二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ボカロ】夢に惑わされて、【人柱アリス】   ( No.15 )
日時: 2012/04/15 22:00
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)

 それから、一日の半分が経った。
 メイコは疲れた様子で、そのまま歩く。腹が限界を迎え、体力のない状態でも、ただただ森を歩いていく。

「単なる過酷なダイエットじゃないの……はあ」

静かな森の中で、空しさを紛らわせるかの様に、五分に一回くらいの確立で、ひとり言を零すメイコ。
 何かないものかと、ポケットの中を探ってみる。しかし、そこにあるのはラパンから貰った『招待状』と呼ばれる紙だけだった。希望を持っても、現実に引き戻されてしまうメイコであった。
 
「でも……現実を抜けたら、夢は叶う」

体力の限界を訴えつつも、自身の夢の為にひたすら足を動かした。
 ——そんなメイコに、一筋の光が差した。

「…………あ、れは」

ひとり言さえも言わなくなったメイコの表情が、明るくなる。疲れているはずの体は、自然に走って、光に近付いていく。
 暗闇から抜け出した、一人の少女は。その開放感溢れる、どこまでも続く草原に、一人倒れた。


「あ、やっと起きた」
「……ここは、どこ……ですか?」

目を開けて、上半身を勢いよくあげるメイコ。その大きな音に気付いて、黒髪を一つに纏めた少女は、愛想よく笑った。メイコは挙動不審に辺りを見回して、自分より年上らしく見える少女に問い掛ける。

「ここは村よ。というか、村はずれの家ね。まあその村さえ、無くなりかけてるけど」
「どういう事ですか?」

悲しそうな顔をする少女に、疑問を投げかける。

「村を壊す奴らがいるの」

少女が俯いてそう言った途端、玄関のドアが乱暴な音を立てた。メイコはすぐにベッドから立ち上がり、玄関へ走る。
 玄関を見ると、乱暴に開けられたドアは壊されており、二人の巨体の男が立っていた。メイコは、正義であるがために、悪い事をした二人の男を睨みつけて、怒鳴った。

「アンタたち、何の用よ!」
「あっれぇええ? 見た事ねえ嬢さんだなァ……何しに来たんだ?」
「俺達に刃向かうって事は、死ぬ事を意味する。まあ、今ここで謝れば許してあげてもいいがな」

 ——それは正しく、『悪』だった。