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・短編


＊いつかの夏と謎の入り口


暑い。走って、走って、それはもう全速力で走ったから、汗が止まらない。
夏ということもあるけれどね。

「フランス兄ちゃんっ！」


何故か俺だけがすぐに、向こうの兄がやって来てからのこの世界の異変に気付いた。

繰り返しと言う名の鎖。

その鎖の一番初めに戻るとき、前の記憶も、その前の記憶も、ずっと前の記憶も残っているのだ。
俺だけ。

菊やルートにも相談した。
だけど、なかなか信じてもらえるものではない。

信じてもらえたとしても、ループがはじまればまた忘れてしまう。
らちが明かないのだ


だから、そういうのに詳しそうな人に相談することにした。（ちょっと怖いけど）



「ん？ああ、イタリアじゃないか。どうしたのさ、そんなにいそいで」
汗だくよ？

時間制限があるからね。なんて言えない。

「ちょっと、ね。ねぇ、アーサー・・・イギリスってどこにいるか知らない？」

「ああ、イギリス？その様子だと、ロンドンにはいなかったみたいだね。んー、となると・・・」

ポケットから地図を出して、この辺にいるんじゃない？そういって、指をさした。

「ヴェ？ここって・・・。」
「まぁ詳しくは行ってみればわかるよ。小さな道があるからな」


「ありがと！フランス兄ちゃん。」
「でも、どうしてイギリスなんか？」

「ちょっと、ね。」
先ほどと同じ返答をする。

「なになに、イギリスじゃないと言えないことがあるのか？」
「うー・・・ん。そう、だね」


じゃあ、急ぐから。



俺はまた、走った。









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フェリちゃんＳＩＤＥ多くなります。