二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 414章 予約 ( No.556 )
日時: 2012/12/16 18:15
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

 エルエイドが動こうとした瞬間、まるで見えない爆発でも起こったかのように、エルレイドは後方に吹っ飛ばされた。
「!? エルレイド!」
 いきなりの事態で流石のイリスも驚かずにはいられないが、それを待ってくれる四天王でもなかった。
「ゴチルゼル、エナジーボール」
 ゴチルゼルは掌から自然の力を凝縮した緑色の球体を放ち、エルレイドを攻撃する。
 早速二連続の攻撃を受けてしまったエルレイドは、ゆっくりと立ち上がる。両方とも特殊技だったのがよかった、エルレイドの耐久力は特防よりなため、特殊技ならある程度は受け切れる。
「今のは未来予知……」
 未来予知、その名の通り未来の相手の動きを予知して予め攻撃を入れ、時間差で相手を攻撃するトリッキーな技だ。
「ゴチルゼルの天体の位置から未来を見通す力と未来予知を合わせれば、その予言は正確無比なものとなる。アタクシは今まで、このゴチルゼルで何人ものトレーナーを倒してきました」
 どうやらカトレアはこのゴチルゼルに相当な自信があるようだ。
「未来予知」
 ゴチルゼルは未来を予知し、攻撃を予約する。いつ攻撃されるか分からない分、中々厄介だ。
「先手は取られたけど、まだこれからだ。エルレイド、影討ち!」
 エルエイドは影に潜り込み、影を伝ってゴチルゼルの背後に回る。そして肘の刃を振りかざすが、
「!?」
 刃を振り下ろす直前、エルレイドはまた後方に吹っ飛ばされた。未来予知だ。
「ゴチルゼル、シグナルビーム」
 ゴチルゼルはすぐにエルレイドへと接近し、イリスのもとへ押し戻すかのようにカラフルな光線を発射し、エルレイドを攻撃する。
「未来予知」
 そしてまた、未来の攻撃を予知する。
「エルレイドが攻撃する瞬間を狙って攻撃を予知したのか。エルレイド、とにかく攻めるよ。サイコバレッ——」
 イリスが指示を出し終えるその時、またもエルレイドは攻撃を受ける。
「っ……またか!」
「十万ボルト」
 未来予知を受けて怯んでいるエルレイドに、ゴチルゼルは強力な電撃を浴びせ、
「未来予知です」
 またも未来への攻撃予約。
「……エルレイド、たぶんゴチルゼルの未来予知をかわすことは無理だ。耐えてくれよ。影討ち!」
 エルレイドは再び影に潜り込み、ゴチルゼルの背後へ移動し、刃を一閃するが、やはりそこで未来予知の攻撃を受けてしまう。
「エルレイド!」
 しかしエルレイドも、何度も修羅場を潜ってきたイリスの仲間。なんとか態勢を崩さずに攻撃を受け、ゴチルゼルを切り裂く。
「続けてアイスブレード!」
 さらにエルレイドは氷結した刃を振るい、ゴチルゼルを連続で斬りつける。けれどゴチルゼルは耐久の高いポケモン、連続でアイスブレードを受けても、そこまで大きなダメージにはならない。
「ゴチルゼル、十万ボルトで引き剥がしなさい」
「エルレイド、かわしてマグナムパンチ!」
 ゴチルゼルが電撃を放つも、エルレイドは跳んで回避。ゴチルゼルの背中に、大砲のような拳を叩き込む。
「……ゴチルゼル、未来予知」
 エルレイドの拳を受けても態勢を崩さないゴチルゼルは、未来へ攻撃を予約。さらに、
「シグナルビーム、二発です」
 掌からカラフルな光線を発射する。
 一発目はかわされたが二発目は直撃し、打ち上げる。
「エナジーボール」
 そこに緑色の球体を発射。球体はエルレイドへと飛んでいくが、
「アイスブレード!」
 エルレイドは氷の刃で切り裂こうとするが、そう簡単にはいかなかった。
 エルレイドは刃を引き抜く寸前で未来予知の攻撃を受け、エナジーボールの直撃を喰らってしまった。
「続けて十万ボルトです」
「させない! サイコバレット!」
 エルレイドが落ちてきたところにゴチルゼルは電撃を放つが、エルレイドも弾丸のような念動力を連射して電撃を撃ち破り、そのままゴチルゼルに攻撃。
 効果はいまひとつだが急所に当たったのか、結構大きなダメージを与えられたようだ。
「よし、このまま行くよ。サイコバレット!」
「……未来予知」
 エルレイドは再び念動力の弾丸を乱射するが、ゴチルゼルは回避も防御もせず、未来予知をするだけでその銃弾を受ける。
 サイコバレットの攻撃がゴチルゼルの弱点部位を突いているのか、何故かこの技だけ他の技に比べてゴチルゼルへのダメージが大きい。
「でも、サイコバレットはたまに火傷状態になるデメリットがある。無暗に使わない方がいいか……影討ち!」
