二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【銀魂】真選組女中ですけど。【100話突破】 ( No.415 )
- 日時: 2011/12/12 21:50
- 名前: いちか ◆iK/S6sZnHA (ID: rjNBQ1VC)
爆撃によってぐらぐら揺れる船体。
こけそうになりながらも、必死に駆ける私と新八くん。
「新八くんは、何の用で此処に?」
「神楽ちゃんがここにいるんです、多分。…鈴さんは?」
「私は…ケリをつけに」
新八くんやエリザベス先輩、神楽ちゃんが何故此処にいるのか解らない。
けれど考えようとはしなかった。
私の意識は、もっと別の方に向いていたから。
106)芽は早めに摘むべし。
予想以上に船内は広かった。
新八くんは神楽ちゃん、私は姉を探し色んな部屋を開けては確認していくが、こうも広ければ神経がついていかない。
——そんな時、廊下で偶然出会わせた女。
「——鈴?」
「お…お姉ちゃん…?」
二つに結っていた髪は解き風に晒し、
淡い水色の着物ではなく、
サラシが見えるほど胸元が大きく開いている、蒼い着物を身に纏っていた。
(腰に差した刀が、改めて彼女は鬼兵隊の一員なのだろうと思わせた。)
てか一瞬誰だか分からなかった…。
姉は新八くんを見やると、目元涼しく言う。
「坂田銀時の連れ、かしら。アンタの探してる子なら甲板と思うよ。
早く助けないと、死ぬかロリコンの餌食になるかのどちらかね」
…ロリコンの餌食、とは?
甲板へと続く道を指差す姉から、嘘は感じ取れなかった。
昔からお姉ちゃんは、嘘だけはつかないから。
新八くんもそれを察したのか、ぎこちなく頷くと急いで廊下を走って行く。
——爆発音は相変わらず続いているが、
何故か姉と二人きりの廊下は何も聞こえないように感じる。
「…何でアンタが此処にいるの」
「ちゃんと、けじめをつけたくて」
ふっ、と姉は笑う。
そして——ゆっくりと、刀を抜いた。
「こういうこと?」
「なっ…そんな、生死のけじめじゃなくて、そのっ…」
言い終わらぬうちに、姉は目に見えぬ速さで私に向かってきた。
「っ!!」
——ガッ!
刀が、私の頬をかすめ壁に突き刺さる。
こっ…こええええ!!
「あらら、避けられちゃった」
「こ、殺すなんて酷いなぁ、はは…」
「私はあくまで本気よ。その方が後々楽だもの」
それ、前にも言ってた気が——
「どういう、意味?」
「先にアンタを殺しておけば、心おきなく幕府を潰しにかかれるってこと」
そう口の端で笑い、壁に刺さった刀を引き抜く。
へ、へぇ…そう。
じゃあ私、マジで殺されるんだ。
私、殺されるために来たようなもんなんだ。
「それにしても、どっちの世界でも相変わらずなのね。
買い物帰りに鬼兵隊の船に乗り込む…その無謀さだけは褒めてあげるわ、鈴」
え。
……あ。
左手に、レジ袋。
そうだよ、私、土方さんと沖田さんにパシられ中なんじゃん。
「あは…」
私は、不自然に笑んだ。
( はやく帰って届けないと、怒られちゃう )
( だから死ぬわけにはいかないな。 )