二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 406章 イリスvsカトレア ( No.542 )
日時: 2012/12/05 17:22
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

 イリスはいまだかつて味わったことのないような無重力感に身を任せながら、気を落ち着かせていた。
 ギーマとの戦いを終えたイリスが向かったのは、ポケモンリーグ最後の塔、通称『夢現の寝台』。
 宇宙空間のような暗闇と、星のように輝く無数の小さな光に囲まれた、幻想的な場所だ。雰囲気を出すためか、何かしらの力で果てが分からないようにもなっている。
 入って早々、どうやって上に上がったものかと考えていたイリスだが、一歩踏み出せば念動力のような力がイリスを宙に浮かせ、四天王が待つ塔の最上階へと導いてくれる。
 しばし経つこと数分、イリスは塔の最上階へと到着した。そして、そこで待っていたものは——
「……花?」
 だった。
 巨大な白薔薇が、最上階の間に鎮座している。
「……?」
 しばらくその白薔薇を眺めていたイリスだが、その花弁が少しずつ動いていることに気付く。どうやら開くようだ。
 ゆっくりと開花していく白薔薇の中から現れたのは、大人びた、それでいてダウナーな雰囲気を醸し出す一人の少女。金髪のロングヘアーはウェーブがかっており、服装は白と薄いピンクを基調としていて、寝間着のようにも見える。
 少女は眠たげに眼をしょぼしょぼさせながら、こちらへと歩み寄ってくる。
「花開き、現れるのはアタクシ……」
 ゆっくりとした歩調で、一歩ずつこちらに近づいていき、一定の距離になると、止まった。
「……あら、貴方は——」
「……初めまして、カトレアさん」
 恐らくイリスと歳はそう変わらないだろうが、一応敬語を使うイリス。その口調には、警戒するような空気があった。
 実際イリスは、以前カトレアのことをミキから聞いていた。 そしてそれは、カトレアも同じだったようだ。
「初めまして。……そう、貴方があの子の師……どうりで、大きな力を感じるわけ……ふぁ」
 話の途中に、カトレアは大きく欠伸をする。まさか本当に、今の今まで寝ていたのだろうか。
「失礼……あの子の師だというのなら、相当な強者よね。なら、早く始めましょう……言葉を並べていても、何も始まらない」
「それに関しては同感ですが、あんまり期待し過ぎないでくださいよ。僕だって、ミキちゃんとそこまで実力差があるわけじゃないんですから」
 言いながらイリスはボールを手に取り、臨戦態勢に入る。
「それじゃあ始めましょう。優雅で華麗な、夢のようなひと時を——」



「楽しい時間を頂戴……メタグロス」
 カトレアの一番手は、鉄足ポケモンのメタグロスだった。
「いきなり強力なポケモンが来たな……」
 メタグロスなら7Pのフレイも使っていたが、硬い防御で守り、高い攻撃力で攻める厄介なポケモンだった。
「まずは様子見……出て来い、デスカーン!」
 イリスの一番手はデスカーン。メタゲラスでもよかったが、とりあえず様子を見るということで、防御の高いデスカーンを選択。
「まずはこれだ。シャドーボール!」
 デスカーンは四本の手からそれぞれ一発ずつ、合計四発の影の球を発射する。
 メタグロスは身じろき一つせず、それらの球を全て受け切った。効果は薄いようだ。
「メタグロス、メタルブラスト」
 メタグロスは口腔に鋼のエネルギーを集中させ、狙いを定めて前方へと発射する。デスカーンではまず避けられない速度で、影のような体に直撃した。。
「ぐっ、攻撃型か……だったら鬼火だ!」
「スプラッシュ」
 デスカーンは青白く燃える火の球を放ち、メタグロスを火傷させようとするが、メタグロスは全身に水流を纏って突進してきたため、鬼火は全て消え、デスカーンも攻撃を受けてしまった。
「続けて思念の頭突き」
 さらに思念を集めた強烈な頭突きが叩き込まれる。防御力が高いとはいえ、流石にこの連続攻撃は効く。
「反撃だ、鬼火!」
 頭突きを繰り出して隙が生じたところに、デスカーンの鬼火が入り込む。
 これでメタグロスは火傷状態。高い攻撃力も、多少は抑えられる。
「全く問題ありませんわ。メタグロス、スプラッシュ」
 ポケモンが火傷状態にされたというのに、カトレアは全く動じず次の指示を出す。
 最初は全身に纏っていた水流を、今度は腕だけに集中させて纏わせ、メタグロスはデスカーンを殴りつける。デスカーンも大きく吹っ飛ばされた。
「追撃、メタルブラスト」
「サイコキネシスだ!」
 メタグロスが強力な鋼エネルギーを撃つのに合わせ、デスカーンも念動力で対抗するが、すぐに破られてしまい、威力が多少減衰しただけで直撃を受けてしまう。
「流石にこのままじゃ……デスカーン、一旦戻れ!」
 出て来たばかりだが、イリスはデスカーンを引っ込める。メタグロスは火傷状態でも攻撃が衰えないし、なによりこちらには決定打がない。シャドーボールがほとんど効かず、サイコキネシスも破られてしまったなら、デスカーンにできることはもうほとんどない。
「次はセオリー通り、弱点を攻める。メタゲラス!」
 イリスの二番手はメタゲラス。大地の怒りで、メタグロスの弱点を突けるが、向こうもスプラッシュがあるので油断はできない。それに、
「メタグロス、地震」
 メタグロスは鋼鉄の足で地面を踏み揺らし、強力な衝撃波を放つ。
「やっぱり地震も持ってるか! 大地の怒り!」
 メタゲラスも地面を踏み鳴らし、土砂を巻き上げる勢いで衝撃波を発生させ、地震を相殺する。
「さて、初っ端から随分な強敵だな……行くぞ、メタゲラス!」
 イリスの声と共にメタゲラスは咆哮し、強大な敵へと角を構える。



さて、なんだか締めが微妙ですが、いつものことなので気にしません。今回は四天王第四戦、カトレア戦です。カトレアの一番手は強力なメタグロス、しかも水と地面技持ちですから、メタゲラスも苦戦するでしょう。というわけで次回はカトレア戦その二。たぶんこの戦いは、わりと早く終わります。というか終わらせたい……次回もお楽しみに。