二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】真選組女中ですけど。【参照600超え…だと…!?】  ( No.151 )
日時: 2011/08/25 22:51
名前: いちか ◆iK/S6sZnHA (ID: H4NN94uP)


「…」

気が付けば、煙幕は消え去りカラクリたちが山積みになっていた。


44)弱みってのはぽろりと出ちゃうもんなんだよ。


「これ私も参戦した方がもっと早く終わってましたよ」
「何を根拠に言ってやがんだ」

何でしょうね。何かです。
煙草を吸い始める土方さんを避け、
ふと山積みにされたカラクリの上を見ると、沖田さんが座っていた。

…あっ、そうだ!

「沖田さーん! 焼きそば! 焼きそば買ってきましたよ!」
「何だちゃんと持ってたんですかィ」
「はい! 冷めちゃいましたけど!」
「持ってこい」

は?
ここって…そこ?
アンタそこどこだと思ってんだよカラクリ山の頂上じゃねェかよ。

「無理です」
「何で」
「私登れません」
「自力で登ってきやがれ」

いやあああ無理だよ! 無理だよ!
わたし無理だもん!

しかし、沖田さんが刀をちらつかせるもんだから登るしかないわけで。
焼きそば片手に恐る恐るカラクリの山を登っていく。

「こ、こええええええよォォォォ!!」

これ高い! 何十メートルあんだよ!


 - - -


ようやく頂上に辿りついた私は、
四つん這いでその場に留まる。

「はぁー……どうぞ、沖田さん」
「ん。つーかアンタ高いとこ苦手なんですかィ」
「え…あー…まァ」

すると、沖田さんが黒く笑ったような…気が……

「鈴。タイタニックごっこやりやしょう」
「…は?」

何言ってんのこの人。
タイタニックって言ったらアレだよ、船の先っちょで男の人と女の人が何かチャラチャーンて感じの……
アレ!!?

「嫌ですよ何言ってるんですかハゲますよ!」
「ハゲてろ。安心しなせェ、ちゃんと支えてやりまさァ」

沖田さんの安心しろは、注意しろに自動変換されるんですよ。
沖田さんは立ち上がり、四つん這いの私を無理矢理立たそうとする。

「ほら、立ちなせェ」
「いやァァァ止めてくださィィィィイ!!」
「屋根の上に登れた奴が何言ってんでィ」
「あれは下が見えなかったからまだ大丈夫だったんですよ!」

ぎゃあぎゃあと乱闘していると、
—つるん、と足が滑って。

「え」


……

ひ、ひ…


「いやァァァァァァァ!!!」


カラクリ山の頂上から勢いよく落下していった。

もうダメ! 今度こそ死ぬ!
ちくしょー焼きそばなんか買わなきゃよかった…!!!

てゆーか、死ぬ直前ってスローモーションみたくなるっていうの、本当だったんだね。
まだこうして色々思えてるし…………


うん、長くない?

明らかコレは長すぎる……


「あのー……鈴ちゃん?」


…ん?
何か下からゴリラっぽい声が……


「近藤さん」
「下りてもらっていい?」
「え? ……あッ」

生きてた! 生きてたよ自分!
そうか近藤さんが下に……

「さすがゴリラァァァ!!」
「え!? 何が!?」



***
—後日。


「どうやら失敗したようだな」

先日の祭りで、騒ぎを起こしたカラクリ職人が
指名手配された紙を見つめる男に話しかけた。

「思わぬ邪魔が入ってな。牙なんぞとうに無くしたと思っていたが、とんだ誤算だったぜ」

そいつが、おそらく銀時であろうことは予想できた。

「誰かを守るためなら人は誰でも牙をむこうというもの。
 守るものも何もないお前は、ただの獣だ高杉」
「獣で結構。俺は守るものなんざないし必要もない。全て壊すだけさ、獣の呻きが止むまでな」

そう言って背を向け、高杉は歩き出す。
その背中を少しだけ見つめていると、高杉の足が止まり振り向いた。

「そういやァ、その時の祭りで面白ェ奴を見つけたよ。
 牙を向いて歯向かおうとはしてこないが、決して仲間を裏切ろうとしない奴だ」
「……」
「年端もいかねェ小娘が大した度胸だったぜ」

軽く笑い、再度歩き出した高杉には目もくれなかった。
小娘……あの甚平娘のことか?
対面してしまったか…




( 小娘…次に会ったら斬る )