二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 508章 新参 ( No.753 )
- 日時: 2013/03/13 23:53
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「ユレイドル!」
ソンブラの二番手は岩壺ポケモン、ユレイドル。ウミユリのようなポケモンで、頭部には八つの触手が存在する。
「ユレイドル、危険な毒素!」
ユレイドルは八枚の触手の先端から毒素をにじみ出すと、それらすべてを一点に集め、プリンへと発射する。
「プリン、かわしてベルカント!」
地面に勢いよく息を吹きつけることで上昇したプリンは、毒を回避。そして思わず聞き惚れてしまうような歌声を響かせ、ユレイドルを攻撃する。
だが効果はいまひとつ。大ダメージには程遠い。
「その程度じゃ、ユレイドルを倒すことは出来ないよ。大地の怒り!」
ユレイドルは地面を鳴動させ、大量の土砂を吹き放つ。
「かわしてプリン! 地球投げ!」
またしても空気の逆噴射で攻撃を回避したプリンは、そのままユレイドルへと接近するが、
「そこだよ。ユレイドル、グランボールダ!」
プリンがユレイドルに触れた瞬間、四方八方から岩石が飛来し、プリンを攻撃。そのまま岩の中へと閉じ込めてしまう。
「しまった……プリン!」
「まずはこれだ。危険な毒素」
ユレイドルは岩石の一部を崩し、触手を中に差し込む。そして触手の先から毒素を放ち、プリンを攻撃する。
「プリン、がむしゃら!」
しかし中でプリンが暴れたため、毒素は一部散り、プリンを覆う岩石をも溶かしてしまった。
「よしっ。プリン、ベルカント!」
岩の中から抜け出したプリンは、歌声を響かせてユレイドルを攻撃。すると一瞬だけユレイドルの動きが止まり、その隙にプリンはユレイドルから離れる。
「ふぅ……危ない危ない。今度からは慎重にならないとね」
とは言うが、プリンは既に危険な毒素を受けてしまっている。慎重になり過ぎると今度は毒で削られてやられるので、攻める時は攻めなくてはならないのが現状だ。
「プリン、地球投げ!」
プリンは再びユレイドルへと接近するが、今度はまっすぐに向かわず、大きく迂回したり、一度上を飛び越したり、不規則な軌道でユレイドルへと迫る。
「面倒だなぁ……大地の怒り!」
対するユレイドルは鈍重なので、プリンを追うことは出来ない。なので地面を鳴動させ、ユレイドルの周囲を囲むように土砂を噴出させる。
しかし、
「プリン、今よ!」
土砂の攻撃範囲外。ユレイドルの真上からプリンは落下し、ユレイドルの触手を掴む。
そしてグイッと引っ張り上げると、空中で一回転しながら地面に思い切り叩き付けた。
「っ、ユレイドル!」
地球投げはダメージが固定されているのだが、それでも攻撃の光景を見れば、ユレイドルが大ダメージを受けたように感じてしまう。
ユレイドルはゆっくりと体を起こし、態勢を立て直す。
「やっぱりまだユレイドルはまだ扱いづらい……ユレイドル、大地の怒りだ!」
またしても土砂を噴き出すユレイドルだが、今度はかなり不規則に、悪く言えばでたらめに攻撃したためか、プリンも攻撃をかわし切れずに吹っ飛ばされる。
「グランボールダ!」
「あれだけは……プリン、かわして!」
動きを封じられれば何をされるか分からない。ゆえにプリンは必死で襲い来る岩石をかわそうとするが、どこか動きがぎこちない。
そして遂にかわし切れなくなり、プリンは岩石の塊に閉じ込められてしまう。
「プリン!」
中でプリンは必死に暴れるが、岩石はびくともしない。
「……無駄だよ。確かに進化前のポケモンだって、戦略次第では戦えるけど、素の力はどうしたって進化後のポケモンに劣る。それに君のプリンはユレイドルの危険な毒素を受けて弱っているだろう。そんな状態で、グランボールダから抜け出すことは出来ないさ」
言いながらユレイドルはずりずりと体を引きずって宙に浮かぶ岩へと近付いていく。
「さて、それじゃあそろそろ終わらせるよ。ユレイドル、ギガドレイン!」
ユレイドルは触手を伸ばし、岩石へと差し込む。そして中で暴れているプリンを絡め取るように纏わり付かせた。
ドクッ、ドクッと岩の中から何かを吸い出すような音が響き、同時にユレイドルの受けた傷が少しずつ癒えていく。
ギガドレインは草タイプを代表する技の一つで、攻撃と同時に体力を回復する技だ。
「プ、プリン……」
岩に閉じ込められ、身動きの取れないプリンではどうすることもできず、ただ無抵抗に体力を奪われる。
「ん……もういいよ、ユレイドル」
ソンブラの指示で、ユレイドルはシュルシュルと触手を縮める。同時に岩が崩れ落ち、中から戦闘不能になったプリンも落下する。
