二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】真選組女中ですけど。【アンケート】 ( No.455 )
日時: 2011/12/21 21:13
名前: いちか ◆iK/S6sZnHA (ID: rjNBQ1VC)




——夕方。
襖越しに聞こえた声に、私は目を覚ました。

「鈴さん、起きてるかしら」


114)鍋かおでんっていったら鍋がいい


スッと襖を開け、姿を現したのはお妙さんだった。
華のような笑みは、やはり江戸一番の美人さんなんだと思わせる。
お妙さんは盆を持ち部屋に足を踏み入れた。

「…なんですか? それ」
「お粥よ。夕食、まだ食べてないでしょう? 作ってきたの」

なんと親切な…!
私は体を起こし、盆の上に乗るお粥を見………

「……なんですか、これ」

なにこれ、おこげ?
それにしちゃあ随分焦げてるってか全部焦げて…
もう真っ黒じゃねーかお粥じゃねーよ。

「だからお粥だって言ってるじゃないの」

いや違うだろ、黒い物体じゃん。
なにこれ、可哀想な白米…

真っ黒な白米、むしろ黒米を凝視していると、
お妙さんがスプーンを手にとり、黒米をすくった。

「私が食べさせてあげる。ほら、あーん」
「や、いいです。自分で食べれ…ていうか今お腹いっぱいで…」
「食べたら意外と空いてるものよ、ほら早く」

………。
じりじりと近付いてくる、スプーンの上の黒米。
次第に無理矢理口を開けさせられ、ついに口の中へ進入した。
その瞬間、頭に電撃が走ったような感覚に襲われる。

「〜〜〜ッ!!」
「あら鈴さん、涙まで浮かべて…そんなに美味しかったの? 嬉しいわ」

逆だよ逆!!
ぐはっ、ヤバい、これはッ……
気合で飲み込め、鈴!!!



 ***





結局、最初の一口で夕飯を終えた。
お妙さんは納得いかぬ様子だったが、
お腹が空いたら食べます、と言うとしぶしぶ私の部屋を後にした。

……まぁ、そんなこんなで、
隊士さんらが食堂に揃って夕飯を食べている時刻。
私はもそもそと布団から出て、食堂に足を運んだ。
目的は、ただ一つ。

可哀想な白米以外の夕飯を食べること。




「あれ、鈴ちゃん。風邪は大丈夫なの?」
「…うーん、地味に悪化したかな、うん…」

食堂へ入ると、美味しそうな焼き魚や味噌汁を乗せた盆を持つザキさんがいた。
私を心配してくれているようだが、彼も何故かやつれている。

「俺も、明日くらいに熱が出そうだ…」
「お仕事ですか、お疲れ様です」
「…いや、そうじゃなくて」

……?
なんだろう。

「お妙さんに、チャイナさん。もう帰ったけど、あの二人が屯所で色々やらかしてね…処理が大変だったんだ」

…あぁ、そういえば、
時々変な叫び声とか、木が倒れたような音が聞こえた気がしなくもない。
(そしてザキさんの悲鳴が聞こえた気がしなくもない)

「副長も大分ストレスが溜まってるみたいだから、クビ確定じゃないかなぁ」

土方さんを見やると、ご飯中にも関わらず時節タバコをふかしている。
…うん、イライラしてるご様子。

「でも、局長が辞めさせないと思うんだよな」
「あー…そうですね。…そういえば近藤さんは?」

今日一日、近藤さんの姿を見ていない。
…何処に行ったんだろう?

ザキさんは苦笑を浮かべていた。