二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 30章 沈溺 ( No.69 )
- 日時: 2011/08/02 23:29
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: GSdZuDdd)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「ブイゼル、アクアジェット!」
「ダンカンス、思念の頭突き!」
ブイゼルのアクアジェットとダンカンスの思念の頭突きがぶつかり合う。しかし押し負けたのはブイゼルで、ダンカンスの圧勝だった。
「ダンカンス、お次は原始の息吹!」
ダンカンスは古代の力が込められた息吹をブイゼルに向けて放つ。
「ブイゼル、かわせ!」
イリスはブイゼルにそう指示を出し、ブイゼルはそれをかわすが
「おおっと? かわしてもいいのかな?」
「え? ……!?」
アシドの言葉にイリスが疑問符を浮かべていると、ダンカンスの放った原始の息吹が、イリスがしがみついている岩に当たり、粉砕した。
「そんなお荷物を抱えたままで僕とバトルするなんて、君は相当頭が悪いんだね。そんなのさっさとその辺に捨てればいいのに」
イリスは今、レイカを抱えている。イリスはダンカンスにボートを破壊された後、レイカを抱えて浮上し、近くに岩にしがみついてブイゼルに指示を出していたのだ。
「ブイゼル、凍える風だ!」
ブイゼルは冷たく凍える風を放ち、ダンカンスの動きを鈍らせる。
「ダンカンスの動きを鈍らせてその隙に岩場を探すって腹かい? なんとも滑稽な絵だね。ダンカンス、原始の息吹!」
ダンカンスは原始の息吹を放つが、その対象はブイゼルではなく、近くにある岩場。それらを片っ端から粉砕していく。
「この海は岩が多くて泳ぐ所が狭いんだってねぇ? それ丁度良い、僕がこの辺の岩場に小島、浅瀬を全部破壊してやろう!」
そう言うや否や、ダンカンスは原始の息吹で岩場などを破壊し始めた。
「くっ、卑怯な真似しやがって……!」
イリスはレイカを抱えているので、浮くだけでも精一杯だ。なので足場でも何でも探していたが、それも全部破壊された。
「レイカさんは一刻も早く処置が必要だってのに……!」
レイカはプレシオンから投げ出されて海に落ちた際に、恐らく大量の海水を飲んでしまっている。
「ケヒャハハハ!どうしたのかな? 早く岩場に向かわないと溺れちゃうよ?」
アシドはわざとらしく言い、イリスを嘲る。
「ダンカンス、まずポケモンをいたぶるか? ロケット頭突き!」
ダンカンスはロケットの如き勢いでブイゼルに頭突きをし、吹き飛ばす。
「ブイゼル!」
「ポケモンの心配してる場合かよ。原始の息吹!」
ダンカンスはイリスの目の前の海面に原始の息吹を放ち、波を立てる。そうすれば頭を出すだけで精一杯のイリスは波に飲まれ
「うおっ……!」
「原始の息吹だ」
ダンカンスはさらに原始の息吹を放ち、イリスを海に沈める。
「ケヒャハハハ!沈んじゃったよ。折角だから死体を拝みたかったんだけどなぁ……。まあいいや。後で引き上げれば面白い水死体になってるだろうし。……さてと」
アシドはブイゼルの方を向き、ニヤリと笑う。
「次はお前だぜ? ご主人様が沈んで助けに行きたいだろうけど、お前もここで終わりだからな。ダンカンス、ダイビング!」
ダンカンスはブイゼルの下から現れ、硬い頭をぶつけて吹っ飛ばす。
「思念の頭突き!」
そして今度は思念がこもった頭突きを喰らわせ、水面に叩き落とす。
「残念だったなぁ、もしお前が進化していれば、ご主人様を助けられたってのに。可哀想だなぁ、自分の主人も守りきれないとは。可哀想で薄情で無情で役立たずだ!お前が弱いからお前の主人は死んだんだぜ!」
アシドはポケモンにすらプレッシャーを与える。いや、そんな目論見などなく、ただ単に嫌がらせをしたいだけなのかもしれないけれど。
「さあて、こっちは順調快調。このグレイトでジーニアスなアシド様がいれば、失敗する任務なんてないのさ。ま、あっちがどうなってるかは知らんがね。ガイアはちゃんとやってんのかねぇ……」
アシドは砂浜の方を見ながら、そう呟く。
「トノッパー!」
トノッパーはアギルダーのアシッドボムと虫のさざめきを喰らい続け、遂に倒れた。
「くっ、なかなかやるようだが、まだ我がポケモンは尽きていない。行け、カモドッグ!」
ガイアが次に繰り出すのは、赤紫色の毛皮を持つカモノハシポケモン、カモドッグ。カモノハシとか言いつつも見た目は犬のようで、尻尾にはタマゴの殻がくっ付いている。ちなみに毒タイプだ。
「ちっ、撒菱か……」
カモドッグは場に出ると、撒菱を踏んでダメージを受ける。
「カモドッグ、ダストシュート!」
カモドッグは汚らしいゴミの塊をアギルダーに向けて放つ。
「かわせ、アギルダー!」
アギルダーはそれを紙一重でかわす。しかし
「辻斬り!」
いつの間にか接近していたカモドッグは、アギルダーの横を通り過ぎ、その間際に爪で切り裂く。
「アギルダー!」
体力がギリギリだったアギルダーは、その一撃を受けて戦闘不能となってしまう。
「戻れ、アギルダー」
ムントはアギルダーを戻し、次のボールを構える。
「毒タイプの相手なら、この新戦力が適任だな」
ムントは自信満々に言い、そしてポケモンを繰り出す。
「見せてやろう、俺の新しいポケモンを。出て来い、アーボスク」
ムントが次に繰り出したのは、コブラポケモンのアーボスク。
紫色の蛇のようではあるが、その尾には薄く広がった突起があり、頭の付近の体はかなり分厚い。そして腹には、顔のような模様がある。
「ふん、確かに毒・鋼タイプのアーボスクなら毒技が効かないのでカモドッグには有利。しかし毒技が効かないのはこちらも同じだ。そして毒技などなくとも、カモドッグは貴様の軟弱なポケモンには負けん!カモドッグ、アクアテール!」
カモドッグは殻の付いた尻尾に水を纏わせ、アーボスクに叩きつける。しかし
「……何が、軟弱なんだ?」
吹き飛ばされたのはカモドッグだった。
「俺のアーボスクの硬度を甘く見るな。俺から言わせてもらえば、お前のカモドッグの方が、よっぽど軟弱だ」
「……ふん。たかが一回攻撃を弾いた程度でのぼせ上がるな。我がカモドッグは、まだ力を出し切ってはいない。その錆びれた鋼の体を、打ち砕いてくれよう!」
ムントとガイアのバトルは、まだまだ続きそうである。
今回書いてて思ったのですが、アシド、超性格悪いですね。トレーナーを困らせる事したり、いたぶったりと、最悪キャラですよ。笑い方も変だし。では本編長いのであとがき短めで、次回はムントとガイアの戦い、決着です。そしてイリスのブイゼルが……!?まあ、その辺は次回をお楽しみに。