「……ありがとう、プリン。戻って休んでて」
リオはプリンをボールに戻す。
「このユレイドルは、グランボールダからのギガドレインが脅威……リーフィスがいてくれればよかったんだけどまだ完治してないし、シャンデラじゃちょっと……仕方ないか」
不承不承といった風に、リオは次のボールを構える。
「ここじゃ動きにくいと思うけど、我慢してね。ドラドーン!」
リオの三番手はドラドーンだ。相当な巨体であり、頭が天井に着いてしまっている。胴も長いのでとぐろを巻いてなんとかしているが、この洞窟内ではろくに動けないだろう。
しかし、
「……成程。動きにくいけど、巨体ゆえにグランボールダに閉じ込められないようにしたんだ。タイプからしてもユレイドルじゃ決定打になる技が少なくなるし、悪いチョイスではないかな」
ソンブラの言う通りこの状況でのドラドーン選出は、動きにくいというだけでユレイドルに対しては有利なのだ。大地の怒りは無効、ギガドレインも四分の一。危険な毒素は等倍で、弱点を突けるのはグランボールダだけになる。
「ドラドーン、凍える風!」
ドラドーンは吹雪にも匹敵する凍えるような突風を放つ。鈍重なユレイドルでは避けることなどできず、直撃を受けてしまう。
「くっ、危険な毒素!」
ユレイドルは風が止むと、すぐさま毒素を一点に集中させ、ドラドーンに直撃させる。
「グランボールダ!」
続いて岩石を浮かび上がらせ、ドラドーンを取り囲むようにして放つ。勿論、超巨体のドラドーンを閉じ込めることは出来ないが、岩を叩き付けるだけでもダメージは通る。
「邪魔! ハリケーン!」
しかし押し付けるように叩き付けられた岩石は、ドラドーンの放つハリケーンですべて吹き飛ばされ、粉砕されてしまう。
「炎の牙!」
そして今度は体を伸ばし、ユレイドルに牙を突き立てる。ドラドーンほどの巨体であれば、その力も相当なものだろう。
「引き剥がせ! 危険な毒素!」
ユレイドルは触手をドラドーンに絡ませて毒素をにじみ出すが、ドラドーンは離れない。炎が灯った牙を深々とユレイドルに突き刺したままだ。
「だったら……触手を口の中に!」
「っ……!?」
絡ませていた触手をほどき、ユレイドルはドラドーンの口の中に触手を差し込む。そして危険な毒素を体力に発射した。
直後、ドラドーンは絶叫し、大きくのけぞる。
「ドラドーン!」
岩をも溶かす毒素を口の中に直接放たれたのだ。ドラドーンの受けたダメージは尋常ではないだろう。
「今だ! グランボールダ!」
その隙にユレイドルは無数の岩を浮かび上がらせ、ドラドーンに向けて一斉に放つが、
「吹き飛ばして! ハリケーン!」
なんとか立ち直ったドラドーンが激しい突風を放ち、襲い掛かる岩石をすべて吹き飛ばし、逆にユレイドルへとぶつけた。
「凍える風!」
そて直後、凍える風を吹き、ユレイドルに追撃。効果抜群なので、ダメージは大きい。
「これでとどめ! ドラドーン、ドラゴンプレス!」
ドラドーンは体を浮かし、いまだ立ち直っていないユレイドルを押し潰す。
すると砂煙が立ち込め、ドラドーンが体をどかすと、そこには倒れて動かなくなったユレイドルの姿があった。
「……戻れ、ユレイドル」
戦闘不能のユレイドルをボールに戻し、ソンブラは素早く次のボールを構えた。
「ドラゴンタイプ相手なら、このポケモンしかいない。出て来て、ラプラス!」
ソンブラの三番手は、乗り物ポケモンのラプラス。水と氷タイプなので、ドラドーンとは相性が良い。
「加えてその巨体。ここじゃあまともに動けないだろうから、攻撃を避けることも難しいよね。だったらすぐに決めるよ」
鋭い眼光で睨み付け、ソンブラはラプラスに指示を出す。
「ラプラス、凍てつく風!」
ラプラスは大きく息を吸い、途轍もなく冷たい風を放つ。その冷気は凍える風や吹雪の比ではない。洞窟の地面や壁を凍りつかせながら、ドラドーンへと迫っていく。
「っ、あれは……ドラドーン、ハリケーン!」
咄嗟にドラドーンも突風を放つが、間に合わず、凍てつく風がドラドーンに到達する。
刹那、ドラドーンは凍り付いてしまった。分厚い氷に覆われ、身動き一つ取れない状態となってしまう。
「氷状態。最も出にくい状態異状だけど、凍てつく風は確実に相手を凍らせる。その分、命中率が低いけどね」
しかしこの場合なら、ほぼ確実に命中する。
「さあ、これで終わりだよ。アイスバーン」
ラプラスは凍てつく衝撃波を放ち、凍りついたドラドーンを攻撃する。
氷が砕けると同時に、ドラドーンは戦闘不能となった。
第六節その三、リオとソンブラのバトルです。文字数が本当にギリギリなので、今回もこの辺で。次回もお楽しみに。