二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 526章 光輝 ( No.777 )
- 日時: 2013/03/20 03:44
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「……戻ってくれ、マイハニー。よく頑張ってくれたよ」
ロキは雷に貫かれ、戦闘不能となったアメリシアをボールに戻す。
「相性が良かったとはいえ、ボクから先手を取るなんて、やるじゃないか」
「何が相性が良かっただよ。結果的にはあんたのミスじゃねえか」
さりげなく言い訳をするロキを、フォレスが鋭く指摘する。
「ふふふ、でも君、本当に強いよ。前に戦った女の子は四番目に強いらしいけど、彼女よりも強いんじゃないのかな?」
「女の子……? レイさんのことか? あの人、そんな風に呼ばれるほど幼くもないだろ。女は歳多く見られるのを嫌うっていうが、幼く見られるのみ嫌らしいぜ」
「へぇ、そういえばユキちゃんもそんなこと言ってたね。乙女心は複雑ってことなのかな」
「まったくだ」
うんうんと頷き合い、変な所で気の合う二人だった。
「……序列については、一応、俺よりもあの人の方が強いよ。だがそれも、俺たち7Pが決定した時につけられた序列だがな」
「てことは、今は君の方が強い可能性もあるってことだね」
だったら真面目にやらないとなぁ、と今までは不真面目だったのかと問いただしたくなるようなことを呟いて、ロキは次のボールを手に取った。
「ま、なにはともあれ、続けようか。おいで、マイフィアンセ、ランターン」
ロキが次に繰り出すのは、ライトポケモン、ランターン。
チョウチンアンコウのようなポケモンで、魚に酷似した流線型のボディ。頭部から伸びる触覚のようなものは先端が球状になっており、光り輝いている。
「ランターンも雷を使えるけど、さっきみたいなヘマはもうしないよ」
「そもそも電気タイプに電気技を撃つ方がどうかしてんだけどな」
なぜか自信満々のロキに、あくまでも冷静なフォレス。
「ランターン、ハイドロポンプ」
ランターンは大きく息を吸い、大量の水を噴射する。雨の影響で威力の増大したハイドロポンプの勢いは、相当なものだ。
「ランターンなら、特性は蓄電だろうな……マカドゥス、かわしてダイヤブラスト!」
マカドゥスはハイドロポンプをかわすと、ランターンに接近し、煌めく爆風を放とうとするが、
「怪しい光」
ランターンは突如、触角の先にある球体を怪しげに発光させ、マカドゥスの目をくらます。そして同時に、マカドゥスを混乱状態にした。
「ランターン、ハイドロポンプだ」
そしてそのままランターンはハイドロポンプを噴射。混乱して正常な行動を取ることできないマカドゥスは、その直撃を受けて吹っ飛ばされた。
「っ、マカドゥス!」
天候の恩恵も受けた効果抜群の攻撃を直撃され、マカドゥスはあえなく戦闘不能。フォレスはマカドゥスをボールに戻す。
「俺のポケモンは全体的に水タイプに弱いからなぁ。電気まで複合したランターンなんざ、天敵みたいなもんだ」
と言うものの、フォレスにはランターンを打倒できるポケモンがいないわけではない。
「……ま、とりあえずはこいつにしとくか。出番だ、サンドリル!」
フォレスの二番手は、ドリルポケモン、サンドリル。
ハリネズミのような出で立ちのポケモンで、背中の棘は頭に沿って上向きに逆立っており、両手はドリルになっている。
「ふぅむ、地面タイプかぁ。君はどうしても、ボクに雷を使わせたくないみたいだね」
「別にそんなつもりはないが……」
ロキのいちゃもんじみた言葉に、困り気味に返すフォレス。
「ふふ、まあいいよ。雷がなくとも、マイフィアンセは十分強い。ランターン、ハイドロポンプ」
ランターンは大きく息を吸い、大量の水を噴射する。
「サンドリル、かわしてドリルライナー!」
俊敏な動きで水流をかわしたサンドリルは、ドリルを回転させ、ランターンへと接近。ドリルを突き込んできた。
「おおぅ? ランターン、かわすんだ」
ランターンは咄嗟に身を退くが、完全にはかわせず、掠めるようにしてドリルの攻撃を受けてしまう。
「速いねぇ。ランターン、吹雪」
「かわしてシザークロスだ!」
ランターンは雨にも関わらず猛烈な吹雪を放つが、サンドリルは大きく跳んでこれを回避。上空から、ドリルの先端を交差させてランターンを切り裂いた。
「ぶち壊す!」
さらにサンドリルは、凄まじい気迫でドリルをランターンへと突き出し、追撃をかけるが、
「流石にこれ以上は喰らいたくないなぁ。ランターン、怪しい光」
