二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 437章 弾丸 ( No.604 )
- 日時: 2013/01/05 11:08
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「バレットパンチ!」
ハッサムの弾丸の如き拳が飛び、リーフィスのガラス鉢のような体に叩き込まれる。
「続いてぶち壊す!」
さらにハサミによる連撃が繰り出され、リーフィスは心身ともに軋みを上げる。如何に耐久型のポケモンとはいえ、これだけ攻撃を受ければそうもたないだろう。
「リーフィス、大地の怒り!」
リーフィスは大地を鳴動させて地面から土砂を吹き出し、ハッサムを引き剥がそうとするが、
「無駄ですよ、アクロバットです!」
土砂が噴出されるのに合わせてハッサムは跳び、後ろからリーフィスを攻撃。
「ハッサム、ぶち壊す!」
さらに重たいハサミの一撃も叩き込む。
「くぅ……大地の怒り!」
リーフィスは自分の周囲を取り囲むように大地から土砂を吹き出し、今度こそハッサムを引き剥がす。
「ハイドロポンプ!」
「バレットパンチです!」
宙に舞ったハッサムを撃ち落とすべくリーフィスは大量の水を噴射するが、なんとハッサムはその大量の水を一瞬だけ足場にし、そのまま弾丸の如き速度でリーフィスに接近。拳を叩き込む。
「ぶち壊す!」
加えて凄まじい気迫を発する重量感のある一撃。
このハッサムは、体が重いわりにかなり俊敏な動きをする。実際の素早さはそれほど高くないのだろうが、バレットパンチとアクロバットで高速接近し、そのまま強力な技を叩き込むのだから、相当厄介だ。
「もう一度ぶち壊す!」
ハッサムは重たく強力なハサミによる一撃を、リーフィスのガラス鉢の体に叩き込む。ガラス鉢は軋みを上げ、今にも砕けてしまいそうだ。
「さらにぶち壊す!」
「ハイドロポンプ!」
ハッサムがまたもハサミを振り上げると、リーフィスは勢いよく水流を発射してハッサムを押し飛ばす。
「大成長よ!」
そして次に地中から大量の根っこを呼び出し、それらを操ってハッサムを襲わせるが、
「ハッサム、バレットパンチです!」
根っこの群れを軽く跳び越し、ハッサムはリーフィスのガラス鉢を弾丸の拳で殴りつける。
「そろそろ終わりにしましょう。ハッサム、ぶち壊す!」
ハッサムはハサミを大きく振りかぶり、鬼気迫る勢いで全身全霊、フルパワーの重たいハサミの一撃をリーフィスのガラス鉢に叩き込んだ。
すると次の瞬間、リーフィスの本体を防護していたガラス鉢の体が、粉砕した。
ガラスの破片が宙を舞い、リーフィスは弱点となる本体を晒して吹っ飛ばされる。
「リーフィス!」
リオは叫ぶ。リーフィスも地面に打ちつけられてなお立ち上がろうとするが、しかし、それを許さないものがいた。
ハッサムだ。
「虫食い」
ハッサムは両手のハサミを開き、弱点となるリーフィスの緑色の体を挟み込む。
するとリーフィスは甲高い声で絶叫し、ぐったりと倒れてしまう。戦闘不能だ。
「……リーフィス、戻って」
暗い顔で、リオはリーフィスをボールに戻す。ちらりとハッサムを見遣ると、疲労はしているだろうがまだまだ戦えるように見える。
「ふふ、貴女があまりにも小癪な手を使うものですから、少々手荒く攻めてみました」
見るとハッサムの体には、蔓のような植物が巻き付いていた。これは宿木の種、この種を植え付けられたポケモンは、少しずつ体力を奪われるのだ。
リーフィスがあれほどのハッサムの猛攻に耐えられたのも、この宿木の種による影響が強い。
「恐らくハイドロポンプの中にでも仕込ませていたのでしょう。なので、持久戦に持ち込まれる前に決めさせて頂きました」
そう言った直後エレクトロは、やはり十割は難しいですか、今回は九割五分が限界というところでしょう、と呟く。
なんにせよ、ハッサムがぶち壊すを覚えているというのならシャンデラを出し難い。バレットパンチやアクロバットなど、あまり高くない機動力を補うような技まで持っているのだから、尚更だ。
「となると、次はやっぱりこの子……出て来て、ドラドーン!」
リオの三番手は、神龍ポケモンのドラドーン。通常個体を超える10m以上の巨体で、その姿は見るものを圧倒する。
だが、
「ドラドーン、ですか。かなりの巨体のようですが、我々の仲間にはドランという者がいます。彼のドラドーンは、そのドラドーンを超える巨躯です。驚くには値しません」
エレクトロは至って冷静に言葉を発した。それだけ余裕があるのだろう。
「……ドラドーン、凍える風!」
