二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 483章 新緑 ( No.704 )
日時: 2013/02/21 00:38
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: 0aJKRWW2)
参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html

「カンカーン!」
「ウォーグル!」
 爆発が起き、煙が辺り一面に立ち込める。その煙が晴れると、そこにはうつ伏せで倒れて動かなくなったカンカーンと、ウォーグルの姿があった。
「……よくやったぜ、カンカーン。今までで一番でかい炎だったな」
「ありがとう、ウォーグル。四体も相手して、よくやってくれたよ」
 イリゼとイリスもは、お互いポケモンをボールに戻す。
 これでイリスの手持ちは残り三体で、消耗しているのはディザソルのみ。対するイリゼは残り二体で、リーフィアが消耗している。
 数の上ではイリスが有利だが、まだ油断はできない。リーフィアはバトンタッチがなくとも強敵だし、イリゼの最後のポケモンも不明なのだ。
「交代してすぐだけど、頼むよ。ディザソル!」
「もう攻めるだけだ。 ぶちかませ! リーフィア!」
 イリスが繰り出すのはディザソル。そしてイリゼはリーフィア。先ほどと同じポケモン同士でのバトルだ。
「まずはこれだ。リーフィア、剣の舞!」
「舞わせない! ディザソル、神速!」
 リーフィアは剣のような鋭く力強い舞を踊ろうとするが、そこにディザソルが超高速で突っ込む。
 しかしリーフィアもそれは予測していたようで、神速を受けて一時中断したものの、すぐにまた舞を再開させ、結果的に攻撃力を倍加させることに成功した。
「行くぜ、電光石火!」
 そしてリーフィアは高速で動き回り、ディザソルに突撃した。攻撃力が倍加しているので、威力は神速と同等くらいになっている。
「辻斬りで反撃だ!」
 ディザソルは反撃にと尻尾の刃を振るい、リーフィアを切り裂こうとするが、
「かわして剣の舞!」
 スッと後ろに下がったリーフィアは、剣の舞を踊り始める。しかし、
「それは読めてるよ。ディザソル、怒りの炎!」
 ディザソルは憤怒の炎を、発射した。
 いつもなら囲うようにして放つ怒りの炎を、今回は火球のように固め、目の前のリーフィア目掛けてぶつけたのだ。
 総合的なダメージこそ落ちるが、これならすぐに攻撃でき、リーフィアもかわすことは難しい。事実、葉緑素で素早さが上がっているリーフィアは回避できなかった。
「このまま攻めるよ、辻斬り!」
 そしてディザソルは、漆黒の鎌を構えてリーフィアを切り裂こうとするが、
「迎撃しろ! リーフィア、リーフブレード!」
 リーフィアも尻尾の葉っぱを振るってディザソルと切り結ぶ。剣の舞を掛けている分リーフィアの方が威力が高く、ディザソルの鎌は弾かれ、ディザソルも切り裂かれる。
「電光石火!」
 そしてすぐにディザソルに激突し、吹っ飛ばす。
「今だ、剣の舞!」
 さらに剣の舞で攻撃力も上げる徹底ぶり。これでリーフィアの攻撃力は三倍。
「まだまだ行くぜ、電光石火!」
「っ、横から神速!」
 リーフィアは神速を超える威力になった電光石火を繰り出すが、スピードなら神速の方が上だ。ディザソルはリーフィアの横に回り込み、激突してリーフィアを吹っ飛ばす。
「怒りの炎だ!」
 そして追撃にと怒り狂うように燃える炎を放つ。今度はリーフィアを追い、包囲するような炎だ。
「避けるのは無理そうだな……リーフィア、電光石火で突っ切れ!」
 回避できないと判断するや否や、リーフィアは高速で駆け出し、強引に炎を突破。そのままディザソルに衝突する。
「続けてリーフブレード!」
「こっちも辻斬り!」
 リーフィアは尻尾の葉っぱを振り下ろし、ディザソルも漆黒の鎌で迎え撃つ。しかし攻撃力では圧倒的にリーフィアが上なので、ディザソルの鎌はいとも容易く弾かれてしまった。
「剣の舞!」
 しかも、鎌を弾かれ態勢を崩したディザソルに追撃をかけず、リーフィアは剣の舞を踊り、攻撃力を最大まで高めた。これでリーフィアの攻撃力は四倍。
「くっ、舞われた……ディザソル、神速だ!」
 ディザソルは超高速でリーフィアに突撃。しかしリーフィアは態勢を崩さず、反撃に出る。
「切り裂け! リーフブレード!」
 最大まで研ぎ澄まされた尻尾の葉っぱを刃のように振るい、リーフィアはディザソルを切り裂く。
 その一撃で、遂にディザソルは倒れ、戦闘不能となる。
「ディザソル……戻ってくれ」
 イリスはディザソルをボールに戻す。これでお互い手持ちは二体。数の上なら並んだことになる。
「……相手はリーフィア。となると、君しかいない」
 イリスはゆっくりと次なるボールを掴み、構える。
「今思えば、君がいたからこそ、僕はこうして、新たな旅に出られたんだよね、感謝してるよ。だから、これからもずっと、一緒に戦って欲しい」
 そして、空中高くへとボールを放り投げた。

