PR
二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ボカロ】夢に惑わされて、【人柱アリス】 ( No.10 )
- 日時: 2011/09/03 14:09
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
ラパンを追いかけて数分。しかしメイコの息は切れていた。はあ、と苦しそうに息をしながら、それでもラパンを追いかける。
「なんでっ、こん、なに、速いの、よ!」
声を上げると同時に、スピードを上げるメイコ。数分走っただけでばててしまう様なメイコではないのだが、メイコにとって今までに見た事のない速さでぴょこぴょこと跳ねていくラパンだった。それでもラパンは止まる事なく進み続ける。メイコの体力など、関係なしに。
それから十分程経った時間。その時メイコは、見た事のない森の入り口に立っていた。こんな所に森なんてあっただろうか。謎は浮かぶが、そんな事気にしてられない。ウサギが服を着ている時点でおかしいのだから。
息を整えてから、ちゃんと森を見てみる。森は明らかに怪しい、妖しい雰囲気を出していた。出来る事ならば入りたくないのだが、ラパンは怯えも恐怖も見せずに森の中へ入っていった。ウサギの姿だから、表情など見えやしないのだが。
嫌な予感がする。それは十分に理解しているのだが、入りたい。メイコは数秒考えてから、森に足を踏み入れた。
森の中は、太陽の光が当たらず暗かった。風の音が通って、木を揺らす。さっきまでラパンを追いかけて汗を流していたメイコの顔には、冷や汗が滴り落ちる。
真っ直ぐ真っ直ぐ、道なんてないから、ただひたすら真っ直ぐに進んでいると、人の姿の様な物がメイコの目には映った。
メイコは人影に向かい、軽く走ってその人に声を掛けようとした……という考えはその人を近くで見た所で中止された。
ウサギ耳のある、白い髪で赤い目の真面目そうな少年。高級そうな服を着て、剣を背負っている——そう、それは紛れもなく夢に忠実で真っ直ぐで強い、ラパンだった。
PR