二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 460章 イリスvsシズイ ( No.664 )
- 日時: 2013/02/09 21:40
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
シズイとイリスのバトル。先に動いたのはイリスのデンリュウだった。
「先手必勝だ! デンリュウ、雷!」
デンリュウは超高電圧の稲妻をママンボウへと落とす。
水中のフィールドだと、どうしたって陸上のポケモンよりも水棲のポケモンの方が有利。
ならばとイリスが取った作戦は単純明快。即ち水中で有利に立ち回られる前に勝負を決めることだ。電気技なら水中にいるポケモンだと電気伝導によってかわすのが難しい。弱点も突けて一石二鳥の作戦である……と、イリスは思っていたが、相手はジムリーダー。一筋縄でいく相手ではない。
ママンボウは雷の直撃を喰らって大ダメージを受けた。そして、
「ママンボウ、ミラーコートったい!」
ママンボウの体が光に包まれる。そして次の瞬間、光りは幾重もの光線となり、一斉にデンリュウに襲い掛かった。
「! デンリュウ!」
無数の光線に貫かれたデンリュウは蓮の葉の足場に倒れ込む。早くも戦闘不能だ。
「まさか、こんなに早く電流がやられるなんて……!」
完全に予想外だった。確かに雷の直撃でママンボウは致命傷を負ったのだろうが、それにしても反射のダメージが大きいように感じる。体力を削りきったダメージ分を反射されるならともかく、まだママンボウは倒れていないのだ。そうイリスが思っていると、
「ママンボウは体力がうけ、そう簡単には倒れなか」
どうもママンボウは体力の多いポケモンのようだ。だからこそデンリュウの雷を耐え切り、その上でミラーコートの反射ダメージも大きかったのだろう。
「戻れデンリュウ。君はよくやってくれた」
そう、デンリュウもただではやられなかった。雷のダメージは決してママンボウに大打撃を与え、さらにママンボウを麻痺状態にした。
「とにかく、ママンボウはもう少しで倒せる。となると、ここでデンチュラやリーテイルはもったいないな……」
シズイが後にどのようなポケモンを控えているかは分からないが、瀕死寸前のママンボウにタイプで有利なポケモンを出して倒しても、次にこちらに有利なポケモンを出されるだけだ。だったらここは、有利不利のないポケモンで仕留め、後続の様子を見るべきだとイリスは判断。「この悪い足場。でも、君ならそんなことは関係ないよね。頼んだ、ディザソル!」
イリスの二番手は、高い攻撃力と機動力を備え持つディザソル。ディザソルの身のこなしがあれば、この悪い足場でも十全に戦えるはずだという判断からのチョイスだ。
「相手は麻痺状態だ。速攻で決めるよ。ディザソル、神速!」
ディザソルは神がかったスピードでママンボウに突撃し、吹っ飛ばす。直撃したが、ママンボウはしぶとく、まだ戦闘不能ではない。どころか、
「ママンボウ、リフレッシュ」
ママンボウは体を光で包み込み、麻痺を回復させる。しかもそれだけでは飽き足らず、
「アクアリング」
今度は水の輪を身に纏い、今まで負った傷を少しずつ癒していく。
だがアクアリングの回復量はたかが知れている。ディザソルの攻撃に回復が追いつくはずがない。
「もう一発、神速!」
「アクアジェットじゃ!」
ディザソルは再び超高速で駆け、ママンボウもそれに合わせて水を纏い、高速で特攻をかける。
しかしアクアジェットのスピードでは神速には追いつけない。ママンボウはディザソルを捉えることができず、側面から神速を受けて吹っ飛んだ。
そしてその一撃で、ママンボウは戦闘不能となった。
「やられてちょっしもた。戻っとき、ママンボウ」
シズイはママンボウをボールに戻し、網の中に放り込んだ。そして新しいボールを網の中から引っ張り出す。
「そいじゃあ、おいの次のポケモンはこいつじゃ。気張ってけー、オクタン!」
シズイの二番手は真っ赤な体色に半眼が特徴のタコのようなポケモン。噴射ポケモン、オクタンだ。
オクタンは水中には入らず、足場の上に吸盤を引っ付けて体を固定する。
それを訝しく思い、イリスは尋ねた。
「……? そのオクタン、水に入らないんですか?」
「そうじゃ。おいのオクタンはこっちの方がよか。ほいじゃあ行こーかいな、オクタン砲!」
オクタンは口から真っ黒な墨を噴射した。技名とビジュアルからしてほぼオクタンの専用技だろう。
そんなことはともかく、ディザソルは墨を跳躍してかわし、足場を乗り換えてオクタンへと接近していく。
「ディザソル、辻斬りだ!」