ドラドーンは文字通り凍えるような風を吹き放つが、その出力が尋常じゃない。凍える風というより、いっそ吹雪という方が正しいくらいの勢いだ。
「ハッサム、バレットパンチです!」
しかしハッサムはそんな風など気にする風でもなく、軽く突き破って弾丸の如き拳をドラドーンの顎に叩き込む。
「アクロバット!」
続けて頭まで移動し、脳天にハサミを突き込んだ。
「振り払って! 凍える風!」
巨体故に衝撃には強いのか、ドラドーンはハッサムを体から揺り落とし、そのまま凍える風を吹きつける。
「もう一度!」
さらにドラドーンは凍える風を吹きつけて攻撃。効果いまひとつのためそれほど大きなダメージを与えられないはずだが、それでもドラドーンは続けた。
「また何か考えているようですね。ハッサム、バレットパンチ!」
ハッサムは凍える風が吹き荒ぶ中、弾丸の如きスピードでドラドーンに接近し、閉じたハサミを拳のように振るって顔面を殴りつける。
「続けて虫食い!」
「吹き飛ばして! ハリケーン!」
ハッサムが開いたハサミを突き出す最中、ドラドーンは災害のような突風を放ってハッサムを吹き飛ばし、地面に叩き付ける。
「今よ、ドラゴンプレス!」
そして地面に仰向けになっているハッサム目掛けて急降下し、そのまま押し潰す。その巨体をいかんなく発揮した攻撃だ。
「ハッサム、抜け出しなさい。ぶち壊す!」
ハッサムは不自由ながらもハサミをドラドーンに叩き付けるが、威力が足らず、ドラドーンが動く気配はない。
ドラドーンの特性は威嚇、よってハッサムの攻撃力は下降し、物理技の威力が下がっているのだ。
「これで決める! ドラドーン、炎の牙!」
「ならば牙ごとへし折りなさい。ハッサム、ぶち壊す!」
ドラドーンは一度巨体を浮かし、炎を灯した牙を剥いてハッサムに襲い掛かる。ハッサムも凄まじい殺気を発しながら重たいハサミの一撃を突き出して対抗する。
双方の技が激突してしばし競り合うが、やはりハッサムの攻撃力が下がっていたために押し負け、ドラドーンの炎の牙がハッサムの赤い体に喰い込んだ。
リーフィス戦でのダメージも少なくはなく、さらに四倍弱点の炎技を受けてハッサムは遂に戦闘不能となった。
「お戻りなさい、ハッサム。……ふむ」
エレクトロはハッサムをボールに戻し、顎に指を添えて何か思案するような仕草をする。
「やはりどうしても全力が出ないですね……仕方ありませんか。このままバトルを続行しましょう」
ぶつぶつと何かを呟き、エレクトロは次のボールを構えた。
「では、参りますよ。飛翔の時間です、トロピウス!」
エレクトロの三番手は、トロピウスだ。竜脚類のような体にヤシの葉の翼。草と飛行の複合タイプを持つポケモンで、ドラドーンには及ばないまでも通常個体より大きなサイズを誇るが、
(トロピウス? ドルマインじゃなくて? こっちには凍える風、ハリケーン、炎の牙まであるのに……)
ドラドーンの覚えている技のほとんどは、トロピウスの弱点となるタイプ。リオはあえてそれをアピールし、ドルマインを誘い出すつもりだったのだが、完全に外れてしまった。
「大方、私のドルマインを誘い出し、後に控えるシャンデラのために少しでも削っておくつもりだったのでしょう。貴女は以前、私のトロピウスを見ている。消耗したドルマインと、タイプでは有利なトロピウスをエースのシャンデラで一気に攻め落とす作戦なのでしょうが、それくらいはお見通しです」
どうやらエレクトロは、自分が手の内を晒していたことを含め、リオの考えを読んでいたらしい。この読み合いでは、エレクトロが一枚上手だった。
「いや、でも、タイプとしてはドラドーンが有利なのは同じ。ここでトロピウスを倒せば、二対一でドルマインとのバトルが進められる」
「さて、そう上手く事が運ぶでしょうか。言っておきますが、私のトロピウスはハッサムとそれほど変わらない実力です。戦い方こそ異なりますが……それに、相手のポケモンを見ているのはこちらも同じ。シャンデラの対策をしておいて、ドラドーンの対策をしない理由はないと思いますが、いかがでしょう?」
悠然とした態度のエレクトロ。その余裕に気圧されそうになりながらも、リオは自身を奮い立たせ、拳を握り込む。
(負けられない……負けたくない……!)
その思いが、今のリオを動かしている感情であった。
今回も前回に引き続き、リオ対エレクトロのバトルです。いやー、やっぱりハッサム強いですね。タイプで勝ってるとはいえ、あの硬いリーフィスを下してドラドーンも手負わせています。さて、文字数もヤバめで書くこともなくなってきたので、次回予告でも。次回も誰かのバトルになるのでしょうが、たぶん今回みたいに引き続きリオ対エレクトロになりそうな感じです。ではでは、次回もお楽しみに。