二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ヘタリア】S e a r c h_イラリク受付中! ( No.401 )
- 日時: 2012/02/24 22:50
- 名前: レディグレイ (ID: qBHvelZ4)
*新年あけまして、大ピンチ。13
「うぁあ゛っ!!」
今まで感じたことのない激痛に声を上げる。
一瞬だけ何が起きたのかわからなかったが、すぐに理解した。
殺人犯の持っていた槍で思い切り腕を突かれたのだ。
どさり。
そのまま崩れるように倒れた。
生暖かい血が大量に流れ出る。
痛すぎてなのだろうか、突かれた時の激痛なんてもう感じなかった。
感覚がマヒしている。———というか、最初ここで目を覚ました時から麻痺はしていたか。
「お、おい!!カリエド!!!」
眉毛の野郎が何かを叫んでいる。
その声ではっとし、何とか意識は保っているが起き上がるのはまだ無理だ。体が言うことを聞いてくれない。
動くことのできないまま音だけが耳から入ってくる。
ああそれと、殺人犯の考えていることが今ならわかる。
(俺を殺す気やんな・・・)
目の前にいるであろう殺人犯が槍を構えているのがなんとなくわかった。先端に付着した血がぽたぽたとこぼれていたから。
もう、ここで終わりか。
どんなにあがこうとしても体が動かないならばこの状況は回避できない。
こんなことならもっとトマトを食べておけばよかった。
なんて、今考えてもしょうがない。
シュッ
風を切る音がその瞬間まで聞こえていた。
やがて聞きたくもない鈍い音とともに目をつむった。
「っ」
*
「見つけた」
カノンは一人で呟いた。
目の前には何とも言えない不気味な雰囲気が漂う家が建っていた。
————いそがなければ
ためらうこともなくその家に侵入する。
「うえぇぇ・・・何このにおいっ」
念のため言っておくけど吐いていないからね。
一歩入った瞬間、変な臭いがカノンを襲うが足を止めている暇はない。
手当たり次第家のドアを開けていく。
————いそがなければ
*
「うはー・・・カノンちゃん足速ッ」
「はぁ、はぁ。俺様疲れたぜー・・・」
息を切らす二人はなんとかカノンを追いかけてきた様子。
*
シュッ
「っ」
その鈍い音は鋭く自分を貫いた。
腹部に刺さったそれは抜ける気配を見せない。
じんわりと血が滲み出て、痛みという感覚が腹を中心にずきずき広がる。
でも、それでも。
「————殺らせない」
そして私は、そこに立っていた。体が勝手に動いた。動かなかったはずなのに。
叫んでいた。
叫んでいた。
躯が、叫んでいた。
この人は死なせてはいけないと。
この人だけは、死なせてはいけないと。
*
『彼女』の眼がギロリと光る。
一歩進み出れば、目の前の奴は悲鳴を上げ。
もう一歩進み出れば、目の前の奴は『彼女』を化物と叫んだ。
腹部に刺さったままだったそれを勢いよく抜く『彼女』。大量の血しぶきが上がる。
自分の血がべっとりついた槍を目の前の奴に向ける。
もう、自分では止められない。
碧を失った蒼色のその眼に映るのはいったい何なのか。
目の前の奴の首を片方の手で握りしめ、持ち上げる。
苦しそうにあがいているそれを目にしても『彼女』は表情一つ、変えなかった。
かわりに、『彼女』の凍りついた蒼の目が光る。
槍を持っているもう片方の手が狙うのはすでに青白くなりつつあるそいつの顔。
もはやなんのためらいもなく、槍を顔面に振り下ろす———————
「待ちなさい————————っっ」
あと、寸でのところだった。
あともうすこしで、そいつの眼球を貫くところだった。
『彼女』が顔を上げてそちらを向いた。