そして漆黒の鎌を振るい、オクタンを切り裂く。だが吸盤で固定した体はまったく揺らがず、態勢も崩さない。
「チャージビーム!」
オクタンは砲口をすぐさまディザソルに向け、口から電撃の光線を発射。ディザソルを吹っ飛ばす。
「ディザソル! 大丈夫か?」
足場に着地したディザソルは、軽く頭を振って頷きを示す。ダメージはあまりないようだ。
「よし。なら次は神速だ!」
今度も足場を伝ってオクタンに急接近し、神がかった速度で突撃する。
だがやはり、オクタンの態勢は崩れない。
「もういっぺんチャージビーム!」
オクタンも先ほどと同じように電撃の光線を発射してディザソルを引き剥がした。
「厄介だな、あの吸盤」
ぼそりとイリスは呟く。
このオクタンの最も厄介な点は、体をがっしりと固定する吸盤だ。その吸着力はかなり強く、生半可な攻撃ではびくともしない。なので大抵の攻撃では態勢を崩さず、すぐに反撃できるようだ。
「となると、ディザソルじゃ分が悪いか。出て来て早々悪いけど、戻ってくれ」
ここでイリスはディザソルをボールに戻す。まだほとんどダメージを受けていないが、いずれオクタンに大打撃を喰らわないとも限らない。この不安定な足場でも不自由なく動ける機動力を持つディザソルは、後々役に立つだろう。そしてなによりオクタンとの相性が悪い。物理技ばかりのディザソルでは、オクタンにダメージを与えられてもすぐに反撃されて痛み分けになるのが関の山だ。
「オクタンはチャージビームも覚えてる。となるとこいつか……頼んだよ、デンチュラ!」
イリスが繰り出したのはデンチュラだ。ディザソルほどではないが高い機動力に加え、電気技でオクタンの弱点も突ける。
「デンチュラ、まずは帯電。攻撃力を高めるよ」
デンチュラは体に電気を帯び、攻撃能力を高める。それと同時に、オクタンも動いた。
「オクタン、アシッドボム!」
口からいくつもの酸性の爆弾を飛ばし、デンチュラに命中させる。ダメージはあまりないが、アシッドボムは特防を大きく下げる技。あまり何度も喰らいたい技ではない。
「これは一気に決めた方がいいな……デンチュラ、雷!」
デンチュラは高電圧の電撃を空中に放ち、轟く稲妻をオクタンに落とそうとする。しかし、
「水ん中潜れ、オクタン!」
オクタンはあっさり吸盤を剥がし、水中に潜る。そして次の瞬間、オクタンがいた足場に雷が落ち、大きく足場を揺らすが、それだけだ。雷が止むとオクタンはまた足場に戻って来た。
「吸盤はオクタンの一部じゃ、付けるも剥がすも自由自在ったい。オクタン、アシッドボム!」
足場に戻ったオクタンはすぐさま酸の爆弾を連射してデンチュラを攻撃。やはり威力は低いが、特防を大きく下げられた。
「くっ、だったらこれだ! エナジーボール!」
「オクタン砲!」
雷が効かないと見て、デンチュラは自然のエネルギーを凝縮した球体を発射するが、オクタンも勢いよく墨を噴射して球体を相殺した。
「チャージビームじゃ!」
続けてチャージビームも放ち、デンチュラを攻撃。アシッドボムの影響でダメージはやや大きいが、それでもまだ決定打にはならない。
「デンチュラ、シグナルビーム!」
今度はカラフルな光線を発射するデンチュラだが、当然の如くオクタンはそれを撃ち落としに来る。
「オクタン砲じゃ!」
墨で消される光線というのも奇妙だが、実際シグナルビームはオクタン砲で相殺された。
「エナジーボール!」
「もういっぺんオクタン砲!」
デンチュラは続けてエナジーボールを発射。しかしオクタンも素早く墨を噴射して相殺する——ことはなかった。
なぜなら、オクタン砲がエナジーボールを突き破り、デンチュラに襲いかかったからだ。
「!? デンチュラ!」
特防が大きく下げられているデンチュラにとって、その攻撃はなかなかの威力だ。軽視できないほどの体力を削られてしまう。
が、それよりも妙なのは、オクタン砲がエナジーボールを相殺したこと。先ほどの撃ち合いでは、相殺されていたのに、今度はオクタン砲が突き破っていた。
「これは……!」
戦慄しつつ、イリスはオクタンと、その先のシズイの姿を見据えるのだった。
シズイ戦、その二です。いや、一かな? ……やっぱ二で。ともかくセイガイハジム戦、開始です。まさかのデンリュウが開始1ターンでKO。ゲームならよくあることです。そしてママンボウもディザソルに倒され、二番手はオクタンです。僕はずっと鉄砲魚が蛸になることに納得がいかなかったのですが、あれって鉄砲から大砲に進化したってことなんですね。最近知りました。ともあれオクタンは口から色々噴射します。次回はその噴射物でデンチュラを追い詰めるでしょう。いや、冗談ではなく。それでは次回をお楽しみに。