二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【銀魂】真選組女中ですけど。【原作沿い】 ( No.617 )
- 日時: 2012/03/30 17:43
- 名前: いちか ◆iK/S6sZnHA (ID: q4MzvCIN)
「逃げろォォォ!!」
銀さんの叫び声を合図に、私たちは大魔王の脇をすり抜け祭壇部屋から逃げ出す。
143)お墓の前で手を叩いちゃダメ
童貞のまま死ぬのは嫌だとか、
お前が犠牲になれば全て丸く収まるだとか、
お前の分まで俺たちが生きてやるとか、
そんなことを叫びながら死に物狂いで走っていると。
「ちょっとォォ!! 上行っちゃってるよ!!!」
いつの間にか階段を上っていた。
それに気付くも、大魔王から逃げる足は止められない。
「だったら下りろォォ!!」
「一人でナぁぁ!!」
「それともあれか、私が突き落としてやろうか地獄の底にィィィ!!」
「お前ら鬼かァァァ!!」
そう突っ込んだ新八くんに、銀さんは鬼はアレだ!!と後ろを向く。
つられて見てみれば、
「待ってくださァァい!!」
物凄い形相の鬼が私たちを追いかけてきていた。
「「「鬼だァァァ!!」」」
おっ鬼っ、緑の鬼が!!
地獄の底から追いかけてきてるよォ!!
ひぃひぃ言いながら、緑鬼から少しでも距離をとろうと階段を駆け上る。
すると、見えてきた出口らしき扉。
「見ろ! 出口だァァ!!」
扉の隙間から、希望の光が差し込んでいる。
こっこれで、私たちっ…!!
——バンッ
……あ、れ。
目の前に広がるのは、澄み渡った青い空。
普段自分たちが見上げる建物の屋根が、今では見下ろせる。
「こ、こんなに高かったっけ…」
そう呟く銀さんの隣で呆然としていると、
「坂田さぁん!!」と銀さんを呼ぶ鬼の声が聞こえた。
皆揃ってビクリと肩を跳ね上げて、ギリギリまで扉から離れる。
姿を現す鬼。
疲れきった私たちとは正反対に、息ひとつ荒げず「やっと追いつきました」と呟く。
……あぁ、もう終わりだ。
さようなら真選組の皆さん。
今まで迷惑かけてきてごめんなさい。
女中のくせに調子乗ってごめんなさい。
数多のザキさんのラケット折ってごめんなさい。
シャツも破ってごめんなさい。
土方さんのことマヨラーとか本当のことだけど言ってごめんなさい。
沖田さんのことドSとか本当のこと思ってごめんなさい。
近藤さんのことゴリラとかストーカー扱いしてごめんなさい。
原田さんに謝ることはないです。あ、でも一つだけ。ハゲって言ってごめんなさい。
手を組んで今までのことを懺悔していると、
銀さんが一歩前に踏み出した。
「…お前ら、短い付き合いだったな」
そう言った銀さんの背中に、もう迷いはなかった。
「3人同時にいけば芽はある。…最後は決めっか」
3人。ということは、当然私を除いた万事屋3人。
え、ちょっと待ってよ。
「私だって戦いますよ?」
「いいや、お前はダメだ」
……即答か。
なんだよ、どうせ足手まといですよーだ。
「お前には別の重大な役目を背負ってもらうからな」
……は?
首を傾げる私に、神楽ちゃんと新八くんが銀さんの隣へ歩み出しながら言う。
「この町を護ったという、」
「万事屋の名誉を」
「てめーの口から語り継いでくれ」
銀さんの言葉を最後に、万事屋3人は雄たけびを上げながら屁怒絽公へ飛びついた——
「あ、カナブンだ。…え?」
………え?
屁怒絽公がしゃがんだため、3人はそのまま手すりの外へ飛び出した。
「「「え」」」
……Nooooooooooooo!!!
私を置いていかないで、それだったらいっそ私もッ——
手すりに手をかけた瞬間、屁怒絽公が銀さんの襟を掴むのが見えた。
銀さんの両手には神楽ちゃんと新八くんの姿がある。…屁怒絽公のおかげで全員無事だったようだ。
「良かった。大丈夫ですか、皆さん」
「「「……はい。ありがとうございます」」」
***
あれから、無事ヘドロの森から出ることが出来た。
食べられるかと思ったがそんなことはなかった。
あ、あと帰り際にバナナの樹の種を買った。
店先に置きっぱなしだったティッシュ箱の詰まったレジ袋と、バナナの樹の種が入った袋を持ち、いざ帰らん屯所。
「ただいま戻りましたああッ!!」
「随分遅かったじゃねーかィ。なに道草食ってんだ」
「…あれ、近藤さんは?」
土方さんが不思議そうに問う。
戻った客間には、土方さんと沖田さんしかいなかった。
あれ、近藤さんもう復活して帰ってきてると思ったのにな。
「ストーキングだと思います」
「だろうと思いまさァ。おい、はやくティッシュ貸せ」
「あ、はい」
「つかお前なに買ってきてんの?」
「バナナの樹の種です。庭に植えましょう」