二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【ボカロ】夢に惑わされて、【人柱アリス】 ( No.16 )
- 日時: 2011/11/17 22:21
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
後ろでは少女が怯えて男たちを見ている。ここからひくわけにはいかない。そう思ったメイコは、ラパンから貰い、ずっと身につけていた剣を抜き、構える。
「……おいおい、女が剣を持つモンじゃねェぜ?」
「人の役に立たない事ばかりをして、何が楽しいのよ?」
「全部楽しいねェ、悲鳴も血の臭いもその光景もその心臓も! 元からあったものを壊していくって、楽しいだろう?」
「そうね、武器を持ってるんだから、壊したいとも思うわよね。——だから私が、アンタたち悪をめちゃくちゃに壊すのよ」
メイコは、挑発的な態度で笑ってみせる。そんなメイコを見ても、男たちは気味の悪い笑みを浮かべるだけだった。
「馬鹿だなァ……化け物の俺たちを、壊すだなんて」
「ぶちきれた、むかついた! ぐちゃぐちゃにしたら、お前のハートにキスしてやるよ!」
男たちは、ただ、どこにでも居る様な人の役に立たないゴミから、まるでゲームの世界の様な、気持ちの悪い化け物に変貌した。メイコは一瞬怯むが、負けては駄目だと首を振り、不安を全て振り切った。
「何ソレ、鳥肌ものじゃないの」
そう、挑発的に笑って。化け物を見上げると、メイコの上には既に触手の様なものが降りかかってきていた。それがメイコに直撃し、木でできた家にもその触手はあたり、家はいとも簡単に崩壊する。
「いったぁ……痛いなんて、もんじゃないわね。ごめんなさい。大丈夫ですか?」
足を引きずりながら、家だった木の板から、化け物たちの目の前へ出て行く。服は一瞬で破れ、頭からも足からも血は流れ出る。
触手が振り下ろされたその刹那に、メイコは少女の方へ跳び、少女を押し倒しながら、守ったのである。予想外の速さに、勿論少女も無事ではなかったが、それでもメイコよりはマシな方だった。
ふらつきながら歩いていくメイコは、あまりにも不利である。それでも、正義である彼女は悪を倒さなければならないのだ。
彼女が正義である限り。彼女がアリスとなるためには。
例え命の危険があろうとも、逃げない。