二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【銀魂】真選組女中ですけど。【100話突破/企画第二段的な】 ( No.390 )
- 日時: 2011/11/28 16:52
- 名前: いちか ◆iK/S6sZnHA (ID: rjNBQ1VC)
港に泊まる、一つの船。
(相変わらず他の船とは違うわね、)
そんなことを思いながら、その船に足を運ばせる。
101)最近変な夢を見る
船の甲板へと出ると、冷たい秋風が頬に当たる。
それと共に目に入ったのが——高杉。
「ただいま」
…声をかけても無反応。
いるの分かってるくせに。
しょうがないからこちらから近付き、隣でしゃがみ込む。
「どうだ、幕府の犬小屋は」
「…別に、ボロっちかっただけよ。あ、ごめんね、情報は何も分からなかったわ」
軽く溜め息をつくと、高杉は乾いた笑いを漏らした。
「ふん、まァいい。…銀時は見たか?」
銀時?
…あァ、あのもさもさ。
「まぁ、見たけど。…あれ、ホントに攘夷戦争に参加してたツラ? 何かふつーのオッサンじゃない」
死んだ魚みたいな目してさ。
…正直、高杉の目も時々どうかとは思うんだけれど。ほら、狂った獣みたいな。
——って、違う。
私が今高杉に言いたいのは、幕府の情報でも坂田銀時のことでも無い。
「…あの子が、」
「……」
それはアンタでもよく分かってるでしょ?
「鈴がこの世界にいるんだったら…幕府側にいるんだったら…! 何でもっと早く教えてくれなかったのよ!!」
(霞。…軽く幕府の犬小屋でも偵察してこい)
(はァ? …スパイしてこいってこと?)
(そういうこった)
(…別に暇だからいいけど、何で私が?)
(…行ってみりゃ分かるさ。)
「アンタずっと前から知ってたんでしょ? もっと…もっと早くに知ってたら。あの子と敵対しないで良かったはずなのに!」
いつの間にか船は出航していたらしい。
船は除々に宙へと浮かび、冷たい風に髪が靡く。
何の反応もしない高杉を、ただ睨み付けた。
すると高杉は、空を見つめたままポツリと呟く。
「じゃあ、てめーが妹側につきゃいい話じゃねーのか」
「…ふふ、鬼兵隊抜けました、そっち入れて下さいで通ると思う? 精々アンタ等の情報吐かされるだけよ」
そりゃ正答だな、と高杉は笑う。
…本当は分かってて言ったんだと思う。
私が鬼兵隊を抜けないの分かってて、そんなこと。
……改めて言ってあげようじゃない、高杉。
「私は鬼兵隊を抜けなんてしない。…別に私は、国がどうなろうと知ったこっちゃない。
どんな怪しい奴かも知れない私を拾ってくれた高杉。アンタのために鬼兵隊やってんの」
(——何よ、アンタ。)
落とし穴にはまって、変な世界に来て3日目くらい。
3日間飲まず食わずで裏路地で倒れこんでいる私を、アンタが見つけたのが始まり。
(ねぇ。ここ、何処なの? 何でアンタも皆も、着物なんか着てるの?)
(…うるせェ女だな。)
(うるさくもなるわよ。もう嫌、いきなり知らない世界に来た上、飢え死ぬなんて…!)
(飢え死ぬ? …てめェ、家も彼処もねーのか)
(だからさっきからッ…)
アンタが私の目を覗き込んだ時は訳が分からなかった。
(…何よ…)
(まだ獣はいない、か…。——だが、)
口の端で笑い、
(その目、気に入った。——仲間にしてやるよ。)
(…は…?)
「…用は恩返しがしたいだけ。だから抜けるなんてことは絶対ないよ」
そう言い切ってやり、横目に高杉を見る。
嬉しがってんのか馬鹿にしてんのか知らない、謎の微笑はご愛嬌ってもんね。
「国がどうなろうと知ったこっちゃない、ねェ……」
「……?」
(つまり俺は恩人ってわけだよな。…なのに呼び捨てっていかがなもんか)
(見た感じ同い年っぽいし。同い年に敬語って方がいかがなもんでしょ?)
(…武市にもタメ語だろ、てめェ)
(……総督がちっちゃいこと気にするもんじゃありません)