二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 476章 天地 ( No.695 )
日時: 2013/02/17 21:48
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

 シロナはダイケンキの登場に、満足そうな笑みを見せるが、それも一瞬。すぐにいつものクールな表情を取り戻す。
「ごめん、ダイケンキ。やっぱり僕には君がいないとダメだ。君がいてこその僕のバトルだ。だから、頼む。これからも一緒に戦って欲しい」
 イリスの真摯な言葉に、ダイケンキは黙って頷く。それだけで、二人の間には言葉以上の思いがやり取りされていた。
「よし、じゃあ行くよ。ダイケンキ、ハイドロカノン!」
「っ!?」
 初っ端から最大級の大技を指示するイリスと、放つダイケンキ。流石のシロナも予想外だったのか、指示を出す間もなくガブリアスは吹っ飛ばされた。
「いきなり……ガブリアス、大丈夫?」
 砂煙を上げて壁に激突したガブリアスだが、まだ戦闘不能ではない。
「ガブリアス、反撃よ。ぶち壊す!」
 マッハポケモンの名に恥じぬスピードでガブリアスはダイケンキに突っ込み、全てを破壊する勢いでダイケンキに激突。今度はダイケンキが吹っ飛ばされた。
「ダイケンキ!」
 ダイケンキもやられてはいない。貫禄のある鋭い眼光でガブリアスを睨み付けている。
「まだまだ! ダイケンキ、吹雪!」
「怒りの炎よ!」
 ダイケンキは凍てつく猛吹雪を放つが、ガブリアスも同時に憤怒の炎を壁のように発生させ、吹雪を完全にシャットアウトしてしまう。
「ガブリアスの最大の弱点は氷タイプ。当然、その対策は怠っていないわ。次、ガブリアス、地震!」
 力強く地面を踏み鳴らし、ガブリアスは地揺れを引き起こす。ダイケンキは比較的鈍重なため、避けることができず、直撃を受けてしまう。
「反撃だ! シェルブレード!」
 地震を受け切り、ダイケンキは両脚からアシガタナを抜刀。水のエネルギーを纏い、二刀流でガブリアスに斬りかかる。
「弾き飛ばしなさい、ぶち壊す!」
 ガブリアスも鬼気迫る勢いで爪を振るい、薙ぐように繰り出されるアシガタナを弾こうとする。が、しかし、
「っ!」
 シロナは驚きの表情となる。
 それはそうだろう。確かにガブリアスの攻撃はシェルブレードを弾いた。それだけの威力があったのだから当然だ。しかし、シロナはアシガタナごと弾くつもりだったに関わらず、ダイケンキはまだアシガタナを握っていた。つまり、攻撃は弾けても、得物は弾けなかったのだ。
 ガブリアスも驚き戸惑う。その隙にダイケンキはもう一振りのアシガタナでガブリアスを切り裂く。
「メガホーン!」
 さらに頑強な角も突き出し、ガブリアスを吹っ飛ばした。受け身も取れず、ガブリアスは再び壁に激突する。
「ガブリアスのぶち壊すを受けても弾けないなんて……やるわね。ガブリアス、地震よ!」
「シェルブレードだ! 地面に突き刺せ!」
 ガブリアスは震脚し、地震を引き起こす。
 そこでダイケンキはアシガタナを二振りとも地面に突き刺した。すると、地震がダイケンキを襲う直前、アシガタナが纏っていた水のエネルギーが爆散し、地震はダイケンキに届かなかった。
 その光景に、再びシロナは驚愕する。
「シェルブレードで地震を防御なんて……! 初めてよ、こんなことは」
「それはいいですね。僕が最初の一回、一人目ですか。ダイケンキ、吹雪だ!」
 ダイケンキは凍てつく猛吹雪を放つ。だが、ガブリアスとしてもこの攻撃だけは受けたくないので、
「それは効かないわよ。ガブリアス、怒りの炎!」
 憤怒の炎で壁を作り、吹雪を防ぐ。そして炎が消えるのを待たずして突っ切り、ダイケンキへと接近した。
「ぶち壊す!」
 そのまま爪を振り下ろし、ダイケンキの脳天に炸裂させる。トップクラスの攻撃力を誇るガブリアスの一撃だ。相当なダメージだろうが、ダイケンキは態勢すら崩さない。
「メガホーンで突き上げろ!」
 ダイケンキはすぐさま角でガブリアスを突き上げる。だがガブリアスは空すら飛ぶポケモン。空中で態勢を立て直し、またダイケンキに突っ込んでいく。
「地震よ!」
「迎え撃て! 吹雪だ!」
 直接地震の衝撃をぶつけるガブリアスに対し、ダイケンキは猛吹雪を放って対抗。ガブリアスは吹雪の直撃を受けて相当なダメージを負ったものの、その甲斐あってか、ダイケンキに地震を衝撃を叩き込んだ。
「でも、ちょっと吹雪は痛かったかしら。ガブリアス、ぶち壊す!」
 ガブリアスは攻撃の手を止めず、両手の爪を振りかざして突貫。
「ぶち壊すか……だったら迎え撃つよ。ダイケンキ、シェルブレード」
 ダイケンキもアシガタナの二刀流で、迫り来るガブリアスと切り結ぶ。
 ガブリアスは力任せに何度も何度も爪を振り回す。単純な力比べでは、ダイケンキでもガブリアスには敵わない。なので真正面からはぶつからず、受け、いなし、弾き、捌きながらガブリアスに斬撃を加えていく。しかし、
「足元がお留守よ。ガブリアス、地震!」
 ガブリアスは爪を引っ込めると、素早く地面を踏み鳴らし、地震を発生させる。
「しまっ——ダイケンキ!」
 至近距離で地震の喰らったダイケンキは大きく吹っ飛ばされ、空中へと放り出される。
「逆鱗!」
 そしてガブリアスも飛び上がり、正に逆鱗に触れたような怒りの形相で無防備なダイケンキに凄まじい乱打を浴びせる。一撃一撃がぶち壊す以上の破壊力を持ち、それが連続して繰り出される。最後に地面に叩き落とされたダイケンキの体力は、もう残り僅かだ。
「でも、逆鱗には混乱の効果がある。ダイケンキ、吹雪!」
「怒りの炎で防御!」
 すぐに起き上がったダイケンキは凍てつく吹雪を放つ。ガブリアスも憤怒の炎で壁を作るが、混乱状態では上手く炎が出せず、壁は不完全なものとなった。よって完全に吹雪を防御することもできず、ガブリアスは弱まった雪風を受ける。
「シェルブレード!」
 そしてダイケンキはアシガタナに水のエネルギーを纏わせて特攻。特性、激流が発動しているため、シェルブレードの刃は通常よりも大きく鋭くなっている。
「今度こそ弾きなさい、ぶち壊す!」
 頭を振って無理やり混乱を解き、ガブリアスは爪を振るう。今度は力任せに弾くのではなく、ダイケンキの手元を的確に攻撃し、二振りのアシガタナを空中に弾いた。
「今よ。怒りの炎!」
 さらに怒りの炎を放ち、ダイケンキを包囲。動きを止めるが、
「弾いたくらいじゃ、ダイケンキのシェルブレードは止まりませんよ!」
 空中に弾かれたアシガタナは切っ先をガブリアスへと向け、重力だけのスピードとは思えない速さで落下し、ガブリアスの鱗を貫通して突き刺さる。
「吹雪だ!」
 ガブリアスが叫び声をあげる中、ダイケンキは全方位に向けて猛吹雪を放って炎を吹き飛ばし、ガブリアスにも攻撃をかける。
「っ! 怒りの炎!」
 だがガブリアスは咄嗟に炎を身に纏うように発生させ、吹雪を防御。多少炎で焼かれたが、吹雪を受けるよりよっぽどマシな微々たるダメージだ。
 炎が晴れると、ガブリアスは突き刺さったアシガタナを抜き捨てる。ダイケンキはそれを手元に引き寄せ、構えた。
「シェルブレード!」
「ぶち壊す!」
 ダイケンキの斬撃は通らず、得物が再び弾き飛ばされる。
 とはいえ、ダイケンキはシェルブレードでまた攻撃する算段を立てていた。だが、シロナに同じ手は二度も通用しない。
「飛びなさい」
 アシガタナが落下する前に、ガブリアスはアシガタナより高く飛び上がった。
「地震!」
 そして二振りのアシガタナを踏みつけると、そのまま凄まじい勢いで地面に落下。強力な地震を引き起こす。
「なっ、アシガタナが……」
 真上から地震の衝撃を受け、アシガタナは二振りとも地面に埋まってしまった。こうなると、もう操作するだけでは引き抜けないだろう。
「でも、武器にばかり頼るダイケンキじゃない。吹雪!」
「かわしてぶち壊す!」
 ダイケンキは猛吹雪を放つが、ガブリアスは飛び上がってそれを回避。そのままダイケンキの足元をぶち壊し、衝撃で吹っ飛ばした。そして、

