二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 450章 一対 ( No.642 )
- 日時: 2013/01/27 19:53
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「ストータス、日本晴れ」
イリスとツユサ&ウズメのバトルは、ストータスの日本晴れから始まった。
擬似太陽が打ち上げられ、雨雲が晴れて強い日差しがイリスたちを襲うが、しかしそれはこの周辺だけ。少し遠くを見上げれば、まだ黒い雨雲が残っていた。
「相当強い雨ですね。天候を上書きするのも精一杯ですか」
そんな様子を見て、エレクトロは呟く。が、イリスはそんなことを気にしてはいられない。
相手は、イリスの経験上今まで戦ってきたどのプラズマ団よりも弱い二人だが、急に空気が変わった。負けるとは思わないが、用心するに越したことはないだろう。
「ダイケンキ、シェルブレードだ!」
ダイケンキは両手にアシガタナを構えてストータスに突っ込む。晴天で威力が半減しているとはいえ、炎と岩の複合タイプを持つストータスには四倍弱点を突ける。体力を削るには十分な威力だろう。
「ストータス、怒りの炎!」
だが相手も簡単に攻撃を許してはくれない。ストータスは怒り狂ったような業火を放ち、ダイケンキを攻撃。日本晴れで威力が上がっているので、簡単には振りきれない。
そうしてダイケンキがもたもたしているうちに、今度はニートンが動き出した。
「鬼火だ!」
青白い不気味な火の玉を放ち、ダイケンキを取り囲んでしまう。するとダイケンキの体は焼け焦げ、みるみるうちに火傷していく。
「くっ、だったらこれだ。ダイケンキ、吹雪!」
ダイケンキは大きく息を吸い込み、怒りの炎を吹き飛ばしながら猛吹雪を放つ。鬼火で攻撃力が半減している今、物理技の効果は薄い。威力は低くなるが、ストータスとニートンを同時に攻撃できる吹雪なら、二体の動きを止められる。その隙にストータスから落としていこうと、イリスは考えていた。
しかし、
「ニートン、ミラーコート!」
広範囲に向けて放たれた吹雪は、同じく広範囲に張られた光の膜が受けた。だからといってニートンたちにダメージがないわけではないが、直後、膜からいくつもの光線がダイケンキに襲い掛かる。
「なっ! ダイケンキ!」
光線に貫かれたダイケンキは、予想だにしない大打撃を受けてしまう。
「今のミラーコート、ポケモン一体が反射する量じゃなかったな……」
おそらく、このニートンのミラーコートは効果範囲が広いのだろう。
それはともかく、この時イリスは、少し焦っていた。
(なんだこの二人、前に戦った時よりも断然強い……!)
予想外のツユサとウズメの強さ。用心するに越したことはないなどと余裕だったイリスだが、途中からはわりと本気を出していた。
そんな折、エレクトロが口を挟む。
「言ったはずですよ、以前の彼らの実力が、彼らの真の力だとは思わないことです、と。この私が直属の部下としている二人です。いくつか条件はあれど、聖電隊の中ではトップクラスの猛者ですよ」
エレクトロの言葉は真実だろう。でなければイリスがこれほど苦戦するはずもない。こうなると、ダイケンキ一匹などと余裕かましていられる場合でもなくなってくる。ダブルバトルなので、二体目を繰り出すしかない。
「くっ、なりふり構ってられないか……頼んだぞ、ディザソル!」
イリスが繰り出したのはディザソル。辻斬りでニートン、スプラッシュでストータスの弱点を突けるが、
「ニートン、鬼火!」
ニートンには鬼火がある。火傷になってしまうと、徐々に体力を削られるだけでなく、攻撃力も下がってしまうので、喰らうわけにはいかない。
「ダイケンキ、吹雪で消し飛ばせ!」
そこでダイケンキは猛吹雪を放って鬼火を消し飛ばす。そのついでにストータスとニートンを同時に攻撃するが、
「ミラーコート!」
すぐさま反射攻撃がダイケンキに襲い掛かる。
「ディザソル、辻斬り! まずはニートンから倒すぞ!」
ダイケンキがミラーコートに耐えている間、ディザソルは地を蹴って駆け出し、ニートンとの距離を詰める。物理技ならミラーコートの影響を受けず、鬼火さえ喰らわなければ大丈夫だと思っていたが、
