ALLジャンルのオリジナル小説、ライトノベル、二次創作、ss小説やイラスト投稿なら「小説☆カキコ」

「とっても似合ってるわよ鈴ちゃん!!」
「あ…そうですか?　ありがとうございます」

鏡に映る自分。真っ白なウェディングドレスに身を包んでいた。
やべ、なんかテンションあがるんですけど。


147)イニシャルがQの人なんていない


とまぁリハーサルで新婦役をやることになったわけですが。
今の自分超輝いてる。みんな惚れんじゃね!すいません調子乗りました。

自惚れるのはここまでにしといて、疑問が一つ。

「そういえば新郎役って誰なんですか?」

相手知らないで新婦役買っちゃったんだけど。
やっぱり真選組隊士の誰かなわけ?

「新郎が近藤さんだから、雰囲気が似てる人に頼んだわ。あ、着替え終わったんじゃないかしら」

え、ちょっと待って。
近藤さんと雰囲気が似てる人に頼むってことは、私も雰囲気がメスゴリラと似てるから頼まれたってこと?
それは違うよね。違うって言ってお願い。

それにしても近藤さんと雰囲気が似てる人って誰だろう。そんなのいたっけな……


「あ、鈴。お前が新婦役だったのか」

「……近藤さんと雰囲気似てるっていうからゴリラっぽい人かと思えば!　ハゲタカじゃねーか、えぇ!?」
「誰がハゲだ!　スキンヘッドって言えコラ!」

何で原田さん（ハゲ）なんだよ!
体格と目つきしか似てねーじゃねェか!!ゴリラ要素どうした!!

「いやでもホントにハゲが正解だと思いますよ。ほら、原田さんのイニシャルってHじゃないですか。ハゲのHとも…」
「やめろォォ!!　そしたらアレだぞ、副長もイニシャルHだぞ!!」
「ちっちっち。あれは“人呼んでマヨラー”のHですよ」
「もう何か違うくねそれ!」

うるさいなハゲタカは。
ていうか原田の振り仮名ハゲでよくないもう。
そっちの方が読みやすい。

「つか鈴、お前ゴリラっぽいから新婦役に駆り出されたんだろ、ぶふ」
「ムカつくんだよハゲ。ゴリラだってよく見れば可愛いんですー愛くるしいんですー」
「見苦しいの間違いじゃねーの」
「タカの爪抜いてただのハゲにしたろかコノヤロー!!!」

つるんつるんの頭に飛びかかった瞬間、
会場内からの「新郎新婦入場です!」という司会の声と共に、目の前の扉が開いた。
あれ、これ行かなきゃなんないパターン?

いやでも入場よりこのハゲ頭引っ叩きたいんですけど、今すぐにでも。
仕方がないので我慢して入場する。
もちろん腕は組まない。横に並んで歩くだけだ。

周囲から隊士たちの拍手が飛び交う。
その拍手に紛れて、時々変な声が飛んできたりする。

「もう鈴ちゃんでもいいから局長の嫁になってくれー!」
「私でもいいってどういう意味だコラ!　言った奴出て来い髪の毛刈り取ってやる、この寒々しいタカのようにな」
「なに指さしてんだてめー、寒々しいってどこがだ!」
「頭がだよ!」


頭以外にどこがあるってんだよ逆に!