二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 25章 迷子 ( No.61 )
- 日時: 2011/08/02 10:32
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
カゴメタウン出たイリス、N、シザンサスの三人は、次の街、サザナミタウンへと向かうべく13番道路に来ていた。
13番道路は海沿いに砂浜や緑が広がる自然豊かな道路で、地形も入り組んでおり、迷うトレーナーがしばしば現れるとの事。
そしてイリス達一行も
「うん、ここどこだろうね」
「君に分かんないなら、僕だって分からないよ」
「参ったなぁ……この辺はアタシもほとんど来た事ないや……」
見事に迷っていた。
「とりあえずこの森さえ抜ける事ができればなんとかなると思うけど、それができないからな……」
イリスは呟き、何か閃く。
「そうだ。こういう時はこの森について知っているものに聞くべきだよ」
「この森について知っているものって……そんな都合よくいるもんじゃないと思うけど」
Nの言葉に、イリスは指を振りながら答える。
「人じゃなくてポケモンに聞くんだよ。N、君の力があればできる」
イリスは期待たっぷりにNに言うが、Nは首を横に振る。
「無理だ。僕の力はかなり弱まっていて、人と信頼し合っているポケモンじゃなきゃ話せないんだ」
Nの言葉を聞き、イリスはガックリと肩を落とす。
「そうなんだ……いい手だと思ったんだけどな……」
振り出しに戻り、三人は再度考え込む。
「…………。……あ」
そして今度はシザンサスが声を上げるが、何か閃いたという訳ではなく、単に何かを見つけたという感じだった。
「どうしました、シザンさん?」
「あれ」
シザンサスが指差す方向には、小さなポケモンがいた。
体は白、頭は黄緑、角は赤とはっきりと色が分かれているポケモンだ。
「気持ちポケモンのラルトス……エスパータイプか。あのポケモンがどうしました?」
「いや、ラルトスって滅多に人前に姿を現さないし……それにラルトスは人の気持ちを読み取るポケモン、そしてトレーナーには忠実なポケモン。だから、例えばあのポケモンを捕まえてこの森から出たいと思えば、出口まで案内してくれるんじゃないかな?」
それは名案だった。
「成程。流石シザンさんです」
「あはは、そんな事ないよ」
決まれば善は急げ。イリスはボール片手に、ラルトスに近寄る。
「イリス君、ラルトスは敵意があるとすぐに逃げ出すポケモンだから、気をつけてね」
その気をつけてはラルトスに対してだと理解しつつ、イリスはポケモンを出す。
出したポケモンはブイゼル。チョイスの理由は特にない。
「よし、行くぞブイゼル。凍える風!」
ブイゼルはラルトスにある程度近づくと、冷たく凍えるような風を吹き、ラルトスを攻撃。
ラルトスはそれでこちらの存在に気付き、ブイゼルと相対する。
攻撃してくるとイリスは思ったが、その瞬間ラルトスは消えた。
「!……逃げられたのか……?」
イリスはそう思ったが、違った。
「イリス、後だ!」
Nの声を聞き、イリスは咄嗟に後ろを向く。するとそこにはラルトスがいて、両手にはサイコエネルギーが凝縮されている。
そしてラルトスはそのエネルギーをブイゼルに放ち、攻撃。ブイゼルは吹き飛ばされるが、戦闘不能ではない。
「くっ、ブイゼル、アクアジェット!」
ブイゼルは水流を纏って突撃する。しかし向かった方向は太い木の幹で、ブイゼルはそこに激突する。
「ブイゼル!?」
ブイゼルの奇行にイリスは疑問符が浮かぶ。そしてブイゼルをよく見れば、目にノイズが入ったようになっていた。
「これは……」
イリスは気になって図鑑で調べる事にした。すると
≪サイコノイズ
特殊なサイコエネルギーを相手にぶつけて攻撃する技。そのエネルギー視覚に影響を及ぼし、目にノイズが入ったようになる≫
「サイコノイズ……目潰しみたいな、いや、目潰しより厄介だな……!」
イリスは呻くが、ラルトスはそんな事は気にせずに攻撃を仕掛けてくる。今度のは普通の念力だったが、目にノイズが入ったブイゼルでは避けられない。
「くっ、どうすれば……!」
イリスは考えるが、その間にもラルトスは攻撃してくる。
「ブイゼル、全方向に凍える風!」
ブイゼルは目が見えないなりにとにかく凍える風を放ち、ラルトスを攻撃する。しかしラルトスには当たらなかった。
「テレポートで上空に退避かよ……!」
ラルトスはまたも消え、今度はブイゼルの正面にまでテレポートし、炎の拳を叩きつける。
「炎のパンチ……攻撃もなかなかのものか」
ブイゼルはそのまま何もできずに攻撃を喰らい続ける。
(どうすればいい……。ブイゼルは今視覚が奪われている。そんな状態じゃ攻撃も回避もできない。回避はともかく、攻撃ができなきゃ捕まえる事もできない。どうする……)
イリスが思考をめぐらせていると、ラルトスは丁度ブイゼルに炎の拳を叩き込んだところだった。
そして、イリスは閃いた。
「ブイゼル、逃がすな!捕まえろ!」
ブイゼルは炎のパンチを喰らいつつもなんとか踏ん張って体勢を崩さず、ラルトスの腕を掴む。
「こうすれば逃げられないしどこにいるかも分かる。ブイゼル、水鉄砲!」
ブイゼルは至近距離から水鉄砲を発射して攻撃するが、ラルトスは腕を掴まれているので吹っ飛ばず、その場に崩れ落ちる。
「やっぱり防御は低いか、これなら捕まえられる。行け、モンスターボール!」
イリスはラルトスにボールを投げる。
ラルトスはボールに吸い込まれていき、ボールはカタカタと二、三度揺れる。そして最後にカチッという音がして、ラルトスは捕獲された。
「よっし!ラルトスゲット!」
イリスは早速捕まえたラルトスをボールからだし、森から出たいと念じる。
そして三人は、無事森から出ることができたのであった。
今回はイリスがラルトスをゲットしました。ベガではラルトスの進化系統って多いんですよね。まずラルトスからキルリア、キリギシア。キルリアからサーナイト、エルレイド。キルギシアからシルドールと、たぶんポケモンの中で最も複雑な進化形態ですよ。さて、イリスのラルトスはどれに進化するのでしょうか。ではでは、次回も13番道路。しかし今度は海辺です。では、お楽しみに。