 エルレイドは影を伝い、ゴチルゼルのを背後から攻撃する。
「……?」
 この時イリスは違和感を感じた。
 エルレイドが刃を振り下ろす直前、エルレイドが攻撃を受けていない、つまり未来予知が発動していない。さっきまでならここで攻撃を行い、エルレイドの動きを止めようとするはずだ。しかし今回はそれをしなかった。
 何故なら、
「ゴチルゼル、シグナルビーム」
 エルレイドが刃を振り下ろす直前、ゴチルゼルは脇の下に通してあった手から光線を発射してエルレイドを押し飛ばす。さらに飛ばされた先で、そのまま地面に叩き付けられた。今度こそ未来予知だ。
「ゴチルゼル、未来予知からエナジーボール」
 攻撃予約後、ゴチルゼルは緑色の球体をエルレイドへと発射して追撃をかける。
「ぐっ、エルレイド、かわしてアイスブレード!」
 エルレイドは転がるように球をかわし、刃を氷結させて攻撃に転じるが、そこで未来予知の攻撃が発生。エルレイドは一瞬だけ動きを止めてしまう。
 そしてその一瞬で、ゴチルゼルが動く。
「シグナルビームから未来予知」
 ゴチルゼルは掌から光線を放ち、エルレイドを攻撃。距離がさらに開いたところで、未来の攻撃を予知する。
 どうもカトレアは、エルレイドが未来予知を耐えるようになってから、未来予知を攻撃中断ではなく追撃や攻撃のための布石としてつかうようになってきた。
 これだけ攻撃を喰らえば、エルレイドも長くはもたない。
「ゴチルゼル、十万ボルト」
「もう出し惜しみしてられないか。エルレイド、サイコバレット!」
 と指示を出す前に、未来予知とゴチルゼルの攻撃を喰らい、攻撃は中断される。
「未来予知から十万ボルト」
 さらにゴチルゼルは未来へ攻撃を予知し、電撃を放つ。エルレイドは電撃は回避したが、直後の未来予知に襲われてしまう。
「やばい……!」
 このままでは削られてやられる。その前にサイコバレットで一気に勝負を決めたいが、ゴチルゼルはそれを許さない。このゴチルゼルはこちらの攻撃すら予知し、それに合わせて攻撃を予約している。なので、ことごとくエルレイドの攻撃は中断させられたり、遅らされたりする。
「ん? 待てよ……?」
 その時、イリスは一つの仮説が頭に浮かぶ。もしかしたら、ゴチルゼルを倒せるかもしれない仮説。博打と言ってもいいような作戦が。
 そしてその時、ゴチルゼルの光線と未来予知がエルレイドに直撃。もう体力は僅かだ。あと何発耐えられるか。
「やるだけやるしかないか……エルレイド、全身全霊で真上にサイコバレット!」
 テレパシーか、それとも仲間ならではの以心伝心か、エルレイドはイリスの作戦を理解し、真上に向かって念動力の銃弾を放つ。
 しかしそんなことをしても、何が起こるわけでもない。
「……何をしたいのか分かりませんが、そろそろ決めましょう。ゴチルゼル、未来予知」
 ゴチルゼルは未来へ攻撃を予知する。予知する時間が長い。恐らく最大の威力で攻撃するつもりだろう。
「十万ボルト」
「かわしてマグナムパンチ!」
 エルレイドは残る力を振り絞り一気にゴチルゼルとの距離を詰め、電撃が放たれるよりも速く拳をゴチルゼルに叩き込む。
 これも急所に当たったのか、ゴチルゼルはかなりのダメージを受けたようだ。
「ですがもうそろそろです。もう少しで時間が来て、お終いです」
「ええ、そうですね。やっと来たようです。」
「……?」
 イリスの言葉に、カトレアは首を傾げる。それはそうだろう、あと十秒ほどで高火力の未来予知を受けるのに、イリスは不敵な顔で意味不明なことを言っているのだから。
 しかしその言葉の意味を、彼女はすぐに理解することとなる。
 その時、頭上からヒュゥーという気の抜けたような音が聞こえてきた。
「……! これは……!?」
 今まで一番驚いたように、カトレアは頭上を見上げる。その目に映っているのは、銃弾のような形の何か。それが、高速で落下している。そう、

 エルレイドが放ったサイコバレットが、落下してきているのだ。

「これが、僕なりの未来予知ですかね」
 ゴチルゼルはこちらの攻撃を先読みして未来予知をする。なら、タイムラグをつけてポケモン自らが攻撃しないところから攻撃を当てればいい。サイコバレットは念動力の銃弾。念波ならそのまま消えるが、サイコバレットは質量を持っているので、上空に放たれればいずれ位置エネルギーを運動エネルギーに変換して落下してくる。
 そしてイリスの言葉を最後に、ゴチルゼルは無数の銃弾を浴びて戦闘不能となった。



四天王カトレア戦その九、遂に終了です。いやーたぶんここまで未来予知を連発したバトルって他にないですよ。あと何気にカトレアの手持ちでサイコキネシスを使うポケモンがいないです。何故こうなった。さて四天王戦もこれにて終了、次はチャンピオン戦です。楽しみに。