二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: LILIN ( No.4 )
- 日時: 2011/12/31 00:03
- 名前: そう言えばこしょうの味知らない (ID: TQ0p.V5X)
シンクロテストがひと段落ついた頃、またもやあのガラクタ発音器でコードiとコードgの2名は司令部に来いと言われた。……つい二、三日前新入ったばっかりなのだから自重してくれや。場所わかんないし。と思っていたら偶然にも同じく呼び出されたヘルナンデスが道を案内してくれた。
着いた場所は場所は……海賊船の甲板を大舵部分から眺めたようなように、奥に行くにつれ一段下がっていて、ついでに奥の方の配線やサーバー類、モニターが雑多に設けられているのが目に入る。のくせ、そのモニターはとてつもない量の情報をスクロール状に流し続けている。あの人見づらいかもな……つい職員に同情してしまう。しかし、なんといっても一番目を引くのは中央に作られた馬鹿デカい……バーチャルのような、実体がないが触れたら8割方感電死する赤枠のモニター。ハッキリ言って何の仕組みや、そもそも何のためのパーソナル巨大空間なのか不明だ。照明も普段は抑えられているのか少しくらい。その分、ここの不気味さも際立てられるというものだ。
「ようこそ。こちらが当館の作戦司令部。ターゲット捕捉時、米国の国家軍事的事情は全てこちらに移るように法案が改正された。一般には決して出回らない情報だから知らないのも無理はないか。言ってみれば、そーゆう怪しいところから世界的特務機関として扱われている訳が分かるだろう。ちなみにこの国にはもう一つ同じような機関がマンハッタンにもあるんだが指揮権としてはこちらよりは弱い」
左に居る司令、零時さんは挨拶も疎らに、そう言って頬を吊り上げた。
カルフォニア州にもNYすら抜ける部分はいくらでもあるってことさ、と言い放つ。ということはきっとここの広さも世界一なんじゃないかと思ったのかどうかは知らないけど、ヘルナンデスが感嘆する。
「やっぱり、でっけーなぁここは!」
「そうだろうそうだろう」
「核シェルターみてぇだ。ホントあんた。意外に格がある人だ」「意外には余計だ」
零時さんの手刀がヘルの額を手首を使って、なんでやねんする。なんだそれ。
「大阪文化」
……オーサカ?
まぁ、いいや。
確かに核シェルターならアメリカの軍事なんぞ総なめしてしまうのはなんとなく分かる。
しかし、この施設の場所はカルフォニア州の観光地の一角なのだ。世界的にVIPなお役人を守ったところで本命の大統領が黒焦げになってしまうなら何の意味があるのだろうか?
「……軍事って。そんなヤバいところに就職したのか」
はっきり言って二人のはしゃぎっぷりにはついていけない。
発想や見解がついネガティブに触れてしまう。
そんな俺の落胆に寄り添うかのように俺を見ながら驫木さんは、そのまま話を進める。
「まぁ、ここは余りにも機密が多くてな、いくつか大統領にも明かされてない情報も保管されていたりする。最近ではそうだな……火星人」
「おぉすっげー!」
「そうだろ〜。君もそう思ってくれるかな? スグル」
いきなり話題を振られた。……どう答えりゃぁ良いんだよ。
「どうって、君の思う所を聞きたいに決まっているじゃないか」
「……なんか週刊ニートの日常とか思いっきり地球産なのもありそっすね、それ」
「ふふん。世界的にも内密にされていることから憧れの彼女の身体検査の結果すらあるという、もはや。ここは宝島だい」
そんなの二、三個あさったら先進国の飛行機にすら特攻されそーだな。
「そんなのが我々特務機関の生命線となるのだよ」
零時さんはさも詰まんなさそうに溜息した。
既にふれてもないが、あえて言わせて貰う。なぜ聞こえる?
「君は本当に現実的になってしまって」
「現実的も何もプライヴェ—トな内容じゃ?」
「そう、私たちは主にそのような仕事もしている」
俺の疑問符をそのまま踏みつけ、何にもなかったように淡々と彼の口は動く。
前に10歩ほど歩き出た後、デスクワークの職員に何かを指示し、それから俺たちに振り向く。
「本題に入ろう。今日君たちにここに来てもらったのは、うちの業務内容を知ってもらいたいからともう一つ。君たちの訓練が如何に重要か話したい。聞いてくれ」
瞬時に零時さんの表情が強張った。
「最初に。今から話すことはここでは誰でも知っている。もちろん機密だが、外の人間に他言無用というわけじゃない。言ったところで誰も信じないと思うからな。知っている人間はこのことはタブーにしている。知らない人間には是非とも幸せに居てもらいたいからさ。君たちもそうしてやってくれ」「な、何を?」
ヘルが恐る恐る聞く。俺もそれに頷いた。
「そもそも君たちが訓練すべき目標、およびその要因である正体。世間ではモンスターと呼ばれるに可笑しくない生命体。我々はそれらを“使徒”と呼んでいる。」
「使徒……?」
「今はそのサンプルや正体を見せられる資料はないんだが。奴らの目標は把握している。とっても簡単なことさ。人類をささっと滅亡させることだ。昔見ていたヒーローアニメーションに出で来る敵キャラと同じ願望を持っている」
簡単さ。そういった時の彼の顔は鋭さが消え、柔和になった。
「君たちはそのヒーローとして日夜、体、心を鍛える。敵を仇に枕を濡らせという事それが君たちの訓練意義に繋がる。私たちはそれを全力でバックアップする。戦闘においても然り」
「化け物。資料ねーって得体のしれない奴らなんだろ? どうやって戦えって? 機械仕掛けのロボットでもあるならまだしも」
「良い発想だ。大丈夫、そのための訓練さ、来てくれ。先ほど職員に申し出たらそのロボット擬きを見学させてくれるそうだ」
つづく