二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 568章 砲火 ( No.836 )
- 日時: 2013/04/01 00:23
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: H6B.1Ttr)
- 参照: http://www40.atwiki.jp/altair0/pages/308.html
「よくやってくれたよ、アバゴーラ。戻って休んでくれ」
Nは戦闘不能となったアバゴーラをボールに戻し、三番目のポケモンが入ったボールを取り出す。
「相手はドクロッグ、次は君に任せるよ。僕に力を貸してくれ、アーケオス!」
Nの三番手は、最古鳥ポケモン、アーケオス。
アバゴーラ同様、分類通りの始祖鳥のような姿をしている。腕は翼と一体化し、後脚の付け根にも翼がある。また頭頂部から首の後ろに賭けては緑、首元と足、尻尾は赤、体や腕は黄、羽や尻尾の先端は青と、非常にカラーリングにも富んでいる。
「一気に決める! アーケオス、アクロバット!」
アーケオスはダッと駆け出し、瞬く間にドクロッグに接近。そのまま鋭い爪を振りかざす。
「ふん、ドクロッグ、不意打ちです!」
だが如何にアーケオスが速くとも、不意打ちには敵わない。ドクロッグも一瞬のうちにアーケオスの背後を取り、真っ赤な爪を突き出すが、
「ドラゴンクロー!」
ガキィ! と鋭いものがぶつかり合う音が響き渡る。見れば、ドクロッグの突き出した爪は、アーケオスが振り向き様に振るった爪によって防がれていた。
「不意討ちは必ず背後から攻撃する。相手の攻撃に対して確実に先制できるのは強いけど、その分攻撃パターンも読みやすい。アバゴーラじゃ鈍くて対応できなかったけど、アーケオスならそれも可能だ。さあアーケオス、アバゴーラの仇だ。アクロバット!」
アーケオスは爪でドクロッグを押し飛ばすと、そのまま超高速でドクロッグに突っ込み、吹っ飛ばす。
「ドクロッグ!」
効果抜群の直撃を受け、ドクロッグはあえなく戦闘不能となった。
「……まあ、アバゴーラを倒しただけで良いとしますか。戻りなさい、ドクロッグ」
ゲーチスは怒りの感情を抑え、ドクロッグをボールに戻す。
「生憎、ワタクシの手持ちにはそのアーケオスを超えるスピードのポケモンはいません。なので、ここはそのアーケオスとは逆のベクトルで攻めるとしましょう」
言ってゲーチスは次のボールを取り出し、放り投げる。
「シビルドン! 飢える民に餓死の害悪を!」
ゲーチスの三番手は、電気魚ポケモン、シビルドン。
腕の生えたヤツメウナギのようなポケモンで、尻ヒレが足のようになっている。円形の口は吸盤状になっており、内側には鋭い牙が並ぶ。
「シビルドンか。特性は浮遊だから、地震が通らない……」
勿論ゲーチスの狙いは地震云々ではなく、飛行技半減と電気技で弱点を突くことだろう。
「シビルドン、ギガスパーク!」
シビルドンは巨大な電撃の球体を生成すると、それをアーケオス目掛けて発射する。
「アーケオス、かわすんだ! アクロバット!」
アーケオスは地面を蹴り、滑空するように飛行してギガスパークをかわし、そのままシビルドンに体当たりする。
「ドラゴンクロー!」
さらに龍の力を込めた爪でシビルドンを引き裂き、追撃する。
「瓦割り!」
「アクロバットだ!」
シビルドンは拳を突き出すが、俊敏な動きで駆け回るアーケオスを捉えることは出来ず、今度は逆方向から攻撃される。
「もう一度アクロバット!」
跳躍するように飛んだアーケオスは、続いてシビルドンの脳天に尻尾を叩き込む。効果はいまひとつだが、何度も攻撃していればダメージも蓄積する。シビルドンが相手なら、アーケオスは手数で勝負するのが最も効率的だ。
「アクロバットがあなたの専売特許だと思ったら大間違いですよ。シビルドン、アクロバットです!」
アーケオスが地に足を着けた瞬間、シビルドンは意外な敏捷性で跳躍し、頭上からアーケオスに殴り掛かる。だが、
「アクロバットだ!」
アクロバットがアーケオスの専売特許でなくとも、アクロバットのスピードは圧倒的にアーケオスの方が上。アーケオスはシビルドンの拳を回避すると、またしてもシビルドンの脳天に尻尾を叩き込む。
「ぬぅ、シビルドン、ギガスパーク!」
シビルドンは電撃を圧縮した球体を至近距離から放つが、その時には既にアーケオスは大きく飛び退いており、電撃は当たらない。
「ちょこまかと! ドラゴンダイブです!」
シビルドンは龍の力を纏い、アーケオス目掛けて突っ込むが、アーケオスにはまたしても跳躍して回避される。
「ならば今度は上からです! シビルドン、ドラゴンダイブ!」
シビルドンは飛び上がり、龍の力を纏って落下するようにアーケオスへと突撃するが、
