二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ヘタリア】S e a r c h_.... ( No.221 )
日時: 2011/10/16 22:41
名前: レディグレイ (ID: Rxx2J2WJ)

・短編


*いつかの夏と謎の入り口


『向こうのアントーニョ兄ちゃん』は、俺たちのこと、国名で呼ばないよね・・・?

向こうの、アントーニョ兄ちゃん・・・・?


頭の中で、その言葉がぐるぐる回る。

どういう意味だ、と、考えて、考えて。
けれど答えは出ないまま。

いや、出さないまま。



「ねぇ、本当に貴方はこれでいいの?」

こいつは言った。

「ねぇ、本当に貴方は〝この時間(とき)〟にずっといるの?」

怖いくらい真剣な目つきで。

「ねぇ、本当に貴方はこの偽りの、ループ世界で、————







































     ————同じ時間を繰り返しながら、生きてゆくの?」


そしてまた沈黙。



俺の全脳内が、その言葉の意味の理解を、拒否していた。


この時間(とき)、偽り、繰り返し、ループ世界。

ありきたりな小説の、ありきたりなキーワードの完成だ。



「ふ・・、はは・・、これってたちの悪ぃ夢か?なぁ、おい、・・」

たらり、と冷や汗が頬を伝う。
こんなに暑い日なのに、俺の体は死んだように冷えていた。

「ううん。夢じゃないよ。これは現実。前の貴方も、その前の貴方も、その前の前の貴方も、・・・それからずっと前の貴方も、同じ質問をしたよ」

もう、わけがわからねぇ・・・・。

「俺は・・、どうなるんだ・・?」

小さな声で、問う。

「貴方はこの世界の者ではない。果てしないループの末に、朽ちてなくなる。この世界の者ではないなら、此処の理(コトワリ)を壊すだけだから」

その証拠に、ほら。

とこいつは指をさす。
人差し指の先には、俺のすぐ後ろの、地面にできた水たまり。



その中に、位置的には写っててもいいはずのものが、なかった。



「————っ、ない・・・。俺の姿が、写ってない・・」

・・・一瞬、朝の、公園の、違和感をふっと思い浮かべる・・・

一歩下がって、水たまりの視界からはずれ、そして地面を見る。


「・・・!!」

「影も、ないでしょ?」

「ど、して・・」

こいつの方を見ると、ちゃんと影があるのに。


「朽ちかけってところかな。今のままじゃ、貴方はなくなっちゃうよ?でも、時間がもうないみたい。」

俺の視界が、歪みはじめた。
くらくらする。


ごめんね、とそいつが呟いた。



そして、そいつは歌うように、言葉を紡いだ。




〝ハヤクシナイト、モドレナクナル〟—————



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いやぁ、久しぶりに書きましたこのシリーズw
今回のはちょっと長くなってしまいましたね。まだ続きますので、みんな忘れないで!←