二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 478章 悪鬼 ( No.697 )
- 日時: 2013/02/18 00:08
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「ぶちかませ! オニゴーリ!」
リーフィスのバトンタッチで交代されたのは、顔面ポケモン、オニゴーリだ。手も足もない顔だけのポケモンで、非常に強面だ。
「オニゴーリ……? 氷タイプか」
カンカーン、リーフィスに続くポケモンなので、晴れの恩恵を受けるポケモンだと思っていたが、氷タイプではむしろ炎技の威力が上がるため、晴天には弱いはず。イリスはそう思っていたが、イリゼがその考えを否定する。
「氷タイプだから晴れに弱いとか、そういう考えは安易だぜ。ロキの野郎には馬鹿だの考えなしだのさんざ言われたが、俺だって考える時には考える。まあ、とりあえず見てけや。オニゴーリ、ウェザーボール!」
オニゴーリは目の前に白い球体を作り出す。そしてそれをメタゲラスへと発射するのだが、なんと球体は発射される直前に燃え上がった。
「なっ!? メタゲラス、大地の怒り!」
咄嗟にメタゲラスは土砂を噴き出し、火球を相殺する。本来なら耐えて反撃に出るつもりだったが、見るからに炎タイプの技っぽい攻撃だったので、相殺せざるをえなかっただろう。
そして、分かった。確かにオニゴーリは晴れの恩恵を受けないわけではなかった。
「ウェザーボールは天候によってタイプが変わり、同時に威力も上昇する技だ。天候を軸にするとタイプが偏りやすいからな。こういう少し捻ったタイプのポケモンも必要ってわけだ。そんじゃ次だ次だ、オニゴーリ、地震!」
オニゴーリは顔面の顎に当たる部分を激しく地面にぶつけ、強力な地震を引き起こした。
「くっ、もう一度大地の怒りだ!」
再び地面を踏み鳴らし、地震を相殺する。
「メタルブラスト!」
そして鋼鉄の光線を発射するが、空中に浮いているオニゴーリという一点を狙うため、簡単に避けられてしまう。
「ウェザーボールだ!」
そして横に回ったオニゴーリは、日照りの力を得た火球を生成し、メタゲラスに向けて発射する。
「メタルブラストじゃ間に合わない……ストーンエッジ!」
メタゲラスは振り向いてからでは遅いと判断し、その状態のままオニゴーリのいる方向に向けて鋭く尖った岩を射出し、火球を相殺した。
「今度こそ! メタルブラスト!」
そしてオニゴーリに標準を定めると、鋼の光線を発射。しかし、
「かわして地震だ!」
オニゴーリは下降してメタルブラストをかわすと、地面を激しく揺らす地震を放つ。
「メタゲラス!」
地震はメタゲラスに効果抜群。しかもバトンタッチで二回分の剣の舞が加算されるため、その攻撃力は相当なものだろう。メタゲラスの防御が高いとはいえ、一撃だけで相当削られる。
「反撃だ! ストーンエッジ!」
メタゲラスは周囲に鋭い岩を浮かべ、照準をオニゴーリへと定める。だがその時にはもうオニゴーリは動いていた。
「残念だが当たらねぇぜ。地震だ!」
オニゴーリは飛来する岩を回避しつつ、地面を揺らして地震を引き起こし、メタゲラスを攻撃する——はずだった。
「残念だけど、当たっちゃうよ。それだとね」
「あ?」
イリスが発言した直後、オニゴーリの真下の地面から、鋭く尖った岩が無数に飛び出し、オニゴーリを貫いた。
「なぁ!?」
効果抜群に加え、自分からぶつかりにいったオニゴーリも、その一撃で大ダメージを受けてしまう。
「ちっ、フェイントを入れやがったな……!」
「まあね。真正面からじゃ当たらなさそうだから、こうして死角から狙うしかなかったんだ。じゃあ次、メタゲラス、ストーンエッジ!」
今度は普通に鋭い岩を射出するメタゲラス。オニゴーリも普通にその岩をかわしていくが、また下から襲われては敵わないと見たのか、無闇に地震を繰り出してはこない。
「そろそろか……オニゴーリ、ウェザーボール!」
オニゴーリは正面に火球を生成し、メタゲラスへと発射する。
「もう一度、メタゲラス、ストーンエッジ!」
メタゲラスも火球を相殺すべく、鋭い岩を射出。火球と岩は衝突し、共に消滅する——はずだった。しかし、
火球が岩を飲み込み、メタゲラスに直撃した。
「なっ……メタゲラス!」
幸い威力は減衰されたようだが、それでも効果抜群の攻撃には変わりがない。しかもオニゴーリは、休む間もなく攻撃を続ける。
「地震だ!」
地面を揺さぶる衝撃波が放たれ、メタゲラスに襲い掛かった。しかし、思ったよりメタゲラスへのダメージは小さい。
(……? なんだろう、地震の威力が落ちてる?)
