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江戸はクリスマス色に染まっていた。
団子屋のおっちゃんも、大江戸スーパーの可愛い店員さんも、
みんな軽くサンタさんやらトナカイやらになりきっている。


「だから、ね。
　真選組もクリスマス色に染まりましょう」


115)誕生日がクリスマスに近い人はクリスマスとセットで祝われる


何言ってんだ、こいつ。…みたいな目で、土方さんと沖田さんは私を見た。

「…まだ熱があるみたいだな、部屋に戻れ」
「いやいや、もう完全復帰しましたから。一日で治りましたから!　話逸らさんでくださいよ」

沖田さんの呪いに負けるか、なんて思ったら治ったよ。
いやー強かったなぁアレは。さすが沖田隊長。
あ、そうそう神楽ちゃんとお妙さんはというと、
翌日、クビにされる前に退職を願い出たらしい。
「掃除とか面倒臭いアル」「どうもゴリラ臭がするのよね」

…まぁそんなことよりっ、今は別のことを話したいのですよ。

「ずっっっと前から思ってたんですけど、真選組って怖いっていうか、ガラが悪いっていうか」
「たりめーだろ、何処に生ぬるい警察がいるよ」
「全体的に黒いんですよ、もう。真っ黒!」
「そらァ隊服が黒だからねィ」

町の人から嫌われる警察なんて、警察じゃないでしょ!
厳しく、顔がいいだけじゃ警察は勤まらないのだよ諸君!!
…というわけで、私は考えた。


「クリスマス限定でいいんです。屯所をキラキラさせたり、隊服をサンタ服にしませんか」
「……何馬鹿げたこと言ってんだてめーは。やっぱ熱あるんじゃねーか」
「な　い　で　す　よ　!!　ちゃんと考えたんですから、私。
　隊服に関しては、近藤さんや土方さん、沖田さんや原田さんなどの幹部の方々はサンタ服、
　ザキさん率いる平隊士さんたちはトナカイでどうでしょうかッ!　パトカーとかもソリにして」
「いや別に山崎が率いてるわけじゃないけど。つーかソリでパトロールってふざけてんのかオイ」

話にならん、なんとかしてくれ総悟。と土方さんは沖田さんに目をやった。
だが沖田さんの瞳はキラキラと輝いている（ように見える）。

「面白そうじゃないですか、やりやしょう土方さん。ソリでパトロールも一興ですぜ」
「何処が一興だよ。完全不審者じゃねーか」


…どうしても、土方さんはやりたくないご様子。
まぁそれは想定内でした。
だからね、私頭が良いので先にあることしてたんですよ。

口の端で笑った瞬間、土方さんの携帯が鳴る。
土方さんはディスプレイを見ると、眉間に皺を寄せた。


「とっつぁんが何の用だ…?　…もしもし、」

『おうトシ。鈴ちゃんから話は聞いたなァ?
　衣装はもうそろそろ届くはずだから、届いたら即行着ろよ』

「…は?　何言って…」

『しかし鈴ちゃんも面白いことを思い付くもんだ。オジさんこういうの大好きだから楽しくて仕方ねェよ。
　…とまァそういうわけだから、よろしく頼む』

「いや、ちょ、待ッ……」

…ぷつり、
電話が切れたらしい。

携帯を握りしめたまま、土方さんはしばらく俯き固まっていた。


「土方さん、とっつぁん何の用だったんですかィ?」
「………鈴、てめェ…」
「先手必勝なり」



真選組、クリスマスで印象アップ作戦始動（個人的にクリスマスを楽しみたいだけだけどね）。