二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【銀魂】真選組女中ですけど。【江戸は台風模様】 ( No.264 )
- 日時: 2011/09/13 19:35
- 名前: いちか ◆iK/S6sZnHA (ID: H4NN94uP)
「皆さん、覚悟はいいですか?」
64)とりあえず迷ったら鍋。
一つのテーブルを、4人の人間が囲んでいた。
近藤勲、土方十四郎、沖田総悟、そして私楠木鈴である。
仕事などの都合で晩ご飯のタイミングを逃した私たちに与えられたのがこの鍋。
蓋の隙間からの何とも美味しそうな匂いが、4人の鼻をくすぐる。
「…おい、そろそろいいんじゃねェのか」
「ダメですよ、まだ肉に火が通ってません」
“肉”という単語に、皆ピクリと反応する。
「土方さん、食い意地張っちゃいけねェや」
「べ、別に張ってねーよ」
——肉に火が通っていないというのは、嘘だ。
蓋を開ければ、Belly(つまり豚バラ肉)の争奪戦になるだろう。
そんなこと私でも予想できる。
だから集中を途切れさせるため時間を稼ぐ口実として言ったのだが。
…一瞬でも集中が途切れることはなさそうな雰囲気だ。
こうなったら……真選組の人間として!!
「いざ、尋常にィイィィ!!」
私が蓋と開けたのとほぼ同時と言っていい程に、三方から箸が突っ込んできた。
- - -
「あっ! 沖田さん肉取りすぎじゃないですかそれ!」
「5枚なんて少ないもんだろィ」
「多いよ!」
容赦なく沖田さんはBelly(つまり豚バラ肉)を自分の小皿に取りまくる。
その手さばきは、さすが一番隊隊長だと思っ……てる場合じゃなくて!!
いつの間にか鍋の中のBelly(つまり豚バラ肉)は無くなっていた。
なんで? 30枚くらい入れたはずなのに…なんでこんなッ…!
見ると、真選組の主要人物3人組は一生懸命にBelly(つまりry)を頬張っていた。
近藤さんなんて、食べ物に餓えた野生のゴリラのようだった。
「おい鈴、肉追加しなせェ」
「ちくしょーBelly全部食いやがってお前ら! 私なんか一枚も」
「早く」
……ああ、私の意見は丸っきり無視なんですね。そうなんですね。
ふふふ…そうだわ、忘れてた。
此処は皆笑顔で楽しめる場所なんかじゃない。
なんたって戦場だものね。
“戦争”と書いて“肉の争奪戦”と読むものね。
「覚悟しやがれコノヤロー! 女の意地ってもんを見せてやりませう!!」
「来い鈴ちゃん! 俺かて局長としての意地を見せてやる!」
「じゃあ俺は副長」
「一番隊隊長」
土方さんからテンションがだだ下がっていっている気がする。
沖田さんなんか、どうでもいい、肉しか見えない感じだった。
まぁそんなこと今の私には関係ないけどね!!
私は一気に次の肉…Thigh(つまり鶏のもも肉)を鍋に投入する。
「ふぁッははは!! 豚肉同様、鶏肉もよく火を通さなくてはいけないから数分はThighに箸をつけられませんよ!」
これで少しは落ち着くであろう。
…そう甘く見過ぎていたことに後悔する。
「肉がお休みなら…鮭にいけばいい話だろィ!」
「ぬあッ! ビッグサーモンンンン!!」
しまった、鮭があったんだ…!
急いで鮭を確保するものの、サイズは中の下くらい。
でも、
「命懸けで取ったのって凄い美味しいですね…!」
「大袈裟なんだよてめェは。ほら、肉や魚だけじゃなくて野菜も食べろよ」
そう言って、さり気なく。本当にさり気なく。
私の小皿に無駄にでかい白菜やらを入れられた。
「ちょっ…土方おまッ! 野菜処理を人にやらせるなんて卑怯者!」
「これは仕事だ。副長命令だ」
「こんなことで副長命令とかしないで下さいな」
そうして、この戦争は終盤へと入っていく。