二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【銀魂】真選組女中ですけど。【100話突破/企画第二段的な】 ( No.391 )
- 日時: 2011/12/01 19:58
- 名前: いちか ◆iK/S6sZnHA (ID: rjNBQ1VC)
鈴の実の姉——楠木霞が鬼兵隊の一員だと発覚した翌日。
土方は前もって近藤にそのことを知らせ、一室に隊士を呼び集めた。
議題は勿論、楠木霞。
102)人間一人になりたい時だってある
「——鈴ちゃん、ここんとこ元気ないよな」
「しょうがねーよ、姉が鬼兵隊だったなんて…ショック以外の何物でもないだろ」
無表情で庭を掃く一人の女中を、隊士は遠くから胸がふたがれる思いで眺めた。
俺らもショックだよなぁ、なんて言ってられない程に鈴の顔は虚脱感で満ち溢れている。
一見仕事は普通にこなしているように見えるが、
落ち葉も何もない場所を一点的に掃いているのを見ると、やはり手についていない様子だ。
大丈夫?なんて気安く声をかけれるもんじゃないような気がした。
ここは本人が立ち直るまで、そっとしておいてあげた方が——
「おい、鈴コノヤロー」
「…はい?」
「いつまで不細工なツラしてやがんでィ、ほら行くぞ」
まさに神出鬼没。
隊士が一回瞬きをした次の瞬間、既に彼は鈴の手首を掴んでいた。
そのままグイグイと屯所の門まで引っ張っていく。
「え、ちょ…沖田さん? 何すっ…」
庭には箒が転がり、集められた落ち葉も風に舞っていた。
***
「…何処に行くんですか。沖田さんのサボりに付き合うつもりはないんですけど。仕事しなさいよ」
「生憎、これが仕事なんでさァ」
は…? と私は首を傾げる。
なに、サボることが仕事っていうことですか? …沖田さんらしいや。
庭掃除をしている最中、いきなり外に連れ出された私。
軽く抵抗し、手首を掴む手は離してもらえたが。
付いてこねーと斬るぞ的な目で睨まれ、しぶしぶ後ろを付いていく。
「近藤さんから直々に頼まれたんじゃあ断れねーもンでねィ」
「近藤さんが? …何と?」
「“気晴らしに何処か遊びに連れてってあげろ”、って」
……へぇ、近藤さんが…。
気にかけてくれてたんだ。…嬉しいな。
「…まったく、近藤さんは優しすぎるんですよ」
「…」
「私なんて、放っておきゃいーのに」
勝手に落ち込ませときゃいいんだよ。
そしたらいつの日か、ケロリとして皆に迷惑かけまくるのに。
…ま、ここは、
俯かせていた顔を上げて、軽く笑う。
「お言葉に甘えて。付き合ってもらいますよ、沖田さん」
「ふん、面倒臭ェ」