「ガブリアス、逆鱗!」

 ガブリアスは衝撃波で壁や地面を削りながら音速でダイケンキに突撃。さらに爪や足、牙まで使用した嵐の如き乱打をダイケンキに浴びせかける。
 ダイケンキは全身を裂かれ、蹴られ、噛まれ、貫かれ、あらゆる箇所に傷を負う。全身が傷だらけになる。
 ガブリアスの最後の一撃が、ダイケンキの脳天に炸裂する。ダイケンキは身を伏せ、動かなくなった。
「……まだ」
 イリスは呟く。
「まだだよダイケンキ。まだ、終わりじゃないよね」
「…………」
 ほぼダイケンキの敗北は確定それでも、イリスは勝利を手放さない。自分のエースを最後まで信じ切る。そして、

「ダイケンキ、ハイドロカノン!」

 カッと目を見開いたダイケンキは咆哮しながら身を起こし、巨大な水の弾丸を生成する。
 その光景を見て、シロナは微笑みを浮かべる。何か言いたそうではあったが、静かに口をつぐんだ。これから起こることを静かに見守りながら。
 そして、ガブリアスは水の弾丸に飲み込まれていった——



シロナ戦、決着です。やっぱりガブリアスいいですね。白黒はドラゴンタイプだとガブリアスが一番です。ステータスだけでなく、見た目もあの流線型というか、細身な感じが好きです。ともあれ他地方チャンピオン戦も終わり、次の幕では英雄について、そしてプラズマ団について書いていこうと思います。それでは次回もお楽しみに。