二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【ボカロ】夢に惑わされて、【人柱アリス】   ( No.7 )
日時: 2011/09/03 13:39
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: V9u1HFiP)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode

#01 - 正義



 不思議の国に沿って世界を作って行こうか。僕はそう思い続けて何百年経っただろうか。そんな事はどうでも良いが、とにかく光を見つけなければ影は映らない。今の僕はただの影。まだ皆に見て貰えていない。
 好奇心旺盛で勇ましくて、夢がある——そんな素敵な人を探して何百年。偽物の光らない空を見つめて、僕が考えていると、後ろから彼が声を掛けてきた。

 「トラウムさん。アリス候補、見つかりました」

白いもふもふしてそうなウサギ耳を付けた少年、ラパンがそう言った。彼は今世紀に来た新しい役。彼女以外は、全員何代目になるか分からない。彼女はずっと、イスに座ったままだ。
 今回の候補はどういう人なんだろう。いつもいつも、惜しい所まではいくのに、そこで逝ってしまうから困るんだよなあ。

 「それで、今回はどんな人なの?」

僕が訊ねてみると、ラパンはアリス候補のリストと思われる紙を取り出して、僕に差し出す。それを手に取って眺める。その隣でラパンは、直立姿勢で立っていた。いやー、真っ直ぐだなあ。忠誠心と言い、強さと言い。
 
 「ふうん。じゃあ、ラパン」 
 「はい、何でしょう」
 「えーと、メイコ=S=ブルームは君に任せたよ。スペードの招待状を送ってあげて」

「了解しました」と、それだけ言ってラパンはそこを離れた。スペードのアイテムは、剣。勇ましさの象徴。勿論、それは色々な仕掛けがかかっている。例えば——全てを狂気に変えたり、とか。そうは思っていなくとも、自分の全てが狂気に変わればきっと生き物を殺す。そのスペードのアイテムで。しかし、その狂気に打ち勝つ者こそが本当の光。つまり、僕の望んでいるアリス。
 光はどんなモノにも打ち勝てる。だから光は強いのだ。人間の欲より強い光は、全てを照らす存在。 
 ——僕は、その存在が隣に在って欲しい。それだけなんだ。