二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 462章 鯨 ( No.666 )
日時: 2013/02/10 22:38
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

 ホエルオーは空高く跳び上がると、そのまま凄まじい勢いで落下してくる。
「地震じゃぁ!」
「ディザソル、避け——」
 イリスは慌てて指示を出すが、そんなことに意味はなかった。
 ホエルオーの巨体が落下する——

ザッパアァァァァァンッ!

 これでもかというくらいの飛沫を散らし、津波のような大波を引き起こしてホエルオーは着水した。
 ジムを破壊するのではないかと思うような大きな揺れが起こり、ディザソルは足場から動けない。そこに巨大な津波が襲い掛かり、ディザソルを飲み込んだ。
「ディザソル!」
 足場ごと波に飲まれたディザソルは、しばらくして浮上してきた。
「ディザソル、大丈夫か?」
 イリスが呼び掛けると、ディザソルは足場に上がって体を震わせ、水滴を飛ばす。そしてコクリと頷いた。
「よし。じゃあ今度こそ。辻斬——」
 そこで、イリスの指示は止まった。
「ホエルオー、地震!」
 気付けば、ホエルオーは既に上空におり、今まさに、落下するところだった。
 さきほど同じようにホエルオーは着水する。それと同時に大きな地震が起き、大波が足場ごとディザソルを飲み込む。
「またか……ディザソル!」
 ディザソルは再び足場にのし上がってくる。水面の足場に乗っているで地震のダメージは少ないが、津波が厄介だ。飲み込まれるとそれなりのダメージを受ける上、その間ディザソルは完全に無防備。なので——
「滝登り!」
 ホエルオーは水を纏って勢いよく跳び上がる。
 ——このように滝登りで攻撃を準備する隙を与えてしまう。
「地震!」
「戻れ! ディザソル!」
 ホエルオーが三度落下してくるが、イリスはディザソルをボールに戻す。
 ホエルオーが着水し、イリスのところにまで水飛沫が飛び、それを浴びながらイリスは次のボールを構えた。
「やっぱり君に頼ることになるか……行くよ、リーテイル!」
 交代で出したのは、やはりリーテイル。ホエルオーの弱点を突けるだけでなく、空を飛べるので厄介な地震や津波にも対応できる。
「もういっぺん! ホエルオー、滝登りじゃ!」
「追いかけろ、リーテイル!」
 水を纏って跳び上がるホエルオーを、リーテイルも急上昇で追いかける。
「リーフブレード!」
 そして尻尾の葉っぱを振るい、ホエルオーを切り裂いた。ホエルオーは体力が多いが、防御面はそう高くない。弱点を突ければ、一撃でも大ダメージが見込める。
「ほぅ、そう来やったか。ならホエルオー、思念の頭突きったい!」
 ホエルオーはなんと、空中にも関わらず頭に思念を集め、頭突きを繰り出してきた。
 鈍重そうなわりに器用な動きだが、リーテイルはかるくその攻撃をかわし、もう一撃リーフブレードを入れる。
「ドラゴンビートだ!」
 ホエルオーも反撃にと思念の頭突きをもう一発繰り出すが、リーテイルは素早く下がって龍の咆哮を放つ。その一撃でホエルオーは態勢を崩し、フィールドへと落ちていく。
 地震ほどではないが、大量の水飛沫が散り、大波が立つ。しかし飛んでいるリーテイルにはなんら影響をおよぼさない。
「リーテイル、エアスラッシュ!」
 リーテイルは上空から空気の刃を無数に飛ばし、ホエルオーを切り刻む。
「リーフブレードだ!」
 そして今度は急降下し、尻尾の葉っぱでホエルオーを切り裂いた。これで三回、効果抜群の攻撃を当てたが、まだホエルオーは戦闘不能ではない。攻撃を落下の勢いと体重に任せているのか、耐久力が高い。もっと攻撃を打ち込まなければ倒せなさそうだ。
「もう一度リーフブレード!」
「そう何度も同じ攻撃が通用すっと思うなよ。ホエルオー、ヘビーボンバー!」
 真正面から突っ込むリーテイルに対し、ホエルオーは全体重を乗せて突撃してくる。リーテイルとホエルオー、双方の攻撃がぶつかり合うが、この時は体も体重も勝るホエルオーに分があり、リーテイルは簡単に跳ね飛ばされてしまった。
「そこじゃ! 滝登り!」
 そしてすかさずホエルオーは水を纏い、滝を上るような勢いで跳び上がって追撃をかける。
「かわすのは無理か……だったらドラゴビート!」
 この攻撃はかわせないと判断し、リーテイルは龍の鼓動のような音波を発射し、水と勢いを削ぎ落してダメージを軽減する。が、
「思念の頭突き!」
 再びホエルオーの追撃が繰り出される。リーテイルは頭突きの直撃を受けてフィールド、即ち水面へと叩き落とされた。
「まだまだ行くったい。ホエルオー、ヘビーボンバーじゃ!」
 ホエルオーの猛攻は止まらず、今度は全体重を乗せて落下してきた。最初の地震と違って身動きが取れなくなるようなことはないだろうが、もし直撃を受ければ一発で戦闘不能になるほどのダメージを覚悟しなければならない。なので、ここは絶対にかわしたいが、
「リーテイル! 早く上がって来るんだ!」
 リーテイルにとって水、それも海中なんてものは未知の場所。身動きが上手く取れず、浮上するだけでも手間がかかってしまい、水面に顔を出す頃にはもう、ホエルオーがすぐそこまで迫っていた。
「かわせない……だったら!」
 迎え撃つしかない。