「行くよ、リーテイル!」

 イリスの五番手は、第二期エースの称されるポケモン、リーテイルだ。
 リーテイルは空中で旋回しながら下降し、イリスの下まで降りてくる。
「やってくれるね、リーテイル」
 イリスの呼び掛けに、リーテイルはコクリと頷く。そして、羽ばたきリーフィスと相対する。
「……やっとリーテイルのお出ましか。リーフィアで本格的に戦い始めればいつかは出ると思ってたぜ。とはいえ、本当はカイリュー相手に出させるつもりだったんだがな」
 愚痴るように呟くイリゼだが、その声はどこか嬉しそうでもあった。
「ま、相性が悪くても俺のリーフィアを簡単に倒せると思うなよ。リーフィア、電光石火!」
 リーフィスは目にも止まらぬスピードでリーテイルに突っ込んで来る。それに対しリーテイルは、
「リーテイル、急上昇!」
 背中の葉っぱを羽ばたかせ、天井目掛け上昇することで電光石火を回避する。しかし、
「舐めんな! リーフィア、追いかけろ!」
 リーフィアも壁の出っ張りなどを利用して飛び跳ねるようにリーテイルを追い、その背に突撃する。
「リーフブレードだ!」
 そして空中でくるっと一回転すると、尻尾の葉っぱを振り下ろすようにリーテイルを切り裂く。威力は四分の一にまで落ちているが、剣の舞を三回使用したリーフィアだ、その攻撃力は計り知れない。リーテイルも予想以上のダメージを受けてしまう。
「やっぱり剣の舞の三回掛けはきつい……リーテイル、一旦離れてエアスラッシュ!」
 リーテイルは一度リーフィアから距離を取り、リーフィアが地面に着地した瞬間を狙って空気の刃を無数に飛ばす。
「かわせリーフィア! 電光石火!」
 リーフィアは高速で動き回り、刃を回避。そのままリーテイルへと突っ込んでいくが、
「ドラゴンビートだ!」
 リーフィアが回避行動を起こしている間にリーテイルは攻撃準備を済ませており、リーフィスが突っ込んで来た瞬間に龍の鼓動の如き咆哮を放ってリーフィアを吹っ飛ばす。
「もう一発ドラゴンビート!」
「回避だ!」
 続けて龍の音波を発射するリーテイル。だがリーフィアは、壁に足を着けると、三角飛びの要領で音波を回避した。
「追いかけるんだ! リーテイル、リーフブレード!」
「迎え撃て! リーフィア、こっちもリーフブレード!」
 リーテイルは尻尾の葉っぱを構えてリーフィアを追撃するが、リーフィアも同時に尻尾の葉っぱを振り下ろす。
 両者の刃が切り結ばれるが、やはりリーフィアの方が攻撃力が高く、リーテイルは弾き飛ばされてしまう。
「一気に攻めるぞ! リーフブレード!」
 リーフィアは着地し、思い切り地を蹴って駆け出す。
「リーテイル、エアスラッシュだ!」
 対するリーテイルも空気の刃を連続で飛ばすが、リーフィアは尻尾の葉っぱで次々と切り裂き、その勢いは止まらない。
「だったら、ドラゴンビート!」
 大きく息を吸い込み、リーテイルは龍の咆哮を放つ。しかし、
「そう何度も当たると思うな! リーフィア、上からリーフブレード!」
 リーフィスは音波が放たれた瞬間、跳躍してドラゴンビートを回避。そのまま一回転し、葉っぱの刃をリーテイルへと向ける。
「受け止めろ!」
 だが、なんとリーテイルはリーフィアの振り下ろす刃を、真剣白刃取りのように受け止めてしまう。それにより、リーフィアは完全に動きを止めてしまった。
「投げ飛ばしてエアスラッシュ!」
 リーテイルはリーフィアを空中高くに放り投げる。そして完全に無防備となったリーフィアに、空気の刃を無数に飛ばして切り刻んだ。
「なんだと……っ! リーフィア!」
 ドサッと落下したリーフィアは、目を回しており、戦闘不能だった。
「……お前はよく頑張ったぜ、リーフィア。後は任せろ」
 イリゼはリーフィアをボールに戻す。
 これで、イリゼの手持ちは残り一体。その一体は、まだ不明だ。
「褒めてやる、イリス。二対一で俺にこいつを出させるとはな。ダイケンキがお前にとってそうであるように、こいつは俺のエースで、最初のポケモンで、最強のポケモンだ」
 取り出したボールを構えつつ、イリゼはそう言った。
「この山で出会った、俺の最大の相棒。行くぜ、俺のせがれに、お前の力を見せつけろ。ぶちかませ——!」
 そして、イリゼの最強のポケモンが、出現する——

「——ヒードラン!」



イリゼ戦その七ですが、まず最初に謝ります。執筆中、白黒はリーフィアとリーフィスを間違えて打ってしまいました。見つけたところは直しましたが、修正しきれていない所があるかもしれません。本当にごめんなさい。というわけで、謝罪で文字数が限界です。次回はイリゼ戦その八、お楽しみに。