二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 482章 過熱 ( No.703 )
日時: 2013/02/20 20:58
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

 寸前で技を切り替えたディザソルは水流を纏った尻尾をエルフーンの綿毛に叩き付ける。
 当然、コットンガードという防御の前では、水タイプの技なんて無意味。しかしそれでも、ディザソルは何度も何度も尻尾を叩き込む。すると、
「っ、エルフーン……!」
 綿の中から少しだけ覗くエルフーンの顔が、疲労で歪んでいた。まるで重荷でも背負っていっるかのような苦しそうな表情をしている。
「くそっ、綿に水を吸わせやがったか……!」
 綿毛は水をよく吸う。そして、大量に水を吸ったエルフーンの綿毛は、かなりの重量になっているだろう。
 風隠れポケモンと分類されるほどエルフーンは身軽で体重も軽いが、その反面、重量には弱い。自分の重さを超える物体を背負っていて、戦い続けることなどできないだろう。
 コットンガードで発生した綿毛すべてがたっぷりと水を吸うと、エルフーンはバタンと倒れ込んでしまう。もう動けないだろう。
「今だディザソル! 怒りの炎!」
 水を吸っていても、本体に炎は届く。ディザソルの放った憤怒の炎はエルフーンを包み込み、燃やしていく。
 しばらくすると炎が晴れる。水分は蒸発したが、同時に綿毛がチリチリ、体の各所も焦げてしまったエルフーンの姿が、そこにはあった。
「……戻れ、エルフーン。よくやったぜ」
 イリゼは戦闘不能となったエルフーンをボールに戻す。これでようやく、イリゼの手持ちは残り三体、半分だ。
「さーて、エルフーンもやられちまったし、もう攻撃しかすることねぇな。ぶちかませ! リーフィア!」
 イリゼが繰り出すのは、やはりリーフィアだった。また剣の舞をバトンタッチで引き継ぐつもりだろう。
「先手必勝だ! ディザソル、神速!」
 ディザソルは神がかったスピードでリーフィアに突撃。リーフィアを吹っ飛ばした。
「やっぱ神速には敵わねぇなぁ……リーフィア、剣の舞!」
「させない! 神速!」
 リーフィアは剣のように鋭く舞おうとするが、ディザソルが突っ込み、中断される。
「怒りの炎だ!」
「かわして剣の舞!」
 続けて怒り狂ったように燃え盛る炎を放つも、今度はかわされ、剣の舞を踊られてしまう。
「一回で攻撃力二倍だ。早くしないとガンガン上がっていくぜ。電光石火!」
 リーフィアは舞い終えると、目にも止まらぬスピードでディザソルに激突する。剣の舞を一回使用しているので、そこそこ威力はある。
「くっ、辻斬り!」
 リーフィアを引き剥がそうと、ディザソルは漆黒の鎌を振るってリーフィアを攻撃するが、
「かわして剣の舞!」
 リーフィアは後ろに後退。剣のような鋭い舞を踊る。
「っ、神速!」
 だがリーフィアの舞は、またも神速ですぐに中断された。
「辻斬り!」
「リーフブレード!」
 ディザソルは追撃に鎌を振るい、リーフィアも尻尾の葉っぱを剣のように振るう。互いの刃が切り結ぶが、攻撃力が倍加しているリーフィアに分があり、ディザソルが押し負けた。
「まだだ! 神速!」
 後ろによろめいたディザソルだが、すぐに態勢を立て直し、超高速でリーフィアに突っ込む。しかし、
「耐えろリーフィア! 剣の舞!」
 神速で来るのを予測していたのか、今度はしっかりと神速を受け切り、その直後を狙って剣の舞を踊る。これで攻撃力は三倍増だ。
「もう一度剣の舞!」
「届け! 神速!」
 リーフィアが三度目の剣の舞を行おうとするが、流石にディザソルの神速の方が速く、リーフィアは空中に打ち上げられてしまった。
「今だディザソル! 怒りの炎!」
 そしてディザソルは、リーフィアの身動きが取れない隙を狙って、憤怒の業かを放つ。業火はすぐさまリーフィアを包み込もうとするが、
「ちっ、ここまでか。リーフィア、バトンタッチ!」
 リーフィアはイリゼのボールの中へと戻っていき、怒りの炎も目標を失って消滅してしまった。
「また……!」
 バトンタッチで引き継ぐとしたら、カンカーンだろう。攻撃力が三倍に膨れ上がったカンカーンを、ディザソルが相手取るのは少々きつい。
「スプラッシュの威力も半減だし、ここは戻って、ディザソル」
 一旦ディザソルをボールに戻し、イリスは違うボールを手に取った。それと同時に、イリゼもボールを構える。
「ぶちかませ! カンカーン!」
「次も頼んだ! ウォーグル!」
