二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 439章 爪 ( No.610 )
日時: 2013/01/06 01:47
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

 ムントとドランのバトルは、ドランが二番手に繰り出したマンムーがアギルダーを下し、ムントの二番手、ネクロシアが繰り出されるところまで来ていた。
「ネクロシア、まずはシャドークローだ!」
 ネクロシアは両手に鋭利な影の爪を作り出し、マンムーへと突っ込む。
「迎え撃つよマンムー、スターフリーズ!」
 マンムーも巨大な星型の氷塊を飛ばして迎撃を試みるが、ネクロシアは横にずれて氷塊を回避する。
「だったらこれだよ! ストーンエッジ!」
 続けて無数の尖った岩を浮かべ、一斉に射出。数が多いため、避けきるのは至難だが、
「構わん、シャドークローで砕け!」
 ネクロシアは出来る限り襲い掛かる岩をかわし、かわし切れないものは影の爪で切り裂いて砕く。そうしてネクロシアはマンムーへと接近し、シャドークローを見舞った。
「続けて辻斬りだ!」
 さらに振り子を揺らすように自身を一回転させ、ネクロシアの刃がマンムーを切り裂く。
「アイスブレード!」
 さらにもう一回転。凍てつく刃で切り裂く。
「クロスチョップだ!」
「流石にもう打ち止めだよ! マンムー、ぶち壊す!」
 ネクロシアが手刀を交差に構えた辺りで、マンムーも動き出す。マンムーは全てを破壊するかのような重たい牙の一撃をネクロシアに叩き込み、吹っ飛ばした。
「追撃! スターフリーズ!」
 そこにマンムーのスターフリーズが飛ぶ。巨大な氷塊はどんどんネクロシアへと迫っていくが、
「辻斬りだ!」
 ネクロシアは空中で身体を一回転させ、下半身の鎌で氷塊を切り裂く。すると氷塊は、真っ二つになったと同時に砕け散った。氷塊の脆弱な部分を狙った攻撃だったのだろう。
「やるねぇ。でもでも、マンムーの攻撃はまだ終わりじゃないよ! ストーンエッジ!」
「かわしてシャドークロー!」
 マンムーは一斉に鋭利な岩を発射したが、ネクロシアは最初と同じように岩をかわし、砕きながらマンムーに接近。影の爪でその巨体を引き裂く。
「クロスチョップ!」
 続けて交差させた手刀もマンムーに叩き込む。高威力に加え効果抜群の攻撃に、マンムーはかなりのダメージを受ける。
「また近づかれちゃったかぁ……でも、マンムー、ぶち壊すだよ!」
 マンムーは再び牙を突き出してネクロシアを引き剥がすが、今度はネクロシアも牙をいなしてダメージを軽減し、そのまますぐ距離を詰める。
「アイスブレード!」
 そして凍てつく刃を振るってマンムーを切り裂く。
「……厚い脂肪か」
 ぼそりとムントは呟く。
 試しにと何度か氷技のアイスブレードを使用してみたが、この技だけ効き目が薄い。それはマンムーの特性、厚い脂肪によるものだと理解した。
 厚い脂肪は、その名の通りポケモンの脂肪が厚いため、熱や冷気——つまり、炎タイプと氷タイプの技の威力を半減する特性。それによって、アイスブレードの威力を半減していたようだ。
「まーねー。でも、そのネクロシアで怖いのは、どっちかっていうと辻斬りとか、格闘技のクロスチョップかな。マンムー、ストーンエッジ!」
 マンムーは、今度は地中から鋭く尖った岩を発射し、ネクロシアを攻撃。さらに、
「ぶち壊す!」
 全身全霊の突撃をかまし、ネクロシアを吹っ飛ばす。
「さらにさらに、スターフリーズ!」
 加えて巨大な氷塊を飛ばして追撃をかける。まだ態勢が整っていないネクロシアでは、この氷塊を避けることは出来ない。
「くっ……シャドークロー!」
 辛うじて自由に動かせる両手に影の爪を生成し、氷塊を切り裂く。しかし氷塊の表面に傷がついただけで、そのままネクロシアは氷塊の直撃を受ける。
「ストーンエッジ!」
 マンムーは続けて鋭く尖った岩を連射。どうやら向こうから近づく気はないらしい。
「チッ、シャドークロー!」
 ネクロシアはやはりシャドークローで岩を砕きつつマンムーに接近しようとする。これがエレクトロ相手なら二回目の時点で対策されてしまうだろうが、相手はドランだ。同じ手でも、通じる時には通じてしまう。
「スターフリーズ!」
 マンムーはストーンエッジが舞う中に巨大な星型の氷塊を投入し、ネクロシアを迎え撃とうとするが、それもネクロシアにかわされてしまい、結局は影の爪に引き裂かれた。
「辻斬りだ!」
「ぶち壊す!」
 ネクロシアは一回転して下半身の鎌を振るうが、同時にマンムーも牙を突き出しており、ネクロシアは力負けして吹っ飛ばされた。
「スターフリーズだよ!」
