二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 416章 木乃伊 ( No.561 )
- 日時: 2012/12/18 02:22
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「出て来い、デスカーン!」
イリスの二番手はデスカーンだ。
鉄壁を持つバイバニラ相手ならデンリュウなどの特殊アタッカーでも良かったが、アデクの言うことが本当なら、バイバニラは防御だけでなく特防も高いはず。それならば単純なアタッカーよりも、デスカーンのような耐久型の方が戦いやすい。
「デスカーン、まずは鬼火だ!」
デスカーンは周囲に青白い火の玉を発生させ、それらをゆらゆらとバイバニラへ放つ。
「吹き飛ばせ、吹雪!」
バイバニラは向かい来る鬼火に向かって猛吹雪を放つ。如何にこのバイバニラの特攻が控えめと言えど、鬼火程度の炎なら簡単に吹き飛ばしてしまうだろう。しかし、
「デスカーン、サイコキネシス! バイバニラに直撃させろ!」
デスカーンは念動力を放ち、バイバニラを攻撃。しかしこの時デスカーンは、念動力でバイバニラを攻撃したわけではない。
「むっ、これは……!」
吹雪の範囲から逸れてバイバニラを襲うのは、無数の火の玉。そう、鬼火だ。
デスカーンはサイコキネシスで鬼火を操り、速度をつけてバイバニラへと直撃させる。擬似的な炎攻撃なためか、バイバニラへのダメージは中々、しかも鬼火の効果で火傷状態だ。
「ぬぅ、やるではないか。バイバニラ、ラスターカノン!」
光がバイバニラの正面で集束され、一つの塊と化す。バイバニラはその光弾をデスカーンに向けて発射するが、
「送り返せ、サイコキネシス!」
デスカーンの念動力に操られた光弾はまっすぐバイバニラの下へと戻っていき、氷の体に直撃する。
「シャドーボール!」
それに追い打ちをかけるように影の球が四発バイバニラを襲う。
このバイバニラ、防御能力は高いらしいが体力はそれほど多くないようだ。もうひと押しと言ったところか。
「一気に攻めるぞ、シャドーボール!」
「吹雪!」
デスカーンが放つ四つの影の球を、バイバニラは吹雪で逸らす。
「続いてラスターカノン!」
「サイコキネシスだ!」
続けて光弾を放つが、光弾は念動力に止められ、そのままバイバニラに送り返される。効果抜群なので、ダメージはわりと大きい。
「決めるぞデスカーン、シャドーボール!」
最後にデスカーンは四発の影の球を発射しバイバニラを攻撃。
火傷のダメージもあってかバイバニラは地面に落ち、戦闘不能となった。
「戻れバイバニラ、よくぞ戦ってくれた」
アデクは労いながらバイバニラをボールに戻し、数珠繋ぎで首にかけているボールの一つと取り換える。
「では行くぞ。暗き龍の洞穴を行け! クリムガン!」
アデクの二番手は洞穴ポケモン、クリムガン。深紅の顔と青い体に生えた棘、ゴツゴツとした肌が特徴の、ドラゴンタイプのポケモンだ。
「クリムガン、ドラゴンクロー!」
クリムガンは鋭い龍の爪を振りかざし、デスカーンへと接近する。
「デスカーン、とりあえず一回耐えろ。それから反撃でシャドーボールだ」
デスカーンは手足を棺桶の中に引っ込め、防御態勢を取る。その直後に黄金の棺を引き千切らんばかりの勢いでクリムガンの爪がデスカーンを捉えた。
「今だ!」
しかしこのくらいの攻撃なら、デスカーンに耐えられないはずがない。デスカーンはすぐに四つの腕を伸ばし、それぞれから影の球を発射。クリムガンを攻撃するが、
「構わん、噛み砕く!」
クリムガンはシャドーボールの直撃を喰らいながらも、デスカーンの腕の一本に顔を近づけ、がぶりとかぶりつく。
噛み砕くは悪タイプの技。流石のデスカーンもこれは応えたようで、聞くに耐えない絶叫を上げた。
「やばい……デスカーン、パワーシェア!」
デスカーンは絶叫しながらも、すぐに自身とクリムガンを光で包み込み、同じ光で繋ぐ。
これでデスカーンとクリムガンの攻撃能力は共有され、同じ値となる。さらに、
「鬼火!」
いまだかぶりついているデスカーンに青白い鬼火をぶつける。これでクリムガンは火傷状態だ。
「クリムガン、アクアテール!」
「耐えろデスカーン!」
ようやっとクリムガンはデスカーンを解放したが、すぐに水流を纏わせた尻尾を金色の体に叩き付ける。
だがそこは、イリスの手持ちで最も高い耐久力を持つデスカーンだ。すぐに防御形態になり、ダメージを軽減。そのままクリムガンを弾き飛ばした。さらに、それだけではなかった。
クリムガンがアクアテールを繰り出した後、クリムガンの体から不気味な闇の瘴気が発される。
