二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ボカロ】夢に惑わされて、【人柱アリス】 ( No.11 )
- 日時: 2011/09/17 19:09
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
メイコは立ち止まって、そのウサギ耳の少年、もといラパンの顔を見つめる。ラパンは、不機嫌そうに顔をしかめて、わざとらしくメイコに嫌味を吐く。
「フン、挨拶もなしに、人の顔を見つめるのか?」
「……悪かったわ。少し、異形なのかと思って」
その態度に苛立ったのか、メイコもムキになるが、メイコの中の正義と言う名の理性が、ラパンの言葉が正論と正した為、その場で深く礼をして謝る。ラパンはそんなメイコの姿を無表情で見ていた。
「まあ——この世界で俺が異形なのは、十分に分かっている。別に気にしなくても良い。とは言っても、ここには人など居ないから誰にも見られる心配もないが」
「それもそうね。ところで、貴方の名前は?」
ラパンが無表情のままで述べると、メイコはくすり、と小さく笑って名前を尋ねた。
「ラパン、だ。名前はそれだけだ」
「あ、私の方は言って無かったわね。私の名前は——」
「既に知っている。メイコ=S=ブルーム」
「あら。……じゃあこの手紙を出したのも、貴方なんでしょう?」
メイコは、ラパンに手紙を見せて、笑う。名前が知られていた事は、知っていたのか。何故自分の名前を知っているのかには、一切疑問を持たなかった。
「まあ、大体同じだが——何故、分かった」
「私はね、現実逃避がしたかったのよ。夢が好きで夢を見て。それでも夢に行く事は叶わなかったわ。……この手紙を見た時だって、この手紙に書いてある事は信じたくなかった」
メイコは、その場に座り、ラパンを見つめながら語り出す。ラパンはそれを、直立姿勢で黙って聞いているだけだった。
「けどね。貴方が窓で見つめているのを見た時から、私は夢を信じたの。また夢を見たのよ。今度は、叶えられる。異形な貴方を見てそう核心したわ」
「夢に貪欲、か」
夢に溺れたい少女、メイコを見て、呆れた様子でラパンはほくそ笑みながら呟く。メイコは、ラパンの言葉を聞いて頷く。
「そう、私は夢に貪欲よ。だからこそ、夢には鋭いの。多分この世界観は、不思議のアリスって事で、そして私は主人公のアリス。それであなたは、大臣の白ウサギ。そういう事でしょう?」
「まあ、ほぼ当たってはいるな。とりあえず、手紙を開けたらどうだ」
「さっきも見たわよ」
「いいから開けろ」
メイコは不服そうに口を尖らせ、手紙を開ける。