このダメージの低さはそう考えるのが妥当だろうが、しかしオニゴーリは自分の攻撃力を下げるような行動は取っていないし、それはメタゲラスも同じことで、逆もまた然り。ダメージが変動するようなことは起こっていないはずだ。
もう少しで真相に辿りつけそうだったが、イリゼがそれを許さない。
「ウェザーボール!」
オニゴーリは火球をメタゲラスへと発射。メタゲラスも、ストーンエッジでは相殺できなかったため、今度は違う手で出る。
「メタルブラスト!」
鋼のエネルギーが凝縮された光線を放ち、火球の相殺を試みるが、メタルブラストとぶつかり合うと火球は四つほどに割れ、それぞれがメタゲラスに襲い掛かった。
(やっぱり、ウェザーボールの威力が上がってる……でも、なんでだ。オニゴーリもメタゲラスも、今までただ攻撃してただけなのに。ただ時間が経過してるだけで能力が変動するはず……ん? 時間の経過……?)
ふとイリスは何かが引っかかったが、その時、またオニゴーリが動き出した。
「オニゴーリ、地震だ!」
「っ、大地の怒り!」
地震を引き起こすオニゴーリに対して、メタゲラスは地面を踏み鳴らして土砂を噴き出し相殺する。そしてその隙に、イリスは図鑑を開いた。
(オニゴーリの特性は……これか)
検索した結果を見ると、イリスはすぐに図鑑を閉じる。ひとまず、疑問は解決した。
「でも、根本的な問題の解決にはならないな……メタゲラス、メタルブラスト!」
メタゲラスはオニゴーリに向き直り、光線状の鋼を発射するが、
「無駄だぜ。オニゴーリ、ウェザーボール!」
オニゴーリがすぐさま火球を放ってメタルブラストを打ち消し、そのまま残った炎がメタゲラスに襲い掛かる。
「大地の怒りだ!」
だがメタゲラスもすぐに地面を踏み鳴らし、土砂を噴出。炎をすべてのみ込み、オニゴーリも巻き込んだ。
「オニゴーリ! これくらいでへばんなよ! 地震!」
「もう一回、大地の怒りだ」
オニゴーリは地震を繰り出すが、大地の怒りで相殺されてしまう。
「メタゲラス、ストーンエッジだ!」
メタゲラスは周囲に鋭い岩を浮かべ、オニゴーリに向けて一点集中で射出する。
「迎え撃て! ウェーザボール!」
対するオニゴーリも火球を放つが、今度は岩を飲み込まず、互いに相殺された。
「地震だ!」
「大地の怒り!」
再び地震と大地の怒りがぶつかり合うが、今度は地震の方が僅かに上回り、大地の怒りを貫通してメタゲラスにダメージを与える。
「だったらこれで……ストーンエッジ!」
メタゲラスも負けじと鋭い岩を続で射出。
「かわせオニゴーリ!」
オニゴーリは襲い掛かる無数の岩を回避しようとするが、動きが鈍く、かわし切れない。
「オニゴーリ、ウェザーボール!」
「メタルブラスト!」
オニゴーリの火球とメタゲラスの光線がぶつかり合うが、今度はメタルブラストが火球を飲み込み、そのままオニゴーリに直撃した。
「攻撃で負け始めたな……」
ぼそりとイリゼが呟き、イリスもその言葉を拾う。
「ムラが強すぎるんだよ。言っとくけど、メタゲラスはまだやれるよ」
「当然。そうでなきゃ面白くねぇ……つうか、気付いたか。オニゴーリの特性に」
「まあね。はっきり言って厄介だよ、その特性……ムラッ気は」
ムラッ気とは、一定時間経過すると能力が一つ上がり、同時に違う能力が下がるという特性だ。オニゴーリの攻撃力が上がったり下がったり、急に素早さが落ちたりしたのも、その特性の影響だ。
「どうも今回は耐久ばっかり上がりやがる……攻撃で負けるなら、しゃあねぇ、あれをやるか。オニゴーリ、地震!」
「効かないよ! メタゲラス、大地の怒り!」
オニゴーリは地面に顎を叩き付け、地震を引き起こす。メタゲラスも同時に地面を踏み鳴らし、大量の土砂を噴射した。
攻撃が下がっているのか、地震は大地の怒りに打ち消され、残った土砂がオニゴーリを飲み込む。しかしオニゴーリは、すぐに土砂の中から飛び出て来た。そして、
「絶対零度!」
ピキピキと、メタゲラスの周囲が凍り始めた。
「まずいっ……メタゲラス!」
鈍重なメタゲラスはその場から動くこともできず、次の瞬間、完全に凍りつく。
イリゼ戦その二。今度はオニゴーリです。今回は特に書くこともないのですが、どうしましょう。そういえばイリゼって今まで何体もポケモン出してますけど、たぶん、この小説の中で一番持ってるポケモンの数が多いんじゃありませんかね? 勿論、手持ちとして判明している範囲ですけど。言われてみれば手持ちポケモンって六体までなので、普通にイリスは超過してますね……所持ポケモン、とかした方がいい気がします。それでは次回、イリゼ戦その三です。このバトルはどのくらい長引くかな……ともあれ、次回もお楽しみに。