二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 464章 海中 ( No.668 )
日時: 2013/02/11 15:45
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「ダイケンキ、まずは吹雪だ!」
 ダイケンキは凍てつく猛吹雪を放ち、マンタインを攻撃。しかしマンタインは特防が高く、大きなダメージは与えられない。
「今度はこっちの番じゃ! マンタイン、波乗り!」
 マンタインは吹雪が止んだ頃合いを見計らい、大波に乗ってダイケンキへと突っ込むが、
「ダイケンキ、水中に潜るんだ!」
 ダイケンキは水面に飛び込み、水中へと身を潜めて波乗りをやり過ごす。
「む、そう来やったか……ってこたあマンタインの穴も見つかってちょっしもたか。まあええ、そんでも追いかけんわけにはいかん。マンタイン、おはんも潜るんじゃ!」
 なにやらぶつぶつと呟き、シズイもマンタインに潜るよう指示する。その指示通り、マンタインはダイケンキを追い、水中へと飛び込んだ。
「シグナルビーム!」
「かわしてメガホーン!」
 マンタインはテッポウオと共に三発の光線を発射するが、ダイケンキは軽く回避して角の一撃をマンタインに突き込んだ。
 ダイケンキは大型のポケモンなので、陸上では鈍い。しかし水中なら話は別だ。重力に支配されず、浮力の働く水中なら、ダイケンキは本来持っているはずの機動力を十二分発揮できる。
 しかし、それはマンタインも同じこと。マンタインも水タイプなので、水中での機動力は高い……と思われたが、しかしマンタインのスピードは明らかにダイケンキよりも遅い。どころか、空中を滑空していた時よりも遅く見える。
「やっぱり、そうなんですね」
 イリスは独り言のようにシズイに向けて言う。
「あなたのマンタインは強い。追い風を使って僕のリーテイルを上回るスピードと、テッポウオと結託して叩き出す高火力の技。どっちも驚異的だけど、僕としてはやっぱり前者のスピードが厄介です。素の素早さはそこまで高くないのでしょうが、追い風がそれをサポートしてる、でもそのマンタイン、というより追い風は、水中では作用しない。つまりマンタインは水中でのスピードは他の水棲型ポケモンに劣る。違いますか?」
「いんや。大正解じゃ。よう気付きおったな。おはんもなかなか鋭い」
 シズイは平静を保ったままイリスを称賛する。
 水中を覗き込むと、今まさにダイケンキがマンタインを突き飛ばした。今まで空中戦ばかり行ってきたのだろう。マンタインは水中での戦いに慣れてないようにも見える。
「しかし、そんでも自分からバトルは投げ出さん。そいがおいの流儀じゃ。マンタイン、エアスラッシュ!」
 マンタインはヒレを振るって空気の刃を飛ばす。どうやら水中でも使えるらしい。
「かわしてメガホーンだ!」
 だが三次元的水中フィールドでそんな一発限りの直線飛び攻撃など、ダイケンキには当たらない。軽くかわして勢いよく角を突きだし、マンタインを吹っ飛ばす。
「シグナルビームじゃ!」
「シェルブレードで弾き返せ!」
 マンタインは吹っ飛びながらもカラフルな光線を三発発射するが、それらすべて、ダイケンキのアシガタナによって弾き返されてしまい、マンタインに襲い掛かる。
「よし、そろそろとどめだ。ダイケンキ、ハイドロカノン!」
 ダイケンキは目の前に巨大な水の弾丸を生成する——とはいえ、水中なので正面の指定した球状部分だけを圧縮して水圧を高めているだけだが、それでも立派な弾丸だ。
「発射!」
 イリスの指示で、ハイドロカノンは発射される。巨大な水の弾丸はまっすぐ海中を突き進み、やがてマンタインへと直撃する——

