二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ヘタリア】S e a r c h_.... ( No.222 )
日時: 2011/10/22 20:08
名前: レディグレイ (ID: J69v0mbP)

・短編


*いつかの夏と謎の入り口




「いやな想像はしたくないが・・・・・」

少し怯えたような、低いトーンの声が響く。

「これだけ探してもいないあいつは、もう、すでに、帰っては・・・」
「嘘」

ピタリとその声を遮断する別の声が混じる。

「そんな話、聞きたくないっ・・・」
「フェリシアーノ・・・。もう、お前の兄は、」

「生きてるよっ!!!!」

叫び声。

綺麗な、ガラス玉のような瞳が光る。

「どうして・・っ、どうしてルートも、菊も、ローデリヒさんもエリザベータさんもギルも!!なんでっ・・みんな、兄ちゃんを死んだように言うの・・?!」

目の奥から奥から、じわじわとあたたかいものが流れ出す。

しだいには、ボロボロと大粒の雨になって、その国中の空を曇らせた。



涙。



「———さないで・・・。兄ちゃんを殺さないで!!」







雨は降り続けた。

ある、夏の日から。


一年、二年———・・・十年、百年、———・・・・千年、・・・・・・・・・・・・・・・



ずっと、ずっと降り続けた。


十世紀もたてば、涙は枯れ、でも、それでも“弟”は、待ち続けるのだ。

あの綺麗だった瞳も、今は薄汚れたガラス玉のようで。




『〝国〟と言う存在は、必ずしも絶対とは限らない。』

そう、言われてきたけれども。








「大丈夫や。ロヴィーは絶対帰ってくる」

もう何世紀前になるだろう、
ぽつりとその人は言った。

「アントーニョ兄ちゃん・・・。」

辛いのは、この人も同じだ。
泣きたいのを我慢して、いつでもその強い背中を、兄ちゃんにも見せてきたのかな、と“弟”は思う。


でも、でもやっぱり、感情に負けて泣いてしまう自分がそこにいた。








————泣くのは、卑怯ですか————?





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今回は現実世界のフェリちゃんSIDE。