ドリルがランターンに触れる直前で、ランターンは不気味な閃光を発し、サンドリルを混乱状態にする。よってサンドリルの攻撃はランターンには当たらなかった。
「ハイドロポンプだ」
直後、ランターンは雨で強化されたハイドロポンプを噴射するが、
「くっ、かわせサンドリル!」
混乱のまま、ふらふらとした足取りでサンドリルは足場を移し、なんとか水流を回避する。
「ストーンエッジ!」
そして周囲に鋭い岩を浮かべ、ランターン目掛けて一斉に発射。何発かは明後日の方向へと飛んで行ったが、残りはすべてランターンへと飛んで行く。
「雷だよ」
だが、ランターンは激しい稲妻を放って襲い来る岩を全て破壊。そして、
「吹雪だ」
今度は猛吹雪を放つ。雨粒を凍らせることで、水技ほどではないが威力の増した吹雪が、サンドリルに襲い掛かる。
「サンドリル、回避だ!」
混乱を振り払い、サンドリルは大きく横っ飛びすることで吹雪を回避。そして同時に、ランターンへの攻撃チャンスを得た。
「ドリルライナー!」
ドリルを回転させながら、サンドリルはランターンへと突っ込む。
「怪しい光」
ドリルライナーが当たる直前に、ランターンはまたしても怪しい光でサンドリルの攻撃を阻止しようとする。しかし今回は完全に軌道を逸らすことは出来ず、直撃ではないがドリルの攻撃を受けてランターンは弾き飛ばされる。
「追撃しろ、ストーンエッジだ!」
今回はいち早く混乱から立ち直り、サンドリルは鋭く尖った岩を発射する。弾かれたランターンはまだ態勢が整っておらず、尖った岩が体に突き刺さった。
「ぶち壊す!」
「ハイドロポンプ」
続けてサンドリルは、ドリルを構えて特攻。凄まじい勢いでドリルを突き出すが、ランターンも同時に水流を放っており、ぶち壊すとハイドロポンプがぶつかり合う。
しばらく競り合っていたが、素の攻撃力はサンドリルの方が上とはいえ、雨とタイプ一致で強化されているランターンのハイドロポンプに分があり、最終的にサンドリルは押し戻されてしまった。
「よし、いいよランターン。そのまま吹雪だ」
ランターンは続け様に猛吹雪を放ち追撃をかける。
「通じる攻撃技は全部効果抜群だからな……かわせサンドリル!」
フォレスの言うように、ランターンが持つ攻撃技でサンドリルに通るのは、ハイドロポンプと吹雪のみ。だがどちらもサンドリルの弱点を突くタイプなうえ、威力が高い。ハイドロポンプに至ってはタイプ一致に天候の恩恵まで受ける。物理技ならまだしも特殊技では、そんな高火力の攻撃をサンドリルが耐えられるはずもない。
なのでサンドリルは跳躍して吹雪を回避。ランターンの上を取った。
「シザークロス!」
そしてドリルの先端で、ランターンを十文字に切り裂く。
そしてそのまま追撃をかけたいところだが、サンドリルは深追いせず、あえて身を退いた。
「……怪しい光を警戒してるみたいだね」
「まあな。一回目は痛い目見てるし、二回目は運が良かっただけだ。次にあれを喰らえば、今度はやられちまいそうだしな」
サンドリルが追撃しなかったのは、怪しい光を警戒したため。ここぞという時に放たれる怪しい光は、こちらを混乱状態にする。混乱はポケモンの正常な行動の妨げになるため、かかりたくない状態異状だ。
「賢明というべきか、臆病というべきか。ま、無謀よりはいいのかもしれないけどね。ランターン、吹雪」
「サンドリル、かわしてストーンエッジ!」
ランターンが放つ吹雪を、サンドリルは跳躍して回避。上空から鋭く尖った岩を発射してランターンに突き刺す。
ランターンは体力が多いものの、それ以外の能力は平凡だ。一度に受けるダメージ量が多いため、そろそろ体力も限界近いだろう。
なのでロキも、勝負に出る。
「ランターン、ハイドロポンプ」
最初の吹雪はブラフ。ランターンは尖った岩の直撃を受けたものの、すぐに軌道を修正して目標を捕捉。狙いを定め直した。
そして直後、ランターンは大量の水を噴射する。
「っ、サンドリル、ドリルライナー!」
空中では身動きが取れないため、攻撃はかわせない。だがサンドリルは諦めず、咄嗟にドリルを回転させ、襲い掛かる水流を散らそうとする。
しかし水の量は膨大だ。二つのドリルでは抑えきれない。だがそれでも、サンドリルは必至で耐える。
「ぶち壊す!」
危険を冒し、サンドリルは片手を振り上げ、凄まじい勢いで振り下ろす。すると刹那、水流は四方八方に飛び散る。文字通り、ぶち壊されたのだ。
「……っ」
流石に驚きを隠せないロキ。だがその間にも、サンドリルはランターンを狙っていた。
「とどめだ! サンドリル、ドリルライナー!」
着地した瞬間、サンドリルは勢いよく地面を蹴って突貫。高速回転させたドリルをランターンに突き込む。
「っ、ランターン——」
効果抜群の直撃を急所に受け、ランターンは戦闘不能となった。