「ストータス、グランボールダ!」
そこにストータスの横槍が入る。
ディザソルを囲むように大小様々な岩石が浮かび上がり、それらは一斉にディザソルへと飛んでいく。ディザソルは機敏な動きでそれらをかわし、切り裂くことで回避していくが、その隙に今度はニートンが動き出す。
「バグノイズだ!」
耳をつんざくような騒音が放たれ、ディザソルが吹き飛ばされた。効果抜群で虚をつく攻撃だったのでダメージは大きいだろう。
「今度はこっちかよ。ダイケンキ、ニートンにメガホーン! ディザソルは隙を見て辻斬りだ!」
本来なら吹雪でサポートしたいところだが、ミラーコートがある以上、今はあまり使いたくない。なのでダイケンキは、法螺貝と一体化した角を勢いよく突き出し、ニートンへと突っ込む。
ディザソルは直接ニートンに接近するようなことはせず、大きく迂回するように近づくことで、ニートンの隙を窺う。
「ストータス、グランボールダ!」
「ニートン、乗り移る!」
ダイケンキに対してはストータスが動く。ディザソルの時と同じく岩石を浮かび上がらせてダイケンキの動きを止め、ニートンに近寄らせない。
ニートンはその場から動く気配がない。だが、体から白い煙かもやのようなものが飛び出て、ふわふわと浮いている。
「やっぱグランボールダか。ニートンは積極的に攻める気配はない。なら、ダイケンキ、シェルブレード! ディザソルは辻斬りで攻撃だ!」
ダイケンキはアシガタナの二刀流で襲い掛かる岩石を叩き落とし、ディザソルは漆黒の鎌を構えてニートンに特攻。
だがその時、ニートンの周りで浮いていた煙が動き出し、ディザソルの中へと入り込んだ。すると次の瞬間、ディザソルは目を見開き、絶叫しながらよろよろと数歩後退する。
「っ!? ディザソル!」
思いがけない高威力の技に、イリスも驚きを隠せない。が、ツユサもウズメも、それを考慮して待ってくれるほど甘くはなかった。
「ニートン、バグノイズ!」
「ストータス、オーバーヒート!」
まずニートンがバグノイズでダイケンキの動きを止め、その隙にストータスが過剰な爆炎を放ってディザソルを炎に包みこむ。
「やば……ダイケンキ、ハイドロカノン!」
もう手遅れだと思いつつも、ダイケンキは巨大な水の弾丸をストータスへと射出。バグノイズと日差しのせいであまり安定していないが、それでもストータスを軽く吹き飛ばす威力は出た。
「ディザソル!」
ひとまずストータスの攻撃を止めたものの、ディザソルは依然として炎に包まれている。そして、炎が消える頃には、ディザソルはその場に倒れ込んでいた。
「……よくやったディザソル。戻ってくれ」
イリスはディザソルをボールに戻す。まさかあのディザソルが一度も攻撃する間もなくやられるとは思っていなかった。やはり一対一とダブルバトルでは勝手が違う。ディザソルの動きは完全にシングルバトルのそれだったが、この二人は双子というだけあり、コンビネーション抜群だ。
これで、残るは手負いのダイケンキ一体。それも火傷を負っている。三体目を出すという選択も、ないでもないが、そうすると双子のポケモンも追加され、どうなるか分かったものでもない。
どうやってこの場を切り抜けようかと考えていると、突拍子もなく、終わりは来た。
「ケヒャハハハ! よーぅ、なんか楽しそうなことやってんじゃんよー、エレクトロ……と、英雄」
空から、男性にしては少々高めの少年のような声。見上げると、そこには紫色の髪に白衣を羽織った男、アシドがジバコイルに乗って浮いていた。
今回はイリス対ツユサ&ウズメのバトル、戦いを有利に進めていた双子たちは、イリスにディザソルを出させて下し、アドバンテージを失わずにイリスを追い詰めます。もしかしたらイリスの弱点って、ダブルとかトリプルバトルかもしれませんね。話の進行上そうなってしまうので当然ですが、イリスは複数体のポケモンを使うバトルの経験がかなり少ないです。前作と合わせても十回未満でしょう。だから今回もここまで追い詰められたのではないでしょうか。それはともかく、ラストにはアシド登場です。ヒオウギに駆り出された描写がありながら未登場だった彼が出て来た理由は……次回をお楽しみに。