲキの猛攻が続き、最後の一撃がダイケンキの腹に叩き込まれる。
「……決まったか」
 そう思ってダゲキは拳を引く。ダイケンキは俯いたまま、動かない。だが、ぐらりと、体が前へと揺れる——

「ダイケンキ、シェルブレードだ」

 ——そして、ダイケンキはアシガタナによる刺突を、ダゲキに突き込んだ。
「なにっ! ダゲキ!」
 あえなくダゲキは吹っ飛ばされ、リングの壁に激突する。
「レンブさん、あなたは少し、僕のダイケンキを舐めてますよ。僕のダイケンキの打たれ強さは尋常じゃありません。あのくらいの猛攻、耐え切れて当然ですよ」
 とは言うものの、ダイケンキの体力も残り僅か。最後の一撃を打ち込むだけが限界だろう。
 しかし、その一撃さえ撃ち込めれば、それで十分だ。
「ハイドロカノン!」
 ダイケンキは目の前に巨大な水の弾丸を生成する。大量の水を圧縮した、破壊の弾丸。そして自身はその銃身。
 ダイケンキは今、その弾丸を発射する。
「ぬおぉ……!」
 激しい水飛沫が散り、弾丸が発射される。弾丸はまっすぐにダゲキに向かっていき、その筋肉質の体を撃ち抜く。
「ダゲキ!」
 流石のダゲキも、この大技を耐え切ることはできなかったようで、戦闘不能となる。そしてダイケンキもまた、力を使い果たし、地に伏せた。
「よくやったよダイケンキ。あとはリーテイルに任せろ」
「戻れ、ダゲキ。お主は力の限りを尽くした。遺恨はあるまい」
 それぞれポケモンをボールに戻す。残るはお互いにあと一体。イリスはレンブの次のポケモンが何かは分からないが、格闘タイプであることは確か。ならば、飛行タイプを持つリーテイルが有利。
「これで最後だ。出て来い、リーテイル!」
「ラスト一匹、行くぞ。ローブシン、押して参る!」
 イリスの最後のポケモンは、リーテイル。キノガッサとナゲキとの戦いの疲れは、もう見えない。
 対するレンブのポケモンは、二本のコンクリート柱を杖のように使っているポケモン、ローブシン。その姿は年老いた老人のようだが、肉体は見事なまでの筋肉質。
「ローブシン、格闘タイプ屈指の攻撃力を持つポケモンか。強敵だな」
 だが、それと同時にローブシンは格闘タイプの弱点である、特殊攻撃力の弱さを持っている。なおさら、リーテイルならやりやすい。
「よし、一気に行くぞ。リーテイル、エア——」
「投げつける」
 イリスがリーテイルに指示を出すよりも早く、そして速く、何かがリーテイル目掛けて飛んできた。
「っ!? かわせ!」
 リーテイルはその何かを寸でのところでかわす。そしてその直後、ドガァン、という何かが砕け散るような爆音が耳に届いた。
 イリスは恐る恐る振り向く。すると、そこには——
「うわっ……」
 壁に深々のめり込んだ、コンクリートの柱があった。しかも壁は鋼鉄製。どう考えてもコンクリートが砕けそうなものだが、砕けているのは壁の方だ。
「英雄、イリスよ。一つ忠告しておこう」
 レンブは威風堂々と、イリスをまっすぐに見つめて、口を開く。
「我がローブシンは、力なら四天王だけでなく、わが師、アデクのポケモンをも超える。その辺り、よく覚えておくことだ」



やたら終わり方が微妙になってしまいましたが、文字数的にしょうがないのです。さてテストが終わり、気兼ねなく更新できるようになった白黒です。とはいえ、テストの結果が散々なことになってそうなので、気兼ねなくというわけにはいきませんが。今回はレンブ戦、その……五くらいです。遂にレンブの切り札、ローブシンが登場しました。あいつ攻撃力が半端ないですよね。というか、BWのポケモンって、やたら能力偏ってるやつが多い気がするのは気のせいでしょうか。では次回はやっとレンブ戦が終わりそうです。次回もお楽しみに。