「リーテイル、リーフストーム!」

 リーテイルは背中の葉っぱを羽ばたかせ、鋭利な葉っぱを大量に含んだ嵐を発生させる。
 嵐は落下してくるホエルオーを巻き込み、水色の巨体を葉っぱで切り刻んでいく。しかし、それでも重力に身を任せたホエルオーの落下は止まらない。
「もう一発! リーフストーム!」
 しかしそこで、リーテイルは素早く新たな嵐を喚起する。しかも今度の嵐は横向きに放たれ、ホエルオーの落下自体は止められないが、その進路を大きく逸らした。
 結果、ホエルオーはリーフストームで軌道を変えられ、勢いも削がれたために比較的静かに着水。さらに二連続の効果抜群の攻撃でボロボロになった。
「これで決めるよ! リーフブレード!」
「迎え撃つんじゃ! ヘビービンバー!」
 尻尾の葉っぱを構えたリーテイルが超高速で飛行し、ホエルオーも全体重を乗せて突撃する。
 普通に行けば、リーフブレードがヘビーボンバーに押し勝つことはない。さっきと同じように弾き飛ばされるのが関の山だ。純粋な攻撃力ならともかく、体重を考慮すればリーテイルはどうしたってホエルオーには敵わない。だが、リーテイルにはリーテイルの、ホエルオーにはない利点も存在する。
「右だ、リーテイル!」
 リーテイルは飛行中、進路を変更した。ホエルオーの側面ギリギリを通過するような軌道でヘビーボンバーをかわし、ホエルオーを切り裂く。
 リーテイルの利点とは、当然のことながらそのスピードだ。ホエルオー相手ではあまりにも違い過ぎて比較にすらならないため分かりにくく、ホエルオーは高い耐久力と意外な器用さでリーテイルを少なからず押していたのであまり生かせなかったが、それでもリーテイルが自身の素早さを十分に発揮すれば、鈍足な相手などは敵ではない。
「戻っとき、ホエルオー。よう頑張った」
 シズイはホエルオーをボールに戻す。水中から現れたので放し飼いかと思ったが、やはりちゃんとボールに入るようだ。
 ボールを網の中に放り込み、シズイは次のボールを構えた。
「そいじゃあ行こーかい、おいの次のポケモン! 気張ってけー、マンタイン!」
 シズイの四番手は、カイトポケモン、マンタイン。マンタのような姿のポケモンで、両ヒレの裏側にはそれぞれ一匹ずつ白い魚のようなポケモンがくっ付いている。
「なんだ、あれ?」
 訝しげに思って図鑑を開いてみると、テッポウオというポケモンで、マンタインにくっ付いてこぼれたエサをもらう習性があるらしい。
「でも、複数ポケモンが一緒にいていいのか?」
 基本、ポケモンバトルは一対一。ダブルやトリプルバトルの過程でそうなるのは仕方ないが、一対複数という状況はありえない。
 しかしシズイは、臆さずイリスに言葉を返す。
「マンタインもテッポウオも、共に生き、共に戦うポケモンたい。いっとくっ付いておっくらいで細かいこと言うな。そげな細かいこと気にせんで、どーんと海のように受け入れるんじゃ」
 論破されてしまった……とはとても言えないが、それでもイリスは押し黙る。確かに、別々に戦うのならともかく、一体化して戦うのならまだ許容範囲だ。
「ほな、行こーかい。マンタイン、追い風!」
 マンタインは水中へと入らず、この場に気流を発生させて飛ぶ。どうやらこのマンタインも、水中ではなく陸上——それも空中戦を得意としているようだ。
「相手は飛行タイプ。でも、空中戦ならこっちも負けない。行くよ、リーテイル!」
 リーテイルは上昇し、マンタインと相対し、睨み合う。



シズイ戦その四です。やっぱ文字数3700文字は少ないですね、どうも書ききれません。いや、それとも僕が書き込み過ぎるだけ? それはともかく、シズイのホエルオー、何気に恐ろしい攻撃しますね。滝登りで跳び上がって地震で落下。地震と津波のダブルダメージを延々と繰り返すというこのローテは、飛行タイプか特性浮遊がいないと対処できなさそうです。そしてシズイの四番手はマンタイン。エアームドと対の存在らしいですが、圧倒的にマイナーです。白黒は好きなんですけどね、マンタイン。ともかく、次回はシズイ戦その五。次回もお楽しみに。