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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ボカロ】夢に惑わされて、【人柱アリス】 ( No.12 )
- 日時: 2011/09/17 19:44
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
メイコは、手紙を隅々まで、何か異変があるのかと丁寧に見るが、何一つ変わった所はない。まるで先程貰った手紙をそのまま複製した様な。文字も、スペードマークのズレも、そして小さな剣のレプリカも。何一つ、変わっていなかった。読んだ後に、手紙はポケットの中にしまわれた。
全く同じ内容を二度も読まされ、不満そうなメイコはラパンに問うた。
「どうして同じ手紙を二度も読ませたのよ」
「お前が手紙を捨てたからだ」
「……捨てたからって、何でわざわざ」
「スペードのアイテム——持ってないといけない物がある、と言っている」
無表情のままで、そうラパンは言った。メイコは頭を捻り、思考し始める。がしかし、思いつく物が無かったのか、数秒考えて断念した。
「手紙しか、私は持ってないわ」
「……一つだけ文章じゃないのがあっただろう」
ラパンは溜息を吐きながら言うと、メイコは感嘆を漏らして、ポケットを探り、手紙を取り出した。そこから剣のレプリカを取り、見つめる。
「アイテムって言うけれど、これで何をするのよ」
当然の疑問に、ラパンは言葉ではなく指を鳴らして答えた。ラパンが指を鳴らすと、小さいレプリカだった剣は、本物の大きい剣になった。
「これで邪魔する奴を倒せ、と?」
「そういう事だ。倒していいのは、悪のみ」
剣の柄を両手で持ち、驚いた表情でメイコは目的を問う。
ラパンが不吉な笑みを浮かべると、それにつられメイコも不敵な笑みを浮かべる。そして、余裕綽々といった態度で言った。
「私は、正義を意識して正義に成ったのよ? それにしては、案外難しくないのね」
そんなメイコを、ラパンを含む、不思議の国の住人は嗤った。
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