「特性ミイラ。そのクリムガンは、力ずくの特性で噛み砕くの威力を上げていますよね。それを封じさせてもらいました」
デスカーンの特性はミイラ。触れた相手の特性を、強制的にミイラに変えてしまう。それによって追加効果が発生しない代わりに技の威力を上げるクリムガンの特性、力ずくを無効化したのだ。
「パワーシェア、鬼火、そしてミイラか……どうやら、よっぽど相手の攻撃を邪魔したいようだな」
「それがこいつの取り柄みたいなものですからね。デスカーン、シャドーボールだ!」
デスカーンは四つの影の球をクリムガンへと発射した。パワーシェアでクリムガンの特攻がいくらかプラスされているため、弾速はそこそこ上がっている。
「全て撃ち落とせクリムガン、ダストシュート!」
対するクリムガンはゴミの塊を引き千切って大雑把に四等分し、それぞれ向かってくる影の球に向かって投げ飛ばし相殺した。
「もう一発ダストシュート!」
技同士の相殺によって発生した砂煙の中から、クリムガンは再びゴミの塊を投げ飛ばす。
本来ならばここでサイコキネシスを使って止めるところだが、砂煙で視界が悪いデスカーンは、攻撃が当たるギリギリまでゴミの塊に気付けず、直撃を受けた。
「クリムガンは暗き洞穴に住むポケモンだ。砂煙の中でも、問題なく辺りを見通せる。クリムガン、ドラゴンクロー!」
クリムガンは龍の力を爪に込め、大きく振りかぶって突貫する。
「くっ、デスカーン、サイコキネシス!」
デスカーンの念動力でクリムガンの動きを止めるが、
「打ち破れ! ドラゴンクロー!」
クリムガンは気合で念動力の拘束を解いてしまい、勢いそのままにデスカーンへと突っ込み、龍の爪で切り裂く。
「噛み砕く!」
そしてさらなる攻撃。クリムガンは大口を開けてデスカーンの腕にかぶりつく。
パワーシェア、火傷、ミイラで力ずく無効と、クリムガンの攻撃力は相当下がっているはずだが、それでもダメージが大きい。
「引き剥がせ、サイコキネシス!」
不気味な悲鳴を上げ続けるデスカーンは、念動力でかぶりつくクリムガンをなんとか引き剥がし、空中へと持ち上げる。もしまた念動力の拘束を破っても、空中ならすぐに攻撃には移れないだろうという判断だ。
「そこだ、シャドーボール!」
空中で無防備な状態を晒しているクリムガンに向かって、デスカーンの影の球が四発飛ぶ。四発とも直撃したが、クリムガンはままだやる気のようで、拘束を無理やり解き、咆哮を上げる。
「くぅ、打たれ強いな……!」
とはいえクリムガンは現在火傷状態。いずれ体力が尽きるのは保証されているので、問題はそれまでどう生き残るかだ。
「クリムガン、噛み砕く!」
クリムガンは牙をガチガチと鳴らしながら、デスカーンに向かって駆けだす。
「デスカーン、とにかくクリムガンを寄せ付けるな! シャドーボール!」
デスカーンは四発ではなく、それぞれの腕から連続で何発もの影の球を発射する。数が多い分威力や精度は落ちるが、それでもクリムガンの動きを一瞬でも止めることは出来るだろう。そしてその止まった一瞬で、
「サイコキネシス!」
クリムガンを拘束、空中に持ち上げる。
しかし今度は攻撃をぶつけたりはしない。最大パワーの拘束で縛り付け、動きを封じる。つもりなのだが、
「アクアテール!」
またもクリムガンは無理やり拘束を解いてしまい、水を纏った尻尾をデスカーンの脳天に叩き込む。
「続けて噛み砕く!」
「っ……サイコキネシス!」
アクアテールで怯んだデスカーンに向かって、クリムガンは牙を剥く。デスカーンは念動力で止めようとするも打ち破られてしまい、デスカーンの腕にクリムガンの牙が食い込む。
「さあ、これで終いとしようではないか、クリムガン。連続でドラゴンクロー!」
クリムガンは頭でかぶりついた腕を引っ張って、デスカーンを引き寄せる。そしてデスカーンがクリムガンの攻撃射程圏内に入った瞬間、クリムガンは目にも止まらぬ怒涛の連続ラッシュを黄金の体に炸裂させる。噛み砕くで固定しているので吹っ飛ぶこともなく、龍の爪による連続攻撃は絶え間なく続き、そして、
「デスカーン!」
最後の一撃がデスカーンを捉えたと同時に牙の拘束が解け、デスカーンは吹っ飛ばされる。
地面に叩き付けられたとき、デスカーンは既に戦闘不能となっていた。
やって来ましたイリス対アデクその二。イリスの二番手デスカーンがきっちりバイバニラを倒しましたが、続くアデクのクリムガンにより、またもイリスは先手を取られるような形で敗北してしまいました。にしてもクリムガン強いですね。最近思ったのですが、僕の小説に出て来るポケモンって、なんだか能力が極端というか、軽く力のインフレ起こしてません? そんなこんなで次回はアデク戦その三。カトレアに長く使いすぎてしまったため、彼女より短めに終わるかな? 次回もお楽しみに。