 イリゼが交代するのは、イリスの予想通りカンカーン。そしてイリスは、カンカーンに対抗するためのポケモンとして、ウォーグルを繰り出す。
「カイリューとエルフーンとのダメージはまだ癒えてないけど、頑張ってくれ。ウォーグル、ビルドアップ!」
 まずなにはともあれ、ウォーグルは筋肉を増強し、物理能力を高める。剣の舞の火力に対抗するには、この方法が一番手っ取り早いのだ。
「カンカーン、もう残りは二体だ。ガンガン攻めるぜ、サイコバレット!」
 カンカーンも念力を固めた銃弾を大量に生成し、マシンガンのようにウォーグルへと連射する。
「かわしてビルドアップ!」
 襲い来る銃弾をかわし、ウォーグルはさらに筋肉を増強。
「ブレイククロー!」
 そして頑強な爪を構え、カンカーンに突撃する。
「迎え撃て! ウッドハンマーだ!」
 対するカンカーンも、樹木の力を込めた一撃を放ち、ウォーグルと競り合う。
 押し勝ったのはカンカーン。やはりまだ攻撃力ではカンカーンに分があるようだ。
「だったらこっちも能力を上げる! ビルドアップ!」
「させねぇ! サイコバレット!」
 ウォーグルが筋肉を増強しようとしたところに、サイコバレットが飛来。やむを得ずビルドアップを中断し、ウォーグルは上昇して銃弾を回避した。
「カンカーン、ぶち壊す!」
 カンカーンは尻尾を勢いよく地面に叩きつけると、その反動で思い切り跳び上がり、すべてを破壊するような勢いでウォーグルへと突っ込んでいった。
「やばっ……ビルドアップ!」
 咄嗟に筋肉を固め、ウォーグルはその一撃を防御する。とはいえかなりの威力と勢いで、ウォーグルは天井に叩き付けられてしまった。
「おらそこだ! サイコバレット!」
 間髪入れずにカンカーンのサイコバレットが乱射され、無数の銃弾がウォーグル目掛けて発射される。
「これもかわせないか……耐えてくれよ、ウォーグル。ビルドアップ!」
 さらにビルドアップし、筋肉を増強。そしてその直後、ウォーグルは無数の銃弾のほとんどをその身に喰らってしまう。
「ウォーグル!」
 砂煙が上がる中、ウォーグルは飛び出し羽ばたく。どうやらまだ戦闘不能ではないようだ。
「よしっ、いいぞウォーグル! ビルドアップだ!」
「させるかってんだ! カンカーン、フレアドライブ!」
 ウォーグルが筋肉を増強しようとすると、そこにカンカーンが飛び上がって突撃してくる。なのでまたしてもウォーグルはビルドアップを中断。今度は下降してフレアドライブを避ける。
「まだ終わらねぇぞ! ウッドハンマー!」
 だがカンカーンは天井まで到達すると、天井を足場にし、そのまま勢いよく急降下してきた。
「なっ、ウォーグル!」
 樹木の力が込められた一撃を受け、ウォーグルは吹っ飛ばされるが、効果はいまひとつ。ビルドアップの効果もあり、ダメージはかなり抑えられた。
「まだまだ行くぜ、カンカーン! ぶち壊す!」
「耐えてから反撃だ、ウォーグル! ビルドアップ!」
 カンカーンは地面を抉りながら、凄まじい殺気を発してウォーグルに突貫。ウォーグルも筋肉を増強させ、攻撃を受ける構えを取る。
 そしてカンカーンがウォーグルに衝突。ウォーグルも吹っ飛ばされたが、ビルドアップのお陰でダメージは少ない。
 しかしそれでも、かなり疲弊していることは確かだ。ウォーグルはリーフィア、カイリュー、エルフーンと、三体のポケモンを相手取っている。疲れも溜まっているはずだ。
 だがそれはカンカーンも同じ。フレアドライブやウッドハンマーなど、反動のある高火力の技を連発し、体力も切れてきたはず。となると、

「カンカーン、フレアドライブ!」

「ウォーグル、ブレイブバード!」

 お互い、必殺級の大技で勝負を決めにかかる。
 カンカーンは日照りで強化された爆炎をに身纏い、炎を推進力にすら利用して突撃。
 ウォーグルは全身に莫大なエネルギーを纏い、勇猛果敢な勇者の如き勢いで突貫。
 両者が激しくぶつかり合い、一歩も引かずせめぎ合う。膨大な熱やエネルギーがトレーナーのところにまで来るほど、二体の技は凄まじい。
 そしてカンカーンの爆炎とウォーグルのエネルギーが濃くまじりあったその時——

 ——大爆発が起きた。



イリゼ戦その六です。思いましたが、このバトル能力上げ過ぎじゃないですか? リーフィアは剣の舞とバトン、オニゴーリはムラッ気、エルフーンはコットンガードで、ウォーグルはいつになくビルドアップ連発。僕、どのくらい筋肉増を強って言葉をどのくらい打ち込んだんでしょうか。それはともかく、イリゼ戦もいよいよ大詰め。カンカーンとウォーグルが大技でぶつかり合いましたが、勝敗は如何に。では次回、イリゼ戦その七。あと二回くらいで終わりますかね? 次回もお楽しみに。