二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 567章 先手 ( No.835 )
- 日時: 2013/03/31 20:17
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「デスカーン、祟り目!」
「バイバニラ、冷凍ビーム!」
デスカーンの黒いオーラとバイバニラの凍てつく光線がぶつかり合い、共に消滅する。
それと同時に、二体のポケモンは猛毒と攻撃のダメージが蓄積し、地に落ちた。
「むぅ、戻りなさい、デスカーン」
「戻ってくれ。ありがとう、バイバニラ」
最後は耐久力の勝負となり、共に戦闘不能となった二体を、ゲーチスとNはそれぞれボールに戻す。
「次は君だ。僕に力を貸してくれ、アバゴーラ!」
「ドクロッグ! 惰弱な民に暴力の制裁を!」
Nの二番手は、古代亀ポケモン、アバゴーラ。
分類通り今は絶滅した亀のような姿のポケモンで、青い体に黒い甲羅と嘴を持つ。前脚はヒレのままだが後脚が発達しているため直立しており、全体的にゴツゴツでがっしりした体つきをしている。
対するゲーチスのポケモンは、毒突きポケモン、ドクロッグ。
こちらも直立した蛙のような姿で、首元には不気味な音を鳴らす赤い毒袋。手も四指のうち一つだけ赤く、爪のように長く鋭い。
「ふむ、アバゴーラですか。タイプではドクロッグが有利ですが」
ゲーチスは言葉を区切り、ドクロッグを見遣る。
直後、ドクロッグは早くも動き出した——と言っても、身震いしただけだ。だがそれだけで、ゲーチスは何かを察知した。
「ワタクシのドクロッグの特性は危険予知。それが弱点となる技を予知た。アバゴーラというポケモンから考えれば、地震あたりでしょうか?」
危険予知は場に出ると、相手のポケモンが自分に対して弱点を突ける技を持っていた場合、身震いする特性。つまりアバゴーラはドクロッグに対して弱点を突ける技を覚えている。それを知られたNは、
「正解だ! アバゴーラ、地震!」
その技を隠そうともせず、真っ先に指示する。アバゴーラは大きなヒレを地面に叩き付け、地震を引き起こす。
「ドクロッグ、かわしなさい。ダストシュートです!」
ドクロッグは大きく跳躍し、地震を回避する。そして空中でゴミの塊を生成すると、それをアバゴーラに投げつける。
アバゴーラは鈍足なポケモンであるため、ゴミの塊をかわせず直撃を喰らってしまった。
「休ませてはいけませんよ。ドクロッグ、クロスチョップ!」
ドクロッグは空中で腕を交差させ、勢いよく落下。その勢いも合わせて交差させた手刀をアバゴーラに叩き込む。
クロスチョップは格闘タイプの中でも高威力な技。それを効果抜群で受けたのだから、アバゴーラへのダメージは大きいはずだが、
「アバゴーラ、ストーンエッジだ!」
アバゴーラは至近距離から鋭い岩を連射し、すぐさまドクロッグに反撃する。
「僕のアバゴーラの特性はハードロック。効果抜群の攻撃を受けても、その攻撃の威力を抑えるんだ。そのくらいじゃやられたりはしないさ。アバゴーラ、噛み砕く!」
追撃にとアバゴーラは嘴を開き、万力のようにドクロッグを噛み砕こうとするが、
「不意討ちです!」
次の瞬間、ドクロッグはアバゴーラの背後に移動し、鋭い爪の一撃を叩き込んだ。
「続けて雷パンチ!」
さらに拳に電撃を纏わせ、続けて硬い甲羅を殴りつける。ハードロックで威力が落ちてるとはいえ、効果抜群は効果抜群だ。それなりのダメージは通る。
「くっ、アクアジェット!」
「無駄です、不意討ち!」
アバゴーラは水流を纏って飛び上がり、頭上からドクロッグに突っ込もうとするが、それより早くドクロッグがアバゴーラに接近し、爪を突き込む。
「先制技同士なら、素のスピードが高い方が勝つのは道理。あなたのアバゴーラでは、ワタクシのドクロッグには追いつけません。ドクロッグ、ダストシュート!」
ドクロッグは巨大なゴミの塊を生成し、アバゴーラ目掛けて投げつける。
「アバゴーラ、アクアジェットだ!」
アバゴーラは再び全身に水流を纏い、飛来するゴミの塊をかわしてドクロッグに突撃する。
「噛み砕く!」
「無駄だと言っているでしょう! 不意討ち!」
アバゴーラはそのまま嘴で噛み砕こうとするが、ドクロッグは一瞬のうちにアバゴーラの背後に回り、爪を突き刺して反撃してくる。
「クロスチョップです!」
そしてそのまま交差させた手刀を振り下ろし、切り裂くようにアバゴーラを追撃。しかし、
「アバゴーラ、地震だ!」
アバゴーラは素早く地面にヒレを叩き付け、地を這う衝撃波を引き起こす。ドクロッグは跳躍してかわそうとしたが避けきれず、衝撃波を喰らって吹っ飛んだ。
「今だ! アクアジェット!」
すかさずアバゴーラは水流を纏い、高速でドクロッグへと突撃し、追撃する。
耐久力の低いドクロッグだ、これらの攻撃だけでもかなり体力が削られただろう。
「もう一押しだ。アバゴーラ、ストーンエッジ!」
アバゴーラは周囲に鋭く尖った岩を無数に浮かべ、それらを吹っ飛ぶドクロッグ目掛けて一斉に発射する。
「たかだか二発攻撃を入れた程度で、調子に乗るものじゃないですよ! ドクロッグ、不意打ちです!」
ドクロッグも吹っ飛ばされながらなんとか態勢を整え、地に足を着ける超高速でアバゴーラの背後に回り込み、ストーンエッジを回避。そのまま鋭い爪を突き込んだ。
「雷パンチ!」
続けて電撃を纏う拳も叩き込む。防御が高く、ハードロックの特性も併せ持つアバゴーラだが、これだけ攻撃を打ち込めばそろそろ限界が来るはずだ。
「くぅ、アバゴーラ、地震!」
「同じ手は喰らいません! ドクロッグ、回避です!」
アバゴーラは素早く地面にヒレを叩き付けるが、今回繰り出したのは大技のクロスチョップではなく雷パンチ。すぐさま襲ってくる衝撃波にも素早く対応し、ドクロッグは跳躍して衝撃波を回避した。
「ダストシュート!」
そして空中からゴミの塊をアバゴーラに投げつける。
アバゴーラにとっては運の悪いことに、ダストシュートの直撃を受け、アバゴーラは毒状態になってしまった。
「くっ、アバゴーラ!」
ただでさえ残り体力が少ない時に毒のダメージまで受ければ、アバゴーラももうもたない。そしてゲーチスは、そこを狙ってくる。
「そろそろアバゴーラの体力も尽きる頃。決めましょう、ドクロッグ。雷パンチ!」
拳に電撃を纏わせ、ドクロッグは一直線にアバゴーラへと駆けだす。
「アバゴーラ、アクアジェット!」
アバゴーラは雷パンチが届く前に水流を纏い、決死の覚悟でドクロッグに突っ込む。
その覚悟が功を奏したのか、アバゴーラの一撃はドクロッグにヒットし、ドクロッグを吹っ飛ばした。そして今度は、アバゴーラがドクロッグにとどめを刺すべく、ヒレを振り上げる。
「地震!」
振り上げたヒレは、そのまま勢いよく振り下ろされ——
「この技を忘れてもらっては困りますねぇ。不意討ちです」
刹那、ドクロッグはアバゴーラの真後ろに接近していた。
「っ!? アバゴーラ!」
今まさに攻撃しようとした瞬間に横槍を入れられ、アバゴーラの攻撃は失敗してしまう。
「ドクロッグ、クロスチョップ!」
そしてドクロッグは交差した手刀をアバゴーラの甲羅に叩き付け、遂にアバゴーラは戦闘不能となった。
「オニゴーリ、地震!」
「デンリュウ、パワージェム!」
イリゼのオニゴーリが地震を引き起こし、デンリュウは煌めく宝石を発射する。
どちらもホワイトキュレムに直撃したが、ホワイトキュレムは身じろき一つしない。
「くっそ、やっぱりマジもんの伝説は洒落になんねぇなぁ。こんだけぶち込んでもまだ耐えるか。オニゴーリ、もういっぺん地震だ!」
「というか、本当に力ずくで攻撃すればキュレムとレシラムは——っつ、デンリュウ、コットンガード! ——キュレムとレシラムは分離するの?」
ゲーチスからの指示はなくなったものの、ホワイトキュレムはイリスたちを敵とみなしたのか、自律して攻撃を仕掛けてくる。その攻撃を捌きつつこちらも攻撃していくが、キュレムとレシラムが離れる様子はまるで見られない。
「知るかよ。だが、どっちにしろチャンスがあるとしたら分離した時だ。あの状態のキュレムを捕獲するのは、流石に無理がある」
「それはそうかもしれないけど……デンリュウ、気合球!」
デンリュウは気合を凝縮した球体を放ち、ホワイトキュレムに直撃させる。効果抜群で、普通のポケモンなら大ダメージになるところだが、
「やっぱりダメか。こうなったら、やっぱり全ポケモンで一斉攻撃しかないのかな」
「それでも怪しい気はするが、やるっきゃねぇか」
と言う間にも、ホワイトキュレムは龍の力を込めた波動を撃ち出し、攻撃してくる。その出力が尋常ではなく、レシラムが放つ龍の波動の比ではない。地面は抉れ、衝撃波だけで周囲の木々は砕け散る。指示がないからか、こちらの攻撃を避ける気配はないが、それでも相当な脅威であることに変わりはない。
「ちっ、おいイリス! やるなら早くした方がよさそうだぜ」
「そうだね……!」
真実の英雄を軸とした、ホワイトキュレム捕獲作戦。こちらも、長い戦いになりそうである。