 続けてマンムーは星型の氷塊を飛ばす。またも態勢が整っていない状態でのスターフリーズを放たれたネクロシアは、
「ちまちま攻撃しても埒があかないな……一気に決めるぞネクロシア! クロスチョップ!」
 交差させた手刀を氷塊に叩き付け、氷塊は砕け散った。それと同時に態勢を立て直し、マンムーに特攻をかける。
「もう一度クロスチョップだ!」
 手刀を交差させたまま、ネクロシアの一撃がマンムーの額に直撃。効果抜群に加えて急所を狙った攻撃なため、相当なダメージだ。
「むぅ……マンムー、ぶち壊す!」
「させん! ネクロシア、辻斬り!」
 マンムーが牙を突き出すよりも速く、ネクロシアは下半身の鎌を振るってマンムーの急所を切り裂く。
 そして遂にマンムーは陥落。鈍いを音を立てながら崩れ落ち、戦闘不能となった。
「あーあー、マンムーもやられちゃったー」
 ドランは軽い調子でマンムーをボールに戻し、次のボールを握り込んだ。
「そんじゃ、次にいっくよー! 病魔を放て、ドラピオン!」
 ドランの三番手はドラピオン。毒と悪の複合タイプを持ち、地面タイプのみが弱点だ。
 ドラピオンは場に出た瞬間、アギルダーの撒いた撒菱を踏んで顔をしかめる。
「こーいう小さなダメージが、意外と鬱陶しいんだよねぇ」
 ドランは軽い調子だが、どこか憂鬱そうに言葉を発する。
「……戻れ、ネクロシア」
 ムントは一旦ネクロシアをボールに戻す。マンムー戦では大きなダメージを受けていないものの、有効打となる技が少ない。そのため、一時的に休ませる意味も兼ねてネクロシアを交代させる。
「ドラピオンか……なら、出て来い、オノノクス!」
 ムントがここで繰り出したのはエース、オノノクス。
 鋭い眼光で、お互い睨み合う。
「オノノクス、ドラゴンクロー!」
「ドラピオン、辻斬り!」
 オノノクスは龍の力を込めた爪を、ドラピオンは破壊力のある鋭い爪を、それぞれ構えて切り結ぶ。
「ドラピオン、そのままアクアテールだよ!」
 ドラピオンはオノノクスと切り結んだまま尻尾を動かし、水流を纏わせて突き込むようにオノノクスの体に叩き込んだ。
「ぐっ、オノノクス、地震だ!」
 効果いまひとつなこともあり、オノノクスは踏ん張ってアクアテールを耐え、すぐさま地面を踏み揺らして地震を引き起こす。
 地面タイプはドラピオン唯一の弱点。効果抜群の一撃を至近距離で喰らったドラピオンだが、こちらも耐え切った。
「ふっふー。ドランのドラピオンの防御力を舐めちゃあいけないよ? クロスポイズン!」
「かわして龍の舞だ!」
 ドラピオンは両腕を交差させて毒を含んだ爪で切りかかるが、オノノクスは後ろに一歩退いて攻撃を回避。そして龍のように力強く舞おうとするが、
「させないよ。ウッドハンマー!」
 すぐさま腕を伸ばしたドラピオンの一撃が、オノノクスの顎にヒット。龍の舞は中断された。
「流石にドラピオンじゃあ、オノノクス相手の龍の舞はきついからねー。なんとしても阻止だよ! さードラピオン、クロスポイズン!」
 ドラピオンは腕を引き戻して交差させ、毒を含んだ爪を構えて襲い掛かるが、
「オノノクス、地震!」
 オノノクスがすぐに地面を揺り動かし、衝撃波でドラピオンを攻撃。動きを止めた。
「瓦割りだ!」
 そしてそのまま一歩踏み出し、手刀をドラピオンの脳天に叩き込む。
「続けてドラゴンクロー!」
 さらに龍の力を込めた爪を繰り出すが、流石にそう長く連撃を許すドランでもなかった。
「アクアテールで弾いて!」
 ドラピオンはオノノクスの腕を尻尾で弾き、オノノクスとの間合いを調整して爪による攻撃を放つ。
「辻斬り!」
 ドラピオンの鋭利な爪がオノノクスを切り裂く。
「引き剥がせ! ドラゴンクロー!」
 オノノクスも突き込むような龍の爪の一撃をドラピオンに叩き込み、後退して二匹の間に距離が生まれる。
 ムントはふと顔を上げ、ドランを見遣る。依然として顔は見えないが、その裏に何か恐ろしいものを宿しているような、そんな空気を感じた。



今回はムントとドランのバトル、戦況はドランがかなり押されていますが、余裕の表情です。これが意味することを考えれば、このバトルの結果も予想できるのではないでしょうか。ちなみにドランのポケモンですが、ドラドーンはドラゴンタイプ、マンムーはドラゴンを打倒しうる氷タイプだからという理由で、ドラピオンはなんかドランと名前が似てたからです。ワラガシラは適当、悪っぽいゴーストタイプが欲しかっただけです。一応、他の7Pのポケモンも選択の理由とかがあったりしますが、それはまた今度。さて次回は、中途半端なエレクトロやドラン戦をキリのいいところまで仕上げるか、他の誰かのバトルを進めるか、という感じです。では次回もお楽しみに