二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】真選組女中ですけど。【原作沿い】 ( No.556 )
日時: 2012/02/14 21:59
名前: いちか ◆iK/S6sZnHA (ID: rjNBQ1VC)



 バレンタインですね。


  __



2月14日は乙女の日。
…けど私には本命も糞もないので(一応土方さんたちには作ったよ!)、ぶらぶらと町を散歩中。
そしたら、

「あの…」

2、3人の女の子に、声をかけられる。

「真選組で働いてる方、ですよねっ…?」
「あ、えぇ、まぁ。そうですけど」

私が頷けば、女の子たちが揃って顔を赤くしながら差し出す、あるもの。

「こ…これっ…!」
「お、お願いします!」

綺麗にラッピングされた、手作りチョコ。
……え??



◆バレンタイン特別篇)チョコも食べ過ぎると気持ち悪いし鼻血出るよ




パッ(手を放す音)

ドサドサドサッ(チョコが机の上に落ちる音)


土方さんと沖田さんが休憩している部屋の木製テーブルの上に、
山積みになった色とりどりの包装がされたチョコレート。


「…なんだこれ」

土方さんが目を細め、立ったままの私を見上げる。

「なんだこれって、分かるでしょ。アンタら宛のバレンタインチョコレートですよ」
「あぁ…そういえばそんな季節だな」

イラッ☆

「はいデターッ、モテる人の言うこと! “そういえば…そんな季節だNA☆”きーっムカつく!」
「え、なに今の俺の真似? そうだとしたら叩っ斬るぞオイ」

刀に手をかける土方さんを無視して、沖田さんはからかうように言う。

「何でィ鈴、えらく不機嫌じゃねーか。嫉妬?」
「誰が。ンなのこれっぽっちもねーよ。
 町歩いてたら、女の子がやれ土方さんに渡してくれだァやれ沖田さんに渡してくれだァ。
 ……自分で渡せやコノヤロー!! こちとら宅配便じゃねーんだよォォォ!!」
「なるほどなるほど。配達ご苦労様でさァ」

そう興味なさげに煎餅をかじる沖田さんに、少しばかりの殺意が湧く。
チョコが重くて散歩どころじゃねーんだよド畜生!!!
仕舞いにゃ「二人のどっちかと付き合ってるとか…ないですよね?」とか聞いてくる女もいて。
……ねーよこんにゃろォォォつーかそんなの自分で確かめろ(彼女云々を)自分で渡せェェェェェ!!!(チョコを)


「…はぁ、もう何か全面的に疲れた」

ヘナヘナと座り込み、机に突っ伏す。
何なの? 真選組イケメントップ2と絡んでる私を憎んでたの? だからパシりのつもりでチョコを?
残念、私が真選組で一番仲良いのは原田さんなんだぜ。そんなシーン一つもないけどな。ははっ。


「しかし残酷ですよねィ、バレンタインってのも。
 勇気出して想い人にチョコ渡すイベントかと思いきや、ホワイトデーの見返りを期待する奴ばっかだったり」
「基本町の住人は俺等嫌ってると思いきや、この日にこぞってチョコなんざ押し付けやがる。まず美味いのかって」

…イラッ☆(二回目)

「何なんですかアンタ等ァ! モテるからって調子乗ってんじゃねーぞコラァァ!
 今日私にチョコを託した女の子たちは、みんな顔赤くしてたもん!
 美味いかどうかなんて、あんな可愛い子たちが作ったんだから美味いに決まってんだろ! 私が食べたいくらいだよ!」
「結局てめーはどっちにムカついてんだィ」
「そうか食いてーのか。毒見してくれんだな」

…は?
“毒見”??

私は目をパチクリさせる。

毒見ってどゆこと……


「こういうイベントに便乗して、浪士から毒の入ったチョコとか紛れてあったりするんでさァ」

山積みになったチョコレートを見つめながら、沖田さんはそう言った。

あぁ…そうか。
普段から攘夷浪士を取り締まっている彼等。
捕まった浪士の仲間に、恨まれないわけがない。
だから容易に手を出せないのか。
…そんなことも分からなかったなんて、馬鹿みたいだな、私。

……つーか、ん?
土方このっ…

「私に毒見させてホントに毒入ってたらどうするつもりだこんにゃろォォォ!」
「そん時はそん時だろ」
「てめェェェェ!! ……ま、チョコだけじゃないようですけどね」
「あ?」

チョコの山から引っ張り出した、大きめの紙袋。
それを土方さんに手渡す。
警戒しながらも中身を見た土方さんの瞳孔が、更に開いた。

「マヨネーズ……。これ、誰からだ」
「えっと、楠木鈴ちゃんですね!」
「…。ありがとねェェェェ!!」
「へぶゥゥ!!」

私だとバラした瞬間、リボン付きのマヨを頬に叩き込まれた。
何で!? 何で礼言いながら殴るの!? 意味わかんねーよ!
右頬をさすりながら、私から沖田さんへチョコを渡す(普通のチョコ。チョコペンでSって書いた)。
すると、そこにザキさんが通りかかった。

「あ、皆さんこんなところに。…ていうかそれ、二人宛ですか? 今年も凄いなぁ…」

山積みチョコを見据えるザキさんの顔が、若干切なげだったのはあえて触れないでおく。
てかその様子だと今だ一つも…いや、女中さんからの義理チョコしか貰っていないのだろう。

落ち込まないで、ザッキー!

「ザッキーにもありますよ、チョコ」

パッ、と取り出してみせた箱。
それを目にしたザッキーの顔は心なしか輝いていた。

「ほ、ほんとに!? それ、本物!? つかザッキーって何?」
「モノホンモノホン。ほら、じゃーん」

蓋を開け中身を見せる。
ザッキーは嬉しさのあまり涙目だ。

「うわぁ…これってじゃあ本命なんだよね! うそ、誰から!?」
「私から」
「……なんだ、鈴ちゃんか……はぁ…」
「何だよそのテンションの下がりよう!!」

誰も町の女の子から、なんて言ってないのに勝手に勘違いしたザッキーが悪いだろ。

「もっと嬉しがってくださいよ、せっかくの同情チョコ」
「同情ってなんだよ!! 義理でいいだろォォォ余計悲しくなるわ!!」





  ハッピーバレンタイン!!






(近藤さんにもあげるのかィ?)
(……………あ。)