二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 453章 百足 ( No.649 )
日時: 2013/02/01 02:20
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「ペンドラー、毒菱!」
 ペンドラーは咆号し、毒々しい塊を打ち上げる。塊は天井付近で爆散し、降り注ぐと同時に地面に撒かれた。
「毒菱って、なんだかんだ言っても、やっぱ毒タイプ使いか……」
 ペンドラーが使用したのは、毒菱。撒菱に酷似した物体を撒き散らす設置技だが、相違点は毒を帯びていること。
 撒菱はポケモンを交代するたびに、撒いた量によってポケモンがダメージを受ける。しかし毒菱はダメージは受けない代わりに、出てきたポケモンが毒状態になるという、非常に厄介な技だ。
 毒タイプのポケモンがいれば毒菱を無力化できるのだが、生憎ながらイリスは毒タイプのポケモンを持っていない。ドガースのバトルとホミカの性格を考えると、彼女は攻め重視のスタイル。アタッカーでガンガン攻め立てるタイプと読んだのだが、やはり毒タイプの使い手らしく、毒状態におけるダメージを狙っているようだ。
(となると、やっぱり最初にウォーグルを残しといたのは正解だったかも。飛行タイプなら、毒菱の影響はない。あとはリーテイルの出しどころか……)
 毒菱は効果こそ違えど、発動条件は同じ。相手が飛行タイプだったり、特性が浮遊だったりすれば当たらず、またタイプや特性で毒状態にならないポケモンなら、効果はない。
 このバトルの鍵となるのは、飛行タイプの出しどころになるだろう。なるべく重要な局面で出したいところだ。
「ペンドラー、もう一発毒菱!」
 ペンドラーは再び毒を帯びた撒菱をセット。二回掛けで、交代のたびにポケモンが猛毒状態になる。毒よりも厄介だ。
「まあでも、とりあえずはペンドラー優先だ。メタゲラス、ストーンエッジ!」
 メタゲラスは周囲に鋭く尖った岩を出現させ、ペンドラーへと一斉に射出する。
「岩タイプの技も当然想定済み! アクアテール!」
 ペンドラーも尻尾に水流を纏わせ、ストーンエッジを薙ぎ払う。そしてそのまま、メタゲラスへと突っ込んできた。
「でかいわりには速い……大地の怒りで止めろ!」
 地面を踏み鳴らし、大量の土砂を噴射してペンドラーを攻撃。しかしペンドラーは寸前で身を退いており、土砂を回避している。
「まだまだ攻めるよ! メガホーンだ!」
「だったらこっちもメガホーン!」
 ペンドラーはすぐに攻撃に移行する。二つの角を構え、勢いよく突っ込む。メタゲラスも同じように角を構えて突進。
 双方ともにぶつかり合い、激しく競り合う。しばしの硬直の後、どちらとも弾き飛ばされる。力は互角のようだ。
「へぇ、あたしのペンドラーとパワーで張り合うなんて、やるじゃんそのメタゲラス。次はこの技、ペンドラー、地震!」
 前足を大きく上げ、一気に振り下ろす。よって地面に衝撃が伝わり、激しい衝撃波がメタゲラスへと向かっていく。
「大地の怒り!」
 喰らうより早く地面から土砂を噴出し、衝撃波を相殺。
「続いてメタルブラストだ!」
 そしてすぐさま鋼の砲撃を発射し、ペンドラーを攻撃。
「かわしてアクアテール!」
 だがペンドラーは巨体のわりには素早く、フットワークも軽い。跳躍して砲撃をかわすと、水を纏った尻尾をメタゲラスの脳天に振り下ろす。
「メガホーン!」
 咄嗟に角を突き上げ、メタゲラスとペンドラーはぶつかり合う。しかし上から攻撃する分、勢いがついているペンドラーに分があったため、ここはメタゲラスが押し負けた。
「まだまだッ! ガンガン攻めるよペンドラー! 地震!」
 ペンドラーは地面を踏み揺らして地震を引き起こし、まだ態勢が整っていないメタゲラスを攻撃する。メタゲラスの防御が高いとはいえ効果は抜群、ダメージは大きい。
「くっ、ストーンエッジ!」
「アクアテールで薙ぎ払いな!」
 反撃にと尖った岩を無数に飛ばすが、ペンドラーの水流を纏った尻尾でまとめて払われてしまう。
「ペンドラー、メガホーン!」
 さらに角を突き出して突貫。ただ素早いだけではなく、重量もあるので一撃が重いというのも、ペンドラーの厄介なところだ。
「止めろメタゲラス! 大地の怒り!」
 地面を踏み鳴らし、メタゲラスは地面から土砂を噴出させるが、ペンドラーは持ち前の身のこなしで容易くその攻撃をかわしてしまう。その上、すぐに攻撃に移る。
「もう一度メガホーンだ!」
 迂回するような軌道で再び襲い掛かってくるペンドラー。
