二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ボカロ】夢に惑わされて、【人柱アリス】   ( No.1 )
日時: 2011/08/09 15:03
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

#00 - 願望



 真っ暗。目は役に立たない。僕は今どこに居るんだろう。死んでないけど死にかけの僕は、今何をしているんだろう。意識も何も分からない。微かに息をしているちっぽけな僕は、色々ぐちゃぐちゃに混ざり合って何が何だか分からない。だけど、小さい僕だからこそ、死にかけの僕だからこそ、願い事が沢山ある。
 その夢は、叶わない。けれど、本当に? 
 ちっぽけすぎて誰が見たのか分からない、夢は。小さな人が見た小さな夢は。叶わないのだろうか。でも僕は思う。このままじゃ、嫌なんだ。こうして死ぬのは、嫌なんだ。
 誰の目にも映らないまま消えていくのは嫌なんだ。でも、どうしたら。どうしたら人の目に映る。どうしたら人に見てもらえる。
 ——もういっそ、消えてしまおうか?
 『僕』は消してしまおうか。その方が、傷つかない。寂しい時間も人生も、過ごさなくていい。
 ああ……今まで逃げてきた銃声の音が鬱陶しい。大砲も、火炎放射も逃げる事なんて馬鹿馬鹿しい。けれど。そんな人を傷つける物を生み出した人に注目して欲しいと思っている僕もまた。馬鹿なのかもしれない。
 
 真っ暗だけれど、目を閉じる。僕は僕を消して。僕を終わらせて。僕を殺して。そうして、存在しないけれどそこに存在する夢と言う位置に立って、人を夢に惑わせて迷い込ませて。
 そうして——新しい僕を作ろう。神と言われる僕に。人の中で素晴らしい存在になれる様な。そんな僕に、僕はなりたい。

 素敵な招待状を、ばら撒いて。
 僕がキミ達の『世界』になれる様。そんな素晴らしい時を夢に見て。

 そうして僕は、眠りについた。