 ——が、弾丸を形作っていた水はすべて、マンタインに吸収されてしまう。

「なっ……!?」
 思いがけない、予想だにしない状況に、イリスは目を見開く。そしてその隙に、マンタインは動き出す。
「エアスラッシュ!」
 マンタインはまるでダメージなど受けていないかのような軽快な動きでヒレを振るい、大きな空気の刃を飛ばしてダイケンキを切り裂く。
 よく見ればマンタインの傷が癒えている。全快ではなさそうだが、今まで与えたダメージが回復している。
「マンタインの特性、貯水たい」
 シズイが静かに言葉を発する。
「貯水は水タイプの技を受けると、体力が回復する特性。マンタインはどんな水でも受け入れ、自分の力に変えるんじゃ。おいのマンタインには、水タイプの技は効かん」
「なっ、くっ……!」
 思わぬ反撃を受けたことや、体力を回復されたことも痛いが、なによりイリスとダイケンキにとっては、水タイプの技が効かない、ということが一番厄介だ。
 ダイケンキの覚えている技の半分は水技。なので、それが封じられるとなると、ダイケンキの技の半分が封じられることと同義。加えて吹雪は水中だと使えないので、実質ダイケンキの攻撃技は効果がいまひとつのメガホーンのみということになる。ハイドロカノンを吸収して体力が回復しているマンタイン相手に、これはきつい。
「ほなどんどん攻めよーかいな。マンタイン、エアスラッシュ!」
「! かわせ、ダイケンキ!」
 間一髪、ダイケンキはマンタインの放った空気の刃を回避する。
「とにかくやるしかないか……メガホーン!」
 そして大きな角を構えてマンタインに突撃するが、
「かわしてエアスラッシュじゃ!」
 マンタインとて水中で機動力がまったくないわけではない。ダイケンキの突撃をかわすと、空気の刃を飛ばしてダイケンキを切り裂く。
「シグナルビーム!」
「シェルブレードだ!」
 続けてカラフルな光線を発射するマンタインだが、光線はまたしてもダイケンキに跳ね返されてしまう。
「メガホーン!」
 そしてまた突撃するダイケンキ。今度は角の中心でマンタインを捉えた。直撃し、急所を突いたのでダメージは大きいだろう。
「やっぱシグナルビームはダメじゃな……しゃーない。マンタイン、エアスラッシュ!」
「ダイケンキ、かわしてメガホーン!」
 シグナルビームを撃つのは止めたようだが、エアスラッシュは飛んでくる。しかし単発のエアスラッシュをかわすのは容易い。軽く避けて再び角の一撃を叩き込む。
「もう一発メガホーン!」
 さらにダイケンキはメガホーンを突き込む。ダメージを与えられる技がこれしかない以上、とにかくメガホーンで攻めるしかない。
「エアスラッシュじゃ!」
「何度来たって同じですよ! メガホーン!」
 マンタインはしつこくエアスラッシュを放つが、流石にもう見切った。最低限の動きで刃をかわすと、ダイケンキは何度もメガホーンをマンタインに突き込む。
「むぅ、流石にこれ以上はまずか。マンタイン、一旦空中に出るんじゃ!」
 水中戦はもう限界だと察したのか、シズイの指示でマンタインは水面へと浮上していく。
「! させない! 追いかけろ!」
 そしてダイケンキもそれを逃がすまいと追いかける。しかし、あと少しのところでマンタインには届かなかった。
 マンタインは水飛沫を散らし、海上へと出る。追い風のサポート受けられる空中では、マンタインの方が有利だ。
 しかし、

「ダイケンキ、吹雪!」

 追いかけてきたダイケンキは水面から顔を出し、文字通り目と鼻の先にいるマンタインに猛吹雪を吹きつける。
 特防の高いマンタインと言えど、これほどの至近距離から吹雪を受ければそれなりのダメージは受ける。さらにシズイにとっては運の悪いことに、マンタインの体はピキピキと凍り始め、やがて完全に氷に覆われてしまう。
「おおう!?」
 予想だにしない氷状態に、シズイは驚きの声を上げる。水タイプ使いの彼だからこそ、今まで氷状態になった経験はあまりないのだろう。
 氷状態は最も起こりにくい状態異状だが、最も無防備な状態でもある。まったくの無抵抗になったマンタインを、ダイケンキは好き自由に攻撃できるのだ。
「よし、いいぞダイケンキ! もう一発吹雪!」
 ダイケンキは海面に浮かぶマンタインにもう一度強烈な吹雪を吹きつけて攻撃。氷に覆われているものの、ダメージ自体は普通に通る。
「今度こそとどめだ! メガホーン!」
 そして最後に大きな角が繰り出され、その一突きでマンタインを覆っていた氷は砕け散る。そして同時にマンタインも吹っ飛ばされ、足場に墜落。完全に目を回しており、戦闘不能だ。
「戻っとき、マンタイン。おはんはよーやった。あとは、おいのエースに任せとき」
 シズイはマンタインをボールに戻し、網の中に放り込む。そして最後のボールを、網の中から取り出した。
「さあ、これがおいのエースたい。今までのポケモンたちとは、一味もふた味もちごうから、覚悟しとき」
 そしてシズイは、ボールを放り投げた。


シズイ戦その六です。まさかマンタイン戦がここまで伸びるとは思いませんでした。そろそろ彼のエースが出ると思ったのですが……ともあれ、ダイケンキは水中では追い風が効かないことを逆手にとって水中戦で攻めますが、貯水で回復されて振出しに戻ってしまいます。しかし最後には吹雪でマンタインを凍りつかせ逆転。マンタインを撃破しました……今更気づきましたが、これただのあらすじですね。もうちょっとあとがきっぽいこと書きたいな。でもネタがあんまりないんですよね……では次回はシズイ戦その七。遂に彼のエース登場です。では次回もお楽しみに。