二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ヘタリア】S e a r c h_____________ ( No.406 )
- 日時: 2012/03/11 11:34
- 名前: レディグレイ (ID: SpLhUj83)
*新年あけまして、大ピンチ。16
「元はと言えば眉毛のせいやで!」
「なんでそーなるんだよ!!」
*
「————ふぁ・・・」
目を覚ますと真情カノンが私の顔をのぞいていた。
「やぁおはよう?」
「・・・何故疑問形だし・・・」
まだ意識がはっきりしていないがそこはちゃんとツッコんだ。
「今は朝の4時だからね。まだ外暗いの。」
へえ。
「ところで。ここはどこ?」
「クロムの部屋だけど?」
「なんで私はここにいるんだ?」
「頭大丈夫?」
「・・・・いや、大丈夫じゃないかも。確か、さっきまで殺人犯の家に・・・・・・そっからわかんない」
「まぁ忘れたんならそれでもいいけどさ」
ふぅ、と真情が一息ついた。
「とりあえずクロムは誘拐犯?殺人犯に拉致られていました。」
「うん」
「で、いろいろあって今の状況に至ります」
「いや、わかんないから。というかなんで真情がここにいる?ここって男子寮だろ。」
「あー。大丈夫大丈夫、ちゃんと許可とってあるから。せいとかいちょーさまに」
「生徒会長様・・・て、会長さん?———あ、そうだ、トーニョや会長さんは・・・私と一緒に拉致られてて・・・怪我とか、怪我とか、骨折とか・・」
「クロムちゃーん?私を誰だと思ってるの?二人とも大きな怪我は治しておいたよ。まぁ、小っちゃいのとか全部全部完全に治しちゃうと、ね。めんどうなことになるから」
ああなるほど。
真情の言いたいことは大体理解できた。
「・・・ところで。ねぇクロム、頭痛いのは治った?」
「・・・へ?」
突然とんなことを聞く真情にきょとんとする。
「なんのこと?」
そのきょとんとした表情のまま尋ねれば真情は少しだけ口を開けて目を見開いた。
それから避けるように目をそらす。
「——————・・・いや、なんでもないよ。変なこと聞いてごめんね」
何か言いたげな真情の口元を不思議に思いながら頭をひねる。
————ん?
「あの、真情————」
「あっ、私そろそろ行くね。実は寝てないからいますっごく眠い!」
遮られた。
この部屋から出ていくのかと思えばドアの前で立ち止まる。
「一つ言っておくけど、クロムの怪我も完全には治ってないよ。とくにお腹。二、三日は安静にしてること」
「あ・・ああ、はい」
ぱたん。
静かに部屋から出て行った。
*
「・・・盗み聞きなんて、いい趣味してるのね。み・な・さ・ん★」
黒かった。
語尾の星が目に見えるぐらい黒かった。
「「い、いや、これはその・・・」」
迫る黒い笑顔に言い訳はもうできない。
間。
「・・・で、どの辺から聞いてたの?」
「いや・・・、聞いてたというか聞こえてこなかったんです、はい」
目をそらしながら言うギルベルト。
因みにそこにはフランシス、アントーニョ、アーサーまでいた。
アーサーとアントーニョの怪我は真情のおかげでもあるがだいぶ良くなっていた。
「そ。聞こえてなかったならいいや」
それもそのはず。
真情はクロムの部屋に入った時に少しだけ細工を施したのだから。
盗聴されないように。
「・・・・と、ところでカノンちゃんはクロムちゃんと付き合ってたりするの?」
「ぷっ・・・」
フランシス、ずばり聞くね・・・。おもわず真情は吹いてしまった。
「何、なんで笑うんだよ!!」
「え。そんなに知りたいんですか?」
敬語にもどる。
「知りたい!」
「俺もや!」
「ふふwまぁ・・・私の大切な人の中には入ってるかな」
「それってどういう・・・」
「ご想像におまかせしますw」
意地悪く笑う。
「えー、なんやそれぇ」
「はい、この話は終わりー。ちょっと話題を変えるけど、いいかな」
「何?」
「あの、さ。あの誘拐犯の家、アーサーとアントーニョはどうやって見つけたの?」
「俺は、クロムちゃんの携帯を見ながら・・・・・・って!!」
アントーニョが何か思い出したようにハッとする。
「元はと言えば眉毛のせいやで!」
「なんでそーなるんだよ!!」
「ほら!これ見てみ!」
そういうとアントーニョは懐からクロムの携帯を出し、メール画面を見せた。
「あれ、それフランシスの携帯じゃねーか」
「お兄さんがあげたの。クロムちゃん、ケータイ持ってないっていうから」
「へえ」
「それよりはよ見ろや」
「『アーサー・カークラウンド』から・・・『Help.』あと地図か・・・ってこれお前からのメールじゃねえか」
けせせせ。
言われて、アーサーも画面を覗き込む。
それから、沈黙した。
「・・・・・・・・・・・・・・・・マジかよ。」
「ん?どれどれ〜?お兄さんにも見せて」
フランシスも覗く。
「あ、これ・・・・」
「ああ。」
アーサーとフランシスが顔を見合わせてアイコンタクトを取るように頷いた。
「俺、こんなメール送ってねえぞ」
「はあああ!?」
アントーニョがふざけんなとキレた(?)。
「ん〜、確かにそれの名前のところはアーサーってなってんだけど、お兄さんはアーサーからメールが来たときの名前は「坊ちゃん」にしてあるんだよね〜」
「つまり、他の誰かから来たメールっちゅーことか?」
「そういうことになるな・・・」
「はぁぁ・・・そか、そか・・。俺らな、これ見てあの家に行ったんや。」
「でもいったい誰から・・・・?」
また一つの謎が積もる。アーサー以外の何者かから送られてきたメール。
まるで起こることを予知していたかのような・・・・。
「・・・・ま、そのことは一旦おいといて。アーサー何故あの家を知ってたの?何故あの家にいたの?」
ここまで黙って聞いていたカノンが口をはさむ。
「あ、ああ・・。あそこ、な。元々はカークランド家の領地だったんだ。」
「「「え、マジ!?」」」
「それで?」
「んで、結構前・・・・100年くらい前だったか。にあそこを管理していたうちん家の奴が死んだらしく、それが原因不明で。それから次に管理人になった奴も同じように死んで、次の奴も次も次も・・・・って具合で・・・。」
息をのむ三人とは裏腹にカノンはごく自然な顔をしていた。
「呪われてるんじゃないか?っていう話になって誰も近づかなくなった。それからずっと忘れられてたんだが、最近になって取り壊そう計画が出た。・・・それの下見に俺が行かされたんだよ。」
「それであの家の構図知っとったんか」
ああ、と頷く。
「・・・・なるほど。ありがと、私眠いからもう帰るね」
「あっ、ちょっと!カノンちゃんはなんであそこがわかったの—————」
フランシスが言い終わる前にカノンは部屋から出て行った。
よけいなことは聞かれたくないのだろう。
(・・・・んー、んー・・・・。なるほどー。あのメールを送ったの、大体予想はつくんだけどねえ・・・。何の目的があったのやら・・・)
男子寮の廊下を一人歩きながらそんなことばかり考えていた。
*
「全く・・・。お姉ちゃんも意地悪だね。あのメール、お姉ちゃんでしょ」
「知っていたの?」
「当たり前」
きひひひひ。
くすくすくす。
紫の目の姉妹は笑った。