二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【銀魂】真選組女中ですけど。【鈴誕】 ( No.538 )
- 日時: 2012/02/05 19:24
- 名前: いちか ◆iK/S6sZnHA (ID: rjNBQ1VC)
さっき沖田さんの話を聞いて、初めて知った。
土方さんとミツバさんは、互いに想い合う恋仲だったと。
いや、今もそうなのだろう。
ならば何故彼はこの場にいないのか、なんて馬鹿げた疑問はすぐに消えた。
想い人のために、いま彼は戦っているんだ。
134)辛いもの食べ過ぎると痔になるよ
治療室の扉が開く音がして、転寝をしていた私はハッと目を覚ます。
出てきた医者の表情からは悪い予感しか感じ取られなかった。
「ご家族の方ですか」
「いえ…」
「………中へ、どうぞ」
促されるように治療室へ足を踏み入れると、
呼吸器をつけたミツバさんと目が合った。
近くに歩み寄り、目線が合うように膝をつく。
「…ミツバさん…」
「…私…鈴さんにも、たくさん迷惑かけちゃったわね…」
「そんな、迷惑なんて一つもっ」
しきりに首を横に振った。
迷惑なんて、かけられてない。
「心配かけて、こんな時間までいさせちゃって…」
「私が勝手にしてることですから…」
「ありがとう。…じゃあ、そーちゃんの嘘に付き合ったことも?」
「え…?」
嘘?
嘘なんか、私…なにも……
…あぁ。
気付いてたんだ。
「恋人のフリ。…もしかして本当だったり?」
「まさか。付き合いきれませんよ、あんなドS」
ふふ、と互いに微笑み合う。
「冗談半分で聞いたら本当に連れて来たから、最初はビックリしたのよ」
「私も意味が分かりませんでしたよ」
「……ねぇ、鈴さん」
そっと、ミツバさんが私の手を握った。
「そーちゃんを、よろしくね」
この言葉の意味なんて、理解したくない。
「んなこと言われても、あんなドS…」
ぎゅっとミツバさんの手を握り返した。
はやくこの手を、握ってあげて。——沖田さん。
「姉上ッ!!」
バンッ、と扉の開く音と共に、沖田さんの声がした。
息を切らしながらミツバさんの元へ駆け寄る。
私はミツバさんの手を放し、そっと治療室を出た。
「土方さん」
ギィィ…と屋上の重い扉を開けば、夜空を背景に彼はいた。
松葉杖を脇に挟み、頭に包帯を巻いている。
切なげな背中に喋りかける。
「泣いてたりします?」
「ばっか、誰が」
「ですよねー」
嘘つけ。
声と肩、震えてんのバレバレだっつの。
(この人たちは嘘をつくのが大層下手だ、)
「あ、激カラせんべいだ。いっこ下さいよ」
「…」
無言で渡される袋を、顔を見ずに受け取った。
素直に泣けないなら、
辛いものに縋って泣いたっていいだろう。
(ぶふぉ、辛ッッ!!)
(馬鹿、きたねーな!!)