 メタゲラスは重量級のポケモン。四足をがっしりと地面に着けてしまっているため、側面からの素早い攻撃にはどうしても対応が遅れてしまう。よって、仕切り直して繰り出されたペンドラーのメガホーンも対応できず、直撃を受けてしまう。
「アクアテール!」
 さらにそこからペンドラーの連撃が始まる。水を纏った尻尾を振るい、メタゲラスの装甲に叩きつけた。
 ダイナマイトでも傷つかないという触れ込みの、メタゲラスの装甲。しかしそれでも衝撃は通るもので、効果抜群と相まってダメージはなかなかのものだ。
「もう一度!」
「させない! ストーンエッジ!」
 ペンドラーが二撃目を構えると同時に、メタゲラスは地面から尖った岩を射出し、ペンドラーの動きを止める。効果抜群なのでダメージも大きい。
「やっとまともに攻撃が入った……メタゲラス、メガホーン!」
 一瞬でも動きを止めれば、そこに付け入る隙ができる。その隙を突いて、メタゲラスの頑強な角がペンドラーを突き飛ばした。
「おー、やるじゃん。パワーで張り合えるだけじゃなくて、ペンドラーのラッシュも止めるなんて。ますます燃えてきた! ペンドラー、地震!」
「大地の怒りで相殺だ!」
 ペンドラーの引き起こす地震を、メタゲラスは大地の怒りで相殺。
「メタルブラスト!」
 続け様に鋼のエネルギーを凝縮した砲撃を発射する。が、しかしペンドラーには当たらない。
「アクアテール!」
 ペンドラーは這うようにメタゲラスに接近し、薙ぎ払う軌道で側面から尻尾をぶつける。
「メガホーンで引き剥がせ!」
「こっちもメガホーン! 弾き返しな!」
 一旦距離を取ろうとメタゲラスは角を突き出すが、ペンドラーも横からメガホーンを放ってメタゲラスの角を弾く。攻撃を防がれただけではなく、態勢も崩されてしまった。
「チャンス到来! 一気に攻め込むよ! ペンドラー、地震!」
 ペンドラーは地面を踏み揺らして地震を引き起こし、メタゲラスに至近距離からの衝撃波をぶつける。効果抜群の攻撃で、ダメージは大きい。
「続いてメガホーン!」
 ペンドラーの攻撃は止まらず、二つの角をメタゲラスへと向け、勢いよく突き出す。
「メタゲラス、大地の怒りだ!」
 至近距離からの攻撃だったので避けられなかったが、角の一撃を受けたメタゲラスはすぐに反撃に出た。
 大地に響き渡る咆哮をあげ、地面から大量の土砂を放つ。流石のペンドラーもこれは避けきれず、土砂に巻き込まれて吹っ飛ばされた。
 ここまでなんとか凌いでいるメタゲラスだったが、その顔には疲労が見え隠れしている。
(かなり削られてきたな……やっぱりウォーグルが正解だったか。あの機動力は地味に厄介だ。攻撃力も高いし、メタゲラスももうすぐ体力が尽きる。倒すまではいかなくとも、もう少しペンドラーも削っておきたいところだけど……)
 さっきは上手くいったものの、ペンドラーの攻撃の勢いは衰えることを知らず、簡単には反撃できない。こちらの攻撃も、あのスピードでかわされてしまうことがしばしば。後続のために削るのも難しい状況だ。
 そんなイリスの心情を察してか、ホミカは得意げになり、
「このペンドラーはね、あたしの手持ちのナンバー2さ。それも、実力的にはエースとほとんど変わらない。つっても、少なくともこのペンドラーを突破できなきゃ、あたしを倒すことなんてできっこないけどね。あんたがイリゼの言うとおりの強さなら、こんなもんじゃないよね?」
 挑発的な言動のホミカはひとまず置いておき、イリスは考える。
 ホミカは嘘をつくタイプではなさそう、彼女の言葉は真実だろう。ということは、初っ端からエース級のポケモンを出して来たということになる。ならエースを除いて後に控える三体は、少なくともこのペンドラーより実力は劣る。ペンドラーさえ倒せれば、この先のバトルも楽に進められそうだ。勿論、相性もあるので一概に楽勝とも言い切れないが、それでもこの関門さえ突破すれば、メンタル的にはいい方向に持って行けるはず。
 ならば、是が非でもここでペンドラーを倒していきたい。それができなくても、少しでも多く削る。
「こっからが正念場だ。行くよ、メタゲラス!」
 メタゲラスは再び咆哮をあげ、巨大な百足を打破すべく、自信を鼓舞するのだった。



ホミカ戦その一……いや二かな? 相手はペンドラーです。にしても強いですねこのペンドラー。ドランのドラドーンとかには及ばないまでも、相性で勝るメタゲラスを押しています。そういえば、ゲームでのホミカのエースはペンドラーらしいですね。ベースもペンドラー(かホイーガ?)と似たデザインですし。僕はアニメのダストダスの方が印象深いのですが……あの回でダストダスを少し見直しました。さて今回はペンドラーが毒菱で下地作りをしていましたが、これが後々どう効いてくるのか。次回はホミカ戦その三、お楽しみに。