「アクロバット!」
ドラゴンダイブはかわされ、シビルドンは背後からアーケオスのアクロバットを喰らう。さらに、
「ドラゴンクローだ!」
続けて繰り出された龍の力を込めた爪に切り裂かれ、シビルドンはかなり体力を削られた。実質的に弱点のないシビルドンだが、耐久力自体は並み。そろそろ限界が来た頃だろう。
「シビルドン、ギガスパーク!」
「アーケオス、アクロバット!」
シビルドンが発射する電撃の砲弾を、アーケオスは俊敏な動きで回避。そのままシビルドンに接近し、鋭い爪で切り裂く。
「続けてドラゴンクロー!」
さらに龍の力を込めた爪も振るって追撃。
「瓦割り!」
そこにシビルドンは拳を突き出すが、アーケオスはすぐさま後ろに飛び、拳をかわす。
「そろそろかな……決めるよ、アーケオス!」
そんなNの声を聞き、アーケオスは空高く飛翔する。
そして、
「アーケオス、諸刃の頭突き!」
アーケオスは凄まじい勢いでシビルドン目掛けて急降下する。自身が傷つくことも厭わず、一直線にシビルドンへと突撃していった。
「ぐっ……シビルドン、迎え撃ちなさい! ギガスパーク!」
ゲーチスは慌てて指示を出すが、もう遅い。
アーケオスの捨て身の特攻はシビルドンへと直撃し、氷の木々を粉砕しながら吹っ飛ばす。
「シビルドン!」
四方八方からの攻撃で削られたところに、高威力な諸刃の頭突きの直撃を喰らい、シビルドンは戦闘不能となった。
「……戻りなさい、シビルドン」
ゲーチスは静かにシビルドンをボールに戻す。しかし、彼が浮かべているのは、怒りの形相であった。
「デンリュウ、雷! メタゲラス、メタルブラスト! ディザソル、辻斬り!」
デンリュウ、メタゲラス、ディザソルはそれぞれを代表するとも言える技を繰り出し、ホワイトキュレムを攻撃するが、それでもホワイトキュレムの攻撃は止まらない。
ホワイトキュレムは頭上に紅色に燃える火球を生成し、容赦なくそれを放ってくる。
「クロスフレイム……!」
疑っていたわけではないが、ホワイトキュレムがレシラムの専用技であるはずのクロスフレイムを使用したことで、ホワイトキュレムがレシラムの力を吸収していることが確定した。
デンリュウとディザソルはすぐにその場から飛び退いたが、鈍重なメタゲラスは逃げ遅れ、クロスフレイムの直撃を受けてしまう。
「メタゲラス!」
途轍もない破壊力を持つホワイトキュレムが放つ技、それも効果抜群の一撃を喰らい、メタゲラスは一発で戦闘不能となってしまった。
「くっ、戻ってくれ、メタゲラス……」
ただでさえ少ない戦力が、これで一体いなくなってしまった。だが、まだイリスには戦えるポケモンが残っている。
「ウォーグル、ブレイブバード! デスカーン、シャドーボール! デンチュラ、十万ボルト! チラチーノ、スイープビンタ!」
とにかくそれぞれのポケモンが持てる技を片っ端から繰り出し、ホワイトキュレムを攻撃する。相手が強力な一体であるのなら、手数で攻めるしかない……とはいえ、ホワイトキュレムからしたら雑兵が群がっているようなものだろう。
「火力で勝負してるはずなのに、やっぱ持久戦になりそうだな……デスカーン、鬼火だ!」
デスカーンは青白く燃える不気味な火の玉を浮かべ、ホワイトキュレムへと放つ。鬼火の相手は特殊技が中心なので攻撃力の低下は無意味だが、持続ダメージで少しでも体力を削りたい。
そう思っていたのだが、ホワイトキュレムは龍の波動を放ち、迫り来る鬼火を消し飛ばしてしまう。さらに直後、地面から連続して土砂を噴き出す。
「大地の力……当たったら一撃で体力のほとんどを持ってかれるな。みんな、耐えようとは思わないで、相手の攻撃の回避を優先して!」
手数で攻める以上は、こちらに戦力があることが前提だ。となると、こちらは生き残ることが重要となる。
「ウォーグル、恩返し! デンチュラ、虫のさざめき!」
ウォーグルはホワイトキュレムに果敢に接近すると、翼を打ち付け、すぐさま退避。デンチュラも離れた位置から虫がさざめくような音波を発して、ホワイトキュレムの体力を徐々に削っていく。
ホワイトキュレムはイリスだけでなく、他の方向から攻めているイリゼやロキ、その他の者からの攻撃にも対処しなければならない。なので、イリスはとにかく攻める。
「デスカーン、サイコキネシス! チラチーノ、ロックブラスト!」
デスカーンは強力な念動力を念波に変えて放ち、チラチーノはいくつもの岩石を連射する。
「デンリュウ、気合球! ディザソル、氷柱落とし!」
デンリュウは気合を込めた球体を投げつけ、ディザソルは虚空から無数の氷柱を落下させる。
他にも皆から集中砲火されているにも関わらず、ホワイトキュレムは動じない。
そして、刹那——ホワイトキュレムは冷気を集